商品やサービスの継続的な売上や収益性を高めるための方法のひとつとして、スイッチングコストを高めるという方法があります。
この記事では、顧客のスイッチングコストについて解説していきます。
スイッチングコストは、マーケティング戦略を考える際にも重要な要素となってきます。
スイッチングコストとは
スイッチングコストとは、顧客がブランドやサプライヤーや製品を変更する際に発生するコストのことを示します。
多くのスイッチングコストは金額ベースで表すことができますが、それはときに心理的な障害、余分な手間や時間がかかるなどの金額以外の障害になることもあります。
もう少し具体的な例をあげると、サプライヤーを変更するための時間や手間、変更期間中に通常オペレーションを妨げるリスク、キャンセル料などになります。
成功している会社は往々にして顧客に対して高いスイッチングコストを課して、それを競合の製品やサービスに乗り換えることハードルにしています。
たとえば、日本の通信キャリア(NTTドコモ、ソフトバンク、KDDI等)では、端末を長期契約した上で、途中解約のキャンセル料を課すことで、他ブランドへのスイッチを防いでいます。(一方で、他ブランドからの乗り換えキャンペーンや優遇措置などで、他ブランドからのスイッチングコストを下げる方向に働きかけることもやっています)
また、AmazonなどのEコマースや、楽天トラベルなどはクーポンやポイントを発行することで、同じブランドを使い続けることにお得感を出すことで顧客のスイッチングコストを高めています。航空会社のマイレージサービスも同様です。
このように高いスイッチングコストというのは顧客を囲い込むのに大変有効な手段になるのです。
スイッチングコストが低い例
スイッチングコストが低い状態というのは、言い換えると簡単に複製ができて、かつ安価な製品やサービスで起こります。
たとえば、洗剤やトイレットペーパーなどの日用品はスイッチングコストが低い製品になります。顧客の方も安いので、お試しで他ブランドに簡単に乗り換えることができます。
飲食店も比較的スイッチングコストの低いものなります。
なぜなら、顧客は毎日同じものを食べると空きますし、空腹を満たすためなら店舗を選ばないケースもあるからです。
だからこそ、この手の業種では頻繁にパッケージや内装、看板を変えるなどして顧客の獲得または維持に努めるわけです。
スイッチングコストが高い例
他にないユニークな製品というのは、それだけでスイッチングコストが高くなります。
発売当初のiPodやiPhoneなどはそうして類のものでしょう。
ソフトウェアもスイッチングコストが高くなります。
なぜなら、ソフトウェアの互換性や操作性というのはスイッチングコストの大事な要素を占めるからです。
たとえば、Windowsに慣れている人が、他のOSやそのOSで動くアプリケーションを使うのは面倒なことなので、その面倒臭いという感覚そのものがスイッチングコストになります。
また、強固な人間関係がベースとなるようなビジネス(たとえば、スナックや美容室など)もスイッチイングコストが高くなりやすいビジネスです。
スイッチングコストと生涯顧客価値(LTV)の関係性
前の記事でも紹介した生涯顧客価値(LTV)は、このスイッチングコストとも密接な関係があります。
LTVは、
LTV = 1回あたり購入金額 × 1顧客の平均購入回数
で計算できますが、スイッチイングコストが高いということは、顧客が生涯にわたってそのブランドを買う頻度が高まることを示します。
言い換えるとスイッチングコストを高めることは、そのビジネスの永続性を支える大きなファクターとなってくるというわけです。
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