報告書をわかりやすくする6つのポイント
- 目的を明確にする
- 結論を最初に書く
- 見出しを入れる
- 概要を書く
- 論理をピラミッドストラクチャーで構成する
- 「以下のとおり」や「別紙」を避ける
「報告書がうまくまとまらない」、「報告書が分かりにくいと言われる」という悩みを抱えるビジネスパーソンは少なくありません。
一方で、「部下の報告書がいつもわかりにくい」、「内容を確認する手間ばかり増えて、自分の時間がとれない」というマネージャーの悩みもあります。
わかりやすい報告書の作成は、仕事ができる人になるための第一歩でもあります。
この記事では、わかりやすい報告書の書き方について解説していきます。
こんな人におすすめ記事です。
- 上司に1発で認めてもらえる報告書を書きたい部下
- 部下に報告書の書き方を指導したい上司
報告書を書く6つのポイント
報告書をわかりやすく書くためには、6つのポイントを意識することが大事です。
- 目的を明確にする
- 結論を最初に書く
- 見出しを入れる
- 概要を書く
- 論理をピラミッドストラクチャーで構成する
- 「以下のとおり」や「別紙」を避ける
報告書は、書き手の主張を過不足なく書くだけでなく、読み手に苦痛を与えない構成にすることが望まれます。
わかりやすい報告書にすることで、読み手の混乱を防ぎ、無駄な確認作業が減り、読み手が次のアクション(上司であれば次の指示、他部門であれば次にとるべき行動)を素早くとれるようになります。
ポイント1.目的を明確にする
報告書を書くときは、まず目的を明確にする必要があります。自分は何のために報告書を作るのか?読み手は誰か?何について書くのか?読み手に期待することは何か?
特に読み手に期待することは、明確に意識しておく必要があります。読み手に知っておいてもらえればいいのか?理解してもらえればいいのか?判断してもらいたいのか?行動してもらいたいのか?
これらのことをを最初に明確にしておく必要があります。
ポイント2.結論を最初に書く
学術論文では、結論は最後に書きますが、ビジネス文書では、報告書の目的に沿った結論を報告書の冒頭に入れます。なぜかというと、時間が無い人でも報告書の冒頭を読んだだけで、報告書が主張していることを認識できるからです。
最終的な落としどころを知っていて文章を読むのと、知らずに文章を読むのとでは、理解のスピードが全く違います。
ポイント3.見出しを入れる
文章が長くなる場合は、パラグラフの先頭に見出しを入れるとわかりやすいレポートになります。これは、上で述べているように各パラグラフでの主張を最初にわかってもらうことで、後の文章をすんなり読めるからです。(場合によっては、読み飛ばすことができます)
見出しを入れられない場合でも、各パラグラフの先頭の文章では、そのパラグラフで一番言いたいことを書くと見やすい報告書になります。
ちなみに、よい報告書は、見出しやパラグラフの最初の文を読むだけで報告者の意思が通じるようになっている報告書です。
悪い報告書は言うまでもなく、全部読まないと意思が分からない報告書です。(もちろん読んでも分からないのは最悪です)
ポイント4.概要を書く
報告書の概要は、必ずしも必要ではありませんが、報告内容が長くなる場合は概要を書いた方が親切です。読み手は、その概要を読むだけで、自分にとって読む必要があるのか、ないのかを判断できるからです。
ポイント5.論理をピラミッドストラクチャーで構成する
報告書を書く際に使えるのは、ピラミッドストラクチャーです。頂点の内容を報告書の結論として最初に書き、2段目の内容を見出しに持ってくることで、報告書がかなり読みやすくなります。
ピラミッドストラクチャーの構成例
ピラミッドストラクチャーを使った報告書の概要部分の例
■概要
自社は事業から撤退すべきだと思います。市場の見通しが暗く、競合他社は特色が明確でシェアが高く、自社の強みを活かせないことが理由です。
各理由ごとに詳細を記します。
1. 市場の見通しは暗い
市場の状況は、・・・
2. 競合他社は特色が明確でシェアが高い
競合A社は、・・・
3. 自社の強みを生かせない
自社の経営資源は、・・・
ポイント6.「以下のとおり」や「別紙」を避ける
「詳細は以下のとおり」とか「詳細は別紙に記載」だけの文章は、読み手に配慮して極力避けることをおすすめします。
詳細データを別紙に記載するのは構いませんが、読み手が本文を読んだだけで別紙の意味していることがわかるように要約しておけば、読み手の負担を大幅に減らすからです。
逆に、本文で詳細データの要約がないと、読み手は詳細データをすべて読み込む必要があります。
そのためには、別紙の内容を「So What?」できっちり解釈した上で、詳細データから何を言おうとしているのかを本文に示すとよいでしょう。
クイックに報告書を作るなら「YWTフレームワーク」がおすすめ
報告書によっては、ピラミッドストラクチャーのようにしっかりした論理構成よりも、クイックに状況を報告することが求められるものがあります。
そのときは、YWTというフレームワークが役立ちます。
YWTとは、Y(やったこと)、W(わかったこと)、T(次にやること)のことで、実施事項から次のアクションまでをスムーズに説明できるフレームワークです。
YWTのよいところは、Y(やったこと)に対して、W(わかったこと)とT(次にやること)を簡潔にまとめられる点です。
特にW(わかったこと)には、客観的にそうであるということと、主観的にそう感じたということの両方を書けます。
W(わかったこと)が明確になると、T(次にやること)も明確になってくるので、思考を整理する上でも大変役立つフレームワークです。
YWTを活用した報告書の例
YWTを使った報告書の例です。
Y(やったこと)
- ++社を訪問して、**課長と打合せをした
W(わかったこと)
- ++社の問題は、原価低減が予定どおり進んでいないことだった。
- **課長は商品Aにはほとんど興味がないが、商品Bには興味がありそうだった。
- なぜなら、商品Bは++社の原価低減に大きく寄与できそうだからである。
- **課長は上下からの信頼が厚く、実質的な購買決定者のようだった。
- ただし、**課長独断で決めたという形になるのは、**課長にとっては好ましいことではなさそうだった。
T(次にやること)
- 商品Bが++社の原価低減にどの程度寄与できるかを明確にする。
- **課長とその関係者を入れた打合せをセッティングして、商品Bの詳細説明をする。
- 商品Bの採用を決めてもらい、具体的な導入スケジュールをすり合わせする
YWTは、多くの情報をまとめて報告する形には向きませんが、チーム内や上司に簡単に行動結果をシェアするには、大変有用なフレームワークになります。