財務諸表の見方

連結財務諸表について解説

連結財務諸表とは、グループ化した企業をひとつの企業のように見なして作成した財務諸表のことです。単体の財務諸表だと、財務諸表の公開義務のある会社が販売不振の際、子会社などに在庫を売り付けて、あたかも真っ当に利益を出しているかのように見せることが可能になります。

しかし、連結財務諸表の場合、こうした利益調整をしようと思っても、グループ内の取引は全て相殺されるので、より透明性が高くなり、グループとしての実態がより明確に見えてきます。

連結決算の考え方は、アメリカなどで先駆けて導入されていて、日本でも2000年3月期の決算から、連結財務諸表で表すことが主流になっています。

連結決算の対象

連結決算の対象としてグループ会社を含める方法には次の2通りあります。

■連結法
連結法とは、親会社が直接(あるいは、子会社を通じて間接的に)50%を超える株式を保有している子会社(連結会社)に適用される方法です。

連結法では、貸借対照表と損益計算書は全て合算して計算します。この際、親会社と子会社の間の取引は全て相殺されます。

なお、持ち株比率が40~50%の場合であっても、親会社が子会社を実質的に支配しているような状況(役員の過半数を派遣、会社の重要方針を決める契約があるなど)だと、連結法の対象会社となります。これを支配力基準と呼びます。

■持分法
持分法とは、親会社が直接(あるいは、子会社を通じて間接的に)20~50%の株式を保有している子会社(関連会社)、もしくは規模が小さくて連結の対象から外した子会社(非連結子会社)に適用される方法です。

持分法では、子会社の利益を親会社の持株割合に応じて損益計算書の営業外収益の項目に「持分法による投資損益」として記載します。

また、その利益は、親会社の個別貸借対照表にある「投資その他の資産」の中の「関係会社株式」の項目に加えられます。(持分法による投資利益がマイナスならば、その分を減らします)

なお、持株比率が15~20%であっても、親会社がグループ会社に対してかなりの影響力を及ぼしている場合(取締役の派遣など)には、持分法の対象会社となります。これを影響力基準と呼びます。

連結財務諸表 固有の科目

連結財務諸表には単体の財務諸表には見られない科目があります。ただし、通常はいずれも額が小さいものなので、大まかな経営・財務分析では気にする必要のない科目といえます。

■連結貸借対照表の固有科目

※為替換算調整勘定
為替換算調整勘定は、海外の子会社の決算書を円にする際に生じる差額をバランスシート上に資産または負債と計上したものです。

※連結調整勘定
連結調整勘定とは、企業買収をした際に生じるもので、親会社の投資勘定と子会社の資本勘定を相殺するときに出る差額で、バランスシートの資産または負債に記載されます。連結調整勘定は、20年以内で均等償却します。

※少数株主持分
少数株主持分とは、第三者が持っている連結対象の会社(子会社)の株のことで、資産や負債とは独立してバランスシートに記載されるものです。

■連結損益計算書の固有科目

※税引等調整前当期純損益
税引等調整前当期純損益とは、単体の損益計算書にある税引前当期利益に相当するものです。

※少数株主損益
少数株主損益とは、l連結ベースで計上された当期損益のなかで、少数株主持分に配分される損益のことです。

※連結調整勘定償却額
連結調整勘定償却額とは、その期における連結調整勘定の償却費です。

※持分法による投資損益
持分法適用会社が計上した損益のうち、親会社の持分になる損益のことです。これは、営業外損益として処理されます。