経営戦略論

ファーストムーバ―とセカンドムーバ― それぞれのアドバンテージ

新規事業やベンチャー企業において、ファーストムーバーがよいか、セカンドムーバーがよいかが常に議論になります。この記事では、その2つを事例とともに紹介していきます。

ファーストムーバ―アドバンテージ(FMA)とは

ファーストムーバーアドバンテージ(First Mover Advantage 以下FMA)とは、早く開始・実行したものの方が、後から開始・実行したものよりも優位に立てるということを示します。

FMAの例

FMAが効く製品やサービスの代表例として以下のようなものがあります。

  1. 地域や製品分野において限られた市場規模しかなく、先発することでその市場の大半を一気に抑えてしまえるもの(たとえば、鉱物資源の採掘権など)
  2. 先発によるブランド認知や信頼で差別化を図れるもの
  3. 操作性などユーザーが一度使い慣れると他に乗り換えるのが面倒になるもの(スイッチングコストが高いもの)
  4. 最初に開始することで、デファクトスタンダードを取りやすいもの
  5. 特許などの制度上の優位があるもの

FMAには、

  • チャネルを早期におさえられる
  • カスタマーロイヤリティ(またはブランド)を早期に築くことができる

というメリットがあります。

セカンドムーバ―アドバンテージ(SMA)とは

一方、セカンドムーバーアドバンテージ(Second Mover Advantage 以下SMA)とは、後から開始・実行したものが優位に立てることを示します。

SMAの例

SMAが効く製品やサービスには以下のようなものがあります。

  • 他の製品、サービスなどで構築した優位性(たとえばブランド、カスタマーベース、チャネルなど)を生かせるもの
  • 技術革新が早いもの
  • 後発の方が投資、コストを低減できる可能性が高いもの
  • 同質化、模倣が容易なもの

SMAには、

  • 顧客教育コストを低くおさえられる
  • 政治や法的なリスクをおさえられる

というメリットがあります。

特にある業界のリーダー企業の場合は、その業界の2位以下の企業が仕掛けたことに対してSMAを効かせるケースが多くなります。