多くの日本企業が世界市場にその拡大余地を求めている中、日本だけで通用するリーダーシップスタイルだけでなく、グローバルで活躍できるリーダーの需要が高まってきています。
私はこれまで欧州、北米、アジア各国の会社と仕事をしてきてアメリカ人、イギリス人、ドイツ人、インド人、シンガポール人、中国人、韓国人などさまざまなグローバルリーダーを見てきました。
そんな彼らには共通して持ち合わせている特徴がありました。
この記事では、私がこうしたリーダー達から学んだグローバルリーダーに必要な3つのポイントを挙げてみます。
ポイント1.スキル
専門性
グローバルでリーダーとして戦うには何らかの専門性を持っている必要があります。たとえば機能として挙げるなら財務、法律、技術などになりますし、産業別の専門性もあります。
さらには、ある国に関する専門性というのもあります。いずれにせよこれらの組み合わせの中で、グローバルの中で一目置かれる専門性を持っていることがリーダーシップを発揮するための最低条件となります。
この後に言及する普遍スキルも英語も専門性がないと中身の薄いものになってしまいます。
私はツイッターでもその点を言及していて、次のようなフィードバックももらっています。
語学はあくまで道具。
エンジニアの場合、必要とされているのは語学ではなくて、技術的な専門性。
それが無いと判断されてからの現地人の「引き」は早い。 https://t.co/IkdS1p8gD4— らーちゃん@ようやく🇯🇵へ (@TgGHtpVjj149qX5) January 19, 2019
語学はあくまで道具。
エンジニアの場合、必要とされているのは語学ではなくて、技術的な専門性。
それが無いと判断されてからの現地人の「引き」は早い。
これこそが専門性が他のスキルよりも重要であることを端的に表す話だと思います。
普遍的スキル
普遍的スキルとは、あらゆる専門分野においても普遍的に活用できるビジネススキルのことで、本ブログ「ビジネスパーソンの心技体」でも紹介しているロジカルシンキング、戦略、マーケティング、財務などの知識のことで、これらはビジネスの世界ではある種の共通言語となっています。
私も実際にこのブログで取り上げているような普遍的な知識がベースにあるおかげで、ビジネスの会話をスムーズに進めることができています。たとえば、管理会計用語やマーケティング用語などは、その単語ひとつでその裏にある概念的ことも含めて表現できるので、より短い時間で多くのことを共有できるのです。
語学力
今や世界の全てのグローバルで戦う人たちが身に付けている言語が英語です。上のツイートでまずは専門性だとは言っていますが、あくまで専門性のベースが必要という話であって英語がいらないわけではないのです。
なぜなら、英語はすでにビジネスの世界ではデファクトスタンダードになっており、英語を話せない、書けないということはその時点でグローバルへの門戸を閉ざしているのに等しい状況だからです。
特に少しでも上のポジションを目指すのであれば、グローバルの会議の中で、やりとりできるレベルの英語力は必須なのです。
英語に関しては以下の記事で私の経験から考える学習法を提案していますので、グローバルリーダーを目指したいが、英語に自信がないという方はご参照ください。
母国語と英語に加えてもうひとつ第二外国語を習得しているリーダーも多くいます。たとえば、母国語として世界一の人口を持つ中国語(普通語)、中国語に次いで世界で使われているスペイン語、将来的な拡大が予想されるアフリカで多く使われているフランス語などです。
特に欧州圏にいくと3ヶ国語話者という人も多く、英語、ドイツ語、フランス語ができる人や、インドやアフリカが母国の人だと加えて母国語も話すという人もいます。
以下の記事にも書きましたが、もしどこかの国に駐在する機会があるなら、現地語の習得にトライすることをおすすめします。
ポイント2.マインドセット
グローバルリーダーとして持つべきものは上記スキルに加えて、外国人を束ねていく上ではグローバルリーダーとしての基本的なマインドセットが必要となってきます。
異文化を受け入れる
外国人と仕事していると日本の常識で考えられないようなことが出てきます。納期意識、チームワークや就労に関する考え方などです。これらを我々のやり方と異なるとして排除せずに、彼らがどういうバックグランドに基づいて意見を言っているのか、耳を傾けて一旦受け入れる、一方で違うと思うことは妥協せず議論するという姿勢が必要です。
日本人によくありがちなのは、議論を避けて変に妥協して、後から文句を言ったり、約束を反故にしてしまうパターンですが、こういう態度はグローバルの中ではまず受け入れられません。
以下の記事で外国人とビジネスを際の前提条件の違いについて言及しています。
責任者として意思決定をする
リーダーには責任者としてリスクをとって意思決定することが求められます。しかし、特にボトムアップ型の風土の会社のリーダーは、リスクを嫌って意思決定を先送りにしたり、曖昧にすることを好む人がいます。情報が100%揃っていない不確実な状況でも意思決定することがリーダーとして大事な仕事です。
私が見てきた多くのグローバルリーダーも、意思決定を前に進めるということに大変敏感で、何かの意思決定をいつでもできるように貪欲に行動し、情報収集していました。それくらい彼らは自分が意思決定する立場の人間であると強烈に認識していたのです。
ポイント3.経験
スキル、マインドセットに加えて必要なのは実際にグローバルの中で仕事をした経験です。たとえば、外国人の上司や部下、同僚と一緒に仕事をした経験などです。また、実際に海外に留学や就労した経験もグローバルリーダーになるための第一歩と言えます。
留学・就労が難しいなら、休暇を海外で過ごしたり、日本に居て外国人と働く機会を探るなど、できる限り日本の枠内から外に出ようという心掛け必要になるでしょう。
こうした経験を積むことで、武器となるスキルの使い方と、マインドセットの持ち方をより洗練させていくことができるわけです。
私も外国人の上司、部下、グローバルリーダーと言われる人達と仕事をする中で、適切なスキルの使い方と、文字面だけだとわかりにくいマインドセットの持ち方を体感することができました。
まとめ
おさらいするとグローバルリーダーになるためのポイントは以下のようになります。
- 戦うための武器となる専門スキルをベースに、それをより効果的に発揮するための普遍スキル、語学を習得する
- 円滑に立ち回るためのマインドセットを持つ
- 使い方を覚えるための経験を積む
グローバルリーダーを目指す方は、今自分に何が足りていないか?を見直してみてはいかがでしょうか。
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