マーケティング・プロセスにおける1つの検討要素であるプロモーション戦略は、他の4Pである製品、価格、流通と連動が重要になってきます。
この記事では、そのプロモーション戦略について解説していきます。
プロモーションの方法
プロモーションの方法には次のようなものがあります。
■広告
広告主が市場に対して一方的に行うプロモーション手段です。テレビ、ラジオ、新聞、雑誌などの広告が該当します。
■販売促進
特定の興味・関心を持つ消費者に対する一方的なプロモーション手段です。販売促進には、チラシ、ダイレクトメールなどがあります。また、営業部隊やチャネルに対するインセンティブ供与も広義の意味で販売促進となります。
■人的販売
実際に人的資源を使って営業活動をする双方向のプロモーション手段です。訪問販売、営業活動などが該当します。
■パブリシティ
マスコミや第三者が公の媒体を使って報道する一方的なプロモーション手段です。広告との違いは、スポンサー企業が費用負担をしないことです。
■口コミ
消費者同士の双方向のプロモーション手段です。
プロモーション戦略の種類
プロモーション戦略には、大きく分けてプッシュとプルの2つがあります。
■プル型
マス広告でイメージを発信して顧客を引き付けるものです。日用品のように購買頻度の高いもの、製品だけでの差別化が難しいものに向いた方法です。
■プッシュ型
説明・説得により顧客に商品を押し込むものです。生産財など機能が複雑で専門知識に基づいた説明が必要な商品に向いた方法です。
プロモーション戦略立案ステップ
プロモーション戦略を決める上で、大前提としてターゲット市場とポジショニングを明確にしておく必要があります。その上で、次の3つのステップを踏んで戦略立案をします。
■プロモーションの目標設定
目標には、売上高、知名度などが挙げられます。出来る限り数値化して、期間と場所を明確にする必要があります。
■プロモーション予算の設定
目標を達成する上で、必要不可欠な予算を設定する必要があります。
■プロモーション手段の設定
先にあげた、プロモーションの手段を選択します。さらに手段を選択した上で、具体的なメディアを決定していきます。
IMC
IMCとはIntegrated Marketing Communicationの略で、一定のメッセージを顧客に提供し、記憶させることを目的としてさまざまなプロモーションの手段を組み合わせて顧客に会社や製品を宣伝することです。IMCは、以下のようなプロモーションの組み合わせにより実施されます。
・広告宣伝
・パブリックリレーション(PR) 雑誌や新聞への掲載など
・パッケージ
・セールスプロモーション(自社営業部隊やチャネルへのインセンティブ供与)
広告宣伝の狙いと意味合い
広告宣伝をする場合には大きく次の3つの狙いがあります。
1.製品需要を刺激する
有用で、説得力があり、記憶に残る広告宣伝により購買需要を刺激できます。また、広告宣伝には自分が買うものは確かであると消費者に確信させるのにも有用です。
2.ブランドポジションを伝える
マーケティング・プロセスで言及したポジショニングを消費者に伝えて、ブランドイメージを確固たるものにできます。
3.売り手が製品を販売しやすくする
営業部隊やチャネルが顧客に製品を売り込む際の武器とします。広告宣伝により製品やサービスが有名になることで、営業活動を容易にできます。
パブリックリレーション(PR)
広告宣伝と並んで有用なプロモーション活動がパブリックリレーション(PR)です。PRには次のようなものがあります。
- ニュースリリースの発信
- プレスカンファレンスの配布
- パブリケーション(新聞や雑誌の記事での紹介)
- 各種イベント活動
- ロビー活動
PRには広告宣伝に比べて低コストで、自由度の高い製品またはサービス訴求ができ、かつ直接リーチするのが難しい顧客に対してアプローチをしやすいという特徴があります。また、広告宣伝よりも法的な拘束が少ないというメリットもあります。
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