B2Bビジネスをやっていると、目の前の顧客が顧客だと思ってしまいがちですが、本当にそうでしょうか。
B2Bだと、実際は目の前の顧客のその先に、顧客が存在していることがほとんどです。
法人向けのマーケティングを考える際には、そこまで先の顧客を見ておく必要があります。
モノやサービスの対価を支払っているのは誰か
たとえば、メーカーの営業は代理店に販売してお金をもらっていますが、代理店は小売店に販売していますし、小売店は最終消費者に販売しています。
最終消費者のところで、初めてそのものが使用され、そこで生み出されるコトの価値に対して、お金が支払われているわけです。これはメーカーだけでなく、食品業などでも同じ話です。
言い換えると、モノやサービスの価値は最終消費者によって認められて初めて相応の対価が支払われて、サプライチェーン上のプレーヤーをその価値に対する対価を分配されているに過ぎない構造になっているということです。
それを図式化したのが、下図になります。
最終消費者を起点とした価値分配構造
社内目標がエンドユーザー価値と乖離しているケースがある
企業の本来の目的は、顧客に買ってもらえるモノやサービスを提供することです。これらを提供するのが個人では難しいので、会社組織として活動して提供しています。
顧客に買ってもらえなくなると、その会社は存続意義を失い、業績も悪化して、クローズせざるを得なくなります。
これは誰もが説明できれば、わかるはずなのに、往々にして社内目標がこの原則から外れていることがあります。
たとえば、シェアNO.1という目標は、上記を満たした結果であり、本来目標とはなり得ません。
製品やサービスのリリースも、大企業になると惰性で開発をするようになり、リリースすること自体が目標となるケースも増えてきます。
しかし、本来の目的である最終消費者にとっての価値創出を考えると、それに即した目標にするべきでしょう。
そういう意味では、顧客満足度NO.1というのは、どう測るかは別として、目標になり得ます。
もう少し概念的な話でいくと、たとえば自動車メーカーが、顧客に「車を運転する喜びを提供する」という目標を掲げるのはよいことでしょう。
全ての企業活動をエンドユーザー価値創出につなげる
このように図式化すると、全ての活動はエンドユーザー価値につながるかどうかの一点に向けられるべきだとわかります。
メーカー
メーカーは最も簡単に考えられます。代理店や小売店のためでなく、エンドユーザー価値のための商品作りをして、営業活動するべきなのでしょう。
もちろん、代理店や小売店に気持ちよく売ってもらい、その価値を正しく届けるための方策を考える必要はありますが、上図の構造を考えるとエンドユーザーを向いて仕事をするべきであることは明確です。
さらにメーカーの間接部門(人事や財務など)が考えるべきことには次のようなものがあります。
- 価値創出の本流である営業、開発、生産部門の活動をサポートする
- 一人のユーザーの立場で、価値創造のアイデアを出す
前者に関しては、本流部門の生産性を阻害してしまっては、企業の価値創出活動ができないので、彼らが気持ちよく働ける環境を作るのが大事です。(社内の従業員をエンドユーザーと見なすという発想もありますが)
後者に関しては、積極的に新商品のモニターテストに参加するというのがあります。
サプライヤー
メーカーの上流にあるサプライヤーも同じです。
多くのサプライヤーはメーカーの言いなりで物を作って収めるのでしょうが、この構図を理解して、エンドユーザーにとっての価値を明確にして、提案することができれば、メーカーからも一目置かれる存在になることでしょう。
サポーター
サプライチェーンの脇からサポートしているプレーヤーにも同じことが言えます。
広告代理店やコンサルは、クライアントの意向を配慮するのではなく、最終的にそのメーカーが生み出す物が、エンドユーザー価値の最大化につながるような提案を考えるべきなのです。
それがクライアントであるメーカーの利益を最終的に最大化できることにつながるからです。
営業、開発、生産部門などは、わかりやすいでしょうが、IT、人事、経理部門などはどうするのがよいでしょうか。
まとめ
ここに書いたことは商売の基本原則だとは思いますが、大きな企業になればなるほど、 この原則を忘れて、社内の内向きな議論をするようになったり、顧客を無視した目標(シェアNO.1とか、売上10%UPなど)を先行させるようになってしまいます。
- 会社(または事業)は顧客にどんな価値を提供するために存在しているのか?
- その価値を磨くには、どのように活動しないといけないのか?
この2つを改めて考えることで、社内の内向きな議論から外を向いた活動ができるようになるのではないでしょうか。
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