この記事では、おすすめのビジネス書の中からおすすめの一冊を紹介します。
30代、40代のビジネスパーソンが自身のキャリアを見直すきっかけにできる柳川範之氏の著書「日本成長戦略 40歳定年制」についてです。
40歳はキャリアを見直す絶好の時期
本書は、著者の主張である「40歳定年制」を軸に編集、40歳でキャリアを一度見直すことが、日本の成長戦略に寄与するという提言としてまとめています。
日本は少子高齢化の影響で、従来まで労働人口とされていた15歳~64歳は減少の一途をたどり、高齢化社会の到来とともに労働人口の構成比も少なくなっていきます。
一方で、平均寿命は医学の発展により年々伸びており、人生100年時代などと言われ、元気で長生きする人がますます増えていく傾向にあります。
そうした中で、
- 日本が社会として活力を生み出す必要がある
- 年金制度はやがて崩壊する
という観点から、65歳を超えても働く人は今後も増えていくことが予想されます。
さらに、時代の変化が今まで以上に激しくなっており、この記事のタイトルにも抜き出したように「20代のスキルで一生食える時代は終わった」とも書かれています。
そうなると、1クール20年の人生三毛作くらいで考える必要があり、40歳前後というのは、一度キャリアを見直すのに適した時期だと主張しています。これは、40歳で強制的会社を辞めさせるということではなく、40歳で一度定年として、個人の価値観に合わせて、同じ会社に再就職する人、大学院に行って学びなおす人、他社に転職する人など、さまざまなキャリアの選択肢を考えるようにしてはどうかということです。
40歳というのは目安であって、40歳前後と捉えてもよいですし、40代という捉え方もあります。いずれにせよ40歳前後で、スキルや働き方などをアップデートして、次の20年に備えるという考え方を一貫して主張しています。
本書は政策提言という色合いが強いので、だから個人としてどうしろという観点での記載はほとんどないですが、個人を、そして日本を活性化させるには大変面白い提言だと思います。
40歳でキャリアのアップデートをするべき
私は大手の会社に10年以上勤務したあとに転職しましたが、まさにここで提言されている40歳定年を図らずも実行した人間で、この提言は大変納得できるものです。(ただし、40歳前後までに何社も転職されている方にはあまり当てはまらない提言かもしれません。)
その理由は以下の3つです。
理由1:40歳前後は経験が豊富である
40歳前後というのは、社会人15年~20年程度の経歴です。仮に同じ会社に勤めていたとしても、それなりに誇れる経験があるでしょう。
人事や経理での経験などもありますし、営業というのもあります。メーカーだと品質保証や購買という分野もあるでしょうし、プロダクトマネージャーというのもあるでしょう。また、部下を5~15人程度持ってマネジメントした経験もあるかもしれません。
いずれにせよ、40歳前後というのは、こういうことができた、こういうことが得意とアピールできるものがたくさんあるはずです。
理由2:40歳前後になると仕事はマンネリ化する
もし15年も20年も同じ会社に勤めていると必ず仕事はマンネリ化してきます。社内でマンネリを打破する機会があるのであれば、それは大いに結構ですが、異動や新しいことへのチャレンジを会社がすぐに認めてくれるわけではありません。
詳細は以下の記事にも書いていますが、一番怖いのは、マンネリ化、ルーティン化してきて80%の力で仕事をしていたら、いつの間にか、その80%が自分の100%になってしまっているという状態です。
一旦そうなってしまうと、仕事力を回復させるのは難しくなります。そうして、40代後半や50代を迎えると、社内失業状態にも陥ります。ホワイトカラーの生産性が他の先進国に比べて低いと言われる日本ですが、こういう人たちの影響が大きいのでしょう。
理由3:40歳前後はまだまだ元気に動ける
20代の頃のようなわけにはいきませんが、40歳前後ならまだまだ動けます。50歳からキャリアを一旦リセットして経験を積みなおすのは大変かもしれません。しかし、体の動く40歳なら、そこから10年新たな経験を積みなおしても、まだ50歳です。
私は、以下の記事で、職能 × 事業 × 地域 × 基礎ビジネススキルの掛け算がキャリアの道標になると書きましたが、40歳でまでに完成させた掛け算の延長線から外れて、50歳までに新たな能力を得ることで、この掛け算がますます魅力的になるのです。
40歳前後での転職も視野に入れるべき
キャリアのアップデートをするにあたって、何を考えるべきでしょうか。
社会人5年目~10年目のキャリアアップの方法にも書いたように、海外勤務、小さい事業、誰もやりたがらないことへのチャレンジというものありますが、こういう仕事は若手や経営幹部候補に絞って優先的に割り当てられるケースもあります。
そうなると、思い切って転職を考えてみるのも一手でしょう。
40歳での転職事例がまだまだ少ない中で、以下の本は40代での転職事例が豊富に掲載されており、40歳からのキャリアをどうアップデートするかの参考になると思います。
余談ですが、本書は巻末に、「何を成し遂げた人と墓標に刻まれたいのか」ということを自分のキャリアと照らして考えようと書かれていますが、まさに人生100年時代をどう働いてい、何を成し遂げるのかを考えることが大事なのでしょう。
ちなみに私も40歳で大企業からスタートアップに転職していますし、まわりでも40歳を超えて動く事例が見られます。
最近私の周りの40歳を超えた人たちが、「40歳定年制」にならうかのように相次いで大企業を辞めて新たなチャレンジを始めている
35歳転職限界説なんてあったけど、世の中変わってきたね
10年後の自分から見れば今の自分は10歳若いと思ってチャレンジあるのみ
何かをやるのに遅すぎることはない❗️
— セーシン (@n_spirit2004) January 18, 2019
もちろん、必ず転職せよということを言いたいわけではなく、転職も視野に入れておこうという意味です。
転職を視野に入れて考えた結果、今の職場でもっと力を発揮することが自分の活きる道だと思うのであれば、ある意味でキャリアをアップデートできたと考えることもできるわけです。
関連記事:【情報収集だけでも可】転職サイト・エージェントに登録する3つのメリット
まとめ
40歳定年制は、今後の社会の在りようを考えると、決して無茶な提言でもないですし、むしろ積極的に進めるべき提言と言えるでしょう。そのための社会インフラ整備も必要ですし、何より人の価値観が変わる必要があるものではあります。
たとえば、10年前にスマホを使っていた人はほとんどおらず、働き方改革という言葉もなく、今ほど働き方はフレキシブルではなかったはずですが、その10年前と比べると、今の社会は大きく変わっています。
これから10年も経つと、今では想像できない発展・変化を遂げることは間違いでしょうが、40歳定年という考え方は、そうした状況を先取りしたものと、捉えることもできるでしょう。
まずはキャリアの見直し、アップデートのために小さな一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。