先日、こちらのツイートをしたところ、想定以上にみなさんの反応がよくて驚きました。
海外赴任時は日本の仕事の進め方はおかしいと一緒に戦ってくれたのに、帰任したら日本流に戻ってしまう。こっちで学んだことを日本に浸透させるのが役目だろというドイツ人の愚痴を飲みの場で延々と聞きました。これが日本企業の仕事のやり方が変わらない理由の一つなんだと思います。
— セーシン (@n_spirit2004) March 13, 2019
このツイートに対する反応もこちらに載せておきます。
海外駐在経験者が海外での学び(仕事の進め方等)を日本で反映しようとすると異端児として扱われ、煙たがられるケースをたくさん見てきました。
残念ながら海外を知らない日本側の社員が新しいやり方を柔軟に受け入れる姿勢を示さない限り、日本が劇的に変わることはないのだろうなと思っています。 https://t.co/aMkEIhUhld
— トニー @シドニー駐在人事マン🇦🇺 (@Tony_Sydney_HR) March 14, 2019
これ……!!!弊社の帰任者読んでぇ…..!!!私も含めてこの言葉は忘れてはならない….!!!! https://t.co/n0GPAUZ7OD
— りんこ/麻辣とライブコマース (@Rin_inChina) March 14, 2019
誰にとっても変化は難しいとは思いますが、日本の変化嫌いには驚かされます。海外顧客に日本のやり方に倣うことを強制しながらBiz拡大を求めてるように見えます。その様な負担を強いられながらも日本でしかできない何かがあれば嫌々でも付き合って貰えますけどそんな強気で良いのかな?と… https://t.co/DVq4T9hUyY
— フランス1年生 (@megself) March 13, 2019
私は以前から、帰国後の日本人に対する愚痴をよく外国人から聞いていたのですが、改めてツイートの反応を見てみると多くの人が同じような考えを持っていたのだなということがわかりました。
しかし、これは海外赴任から帰任する人にとって他人事ではない問題だと思っています。なぜなら、せっかく海外に赴任して学んだことが、日本に戻ってから全く活かせていない状況に甘んじている人が多いからです。
海外赴任は貴重な経験ですし、職務経歴書に海外赴任と書けば、特殊な経験を積んできた人間として他社からも評価される人材になり転職にも有利に働きます。(実際に私も海外赴任の実績は転職で大いに役立ちました)
しかし、上記のようにその経験が活かされない状況に甘んじていると、人材としての市場価値を年々落としていくことにもなりかねません。
では、海外赴任者は日本に帰任してから何をすべきなのでしょうか。
市場価値という観点から私なりに考えたことを書いていきます。
海外拠点との橋渡し役になる
一番現実的な役割は、海外拠点との橋渡し役になることです。
海外駐在経験者が橋渡し役になる場合、以下のようなことが期待されます。
- 海外流の進め方と日本流の進め方の調整
- 海外拠点のメンバーの意図の翻訳
- 海外拠点(または日本拠点)を日本拠点(または海外拠点)の意図通り動かすためのストーリ作り
日本側の本部の最新の事情を知っていて、かつ海外拠点の気持ちがわかると日本側・海外側の双方にとって有難がられる存在になります。
また、日本から本社と海外拠点を巧みにコントロールできるスキルや経験は他社でも高く評価してもらえるスキルになるので、単に海外駐在をしましたという経験よりも一段価値の高い経験として認められることになります。
実際に私は、海外駐在から帰任後の3年間、本部の人間として海外拠点(外国人)との交渉の矢面に立ってきましたが、海外赴任経験のベースをさらに強化できる経験になりました。
しかし、橋渡し役といっても、こういう人になってしまってはいけないので、注意しましょう。
先日会った某国駐在員が「本社の国際部門はマイルのために出張してくるのだけど、来てもらって役に立ったことはないし、さも現場をわかったかのように話をしてくるんだよね」とボヤいていました。
ステータス維持が目的で出張をした挙げ句に、現地の仕事を妨害する人は、少なくないようです。。。 https://t.co/NaDRTQdW8U
— セーシン (@n_spirit2004) November 2, 2019
先日会った某国駐在員が「本社の国際部門はマイルのために出張してくるのだけど、来てもらって役に立ったことはないし、さも現場をわかったかのように話をしてくるんだよね」とボヤいていました。
ステータス維持が目的で出張をした挙げ句に、現地の仕事を妨害する人は、少なくないようです。。。
海外の仕事に関する理解者を増やす
単に橋渡し役をするにしても、一人で全てをやるのは重荷になりますし、組織としての成長も期待できません。
孤軍奮闘して疲れてくると、もう面倒だから日本のやり方をそのまま押し付けておくかという諦めにもつながります。
したがって、理解者・協力者の存在は不可欠です。
一番よいのは直属の上司に理解してもらうことで、その上司から橋渡しの実務を協力してもらえる人材を割り当ててもらうのがよいでしょう。
もしあなたが管理職として帰任するなら、素質のある部下を橋渡し役に選定してもよいです。
私の場合は、海外赴任から帰任した際は管理職でしたし、上司も全面的に理解をしてくれたので、部下を順番に試していきながら素質のある人材を中心的に橋渡し役にできるようにしていきました。
当時派遣社員を除くと15人の部下がいましたが、順番に出張で海外拠点に送り込んで現地を体感させる、英語を勉強させるために仕事で英語を使わせるということを取り組みました。
結果、私が退職する頃にはみんな当たり前に海外拠点とやりとりできるようになっていましたし、3名ほど中核となって海外とやりとりできる人材を育成することができました。
単に自分が橋渡し役として海外拠点をコントロールするだけでなく、チームを形成して人材を育てながら円滑なコミュニケーションを実現できたというと、さらに高く評価されるようになります。
駐在経験が生きる転職先を探す
海外赴任者は転職活動をしておくことをおすすめします。
日本への帰任後に上記のような本社の立場として海外拠点との橋渡しになるのであれば、市場でそれなりに価値を認めてもらえる立場だと言えます。
しかし、完全にドメスティックの仕事を担当させられるなど、会社によっては海外の駐在経験が全く生きない仕事を担当させられる場合もあります。
会社自体は海外に前向きでも、そのときの都合で海外経験を活かしにくい部署に回されることもあるでしょう。
こうした事態に備えて転職活動の準備をしておくべきです。
私も海外赴任中から転職活動をしていて、日本への一時帰国とあわせて面接を受けたり、帰任後に何社か面接を受けたりしました。幸い管理職として海外と日本を繋ぐ仕事をする機会があったので、帰国後すぐに転職をせずに会社に留まることにはなりました。
なお、私はやったことありませんが、海外赴任中だとスカイプやZOOMなど遠隔でも面接してくれる会社もあります。特に外資系や海外との仕事慣れしている会社だとスカイプでも抵抗なく面接してくれます。
まとめ
再三書いているとおり、海外駐在は人材としての市場価値を高める大きな武器です。この武器をどう活かすかは、駐在中と帰国後の行動に掛かっていると言えるでしょう。
ぜひその武器を無駄にすることなく、みなさんのキャリアアップにつなげてみてください。
駐在者が経験を活かすためにやるべきこと
- 海外拠点との橋渡し役になる
- 海外の仕事に関する理解者を増やす
- 駐在経験が生きる転職先を探す