みなさんは、こんなことで悩んでいないでしょうか。
仕事上の対立が解消できない。。。
今起きている問題が複雑で、何から手をつけてよいかわからない。。。
他の部門が協力してくれないから、全然仕事が進まない。。。
もし、こんな悩みを解決できる方法があるとしたら、もっと仕事の成果を出せるようになると思いませんか?
実は、こうした悩みを解決するためのガイドとなるが、この記事で紹介する「ザ・チョイス」です。
この記事では、「ザ・チョイス」の概要を書いていきます。
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「ザ・チョイス」の概要・要約
「ザ・チョイス」は、TOC理論を考案したことで有名なエリヤフ・ゴールドラット氏によって書かれた本で、本書にはゴールドラット氏とその娘の対話を通じて、随所に氏の考え方が盛り込まれています。
初版は2008年ですが、本書に書かれていることは、仕事の本質を突く内容が多く、今でも色褪せない内容です。
「ザ・チョイス」に書かれていることは、本書の最後に書かれているこの6つの言葉に集約されています。
「ザ・チョイス」
自分の仕事を見直すために再読
・人は善良である
・対立は全て取り除ける
・どんなに複雑でも実はシンプル
・どんな状況でも著しく改善できる
・どんな人でも充実した人生を達成できる
・常にウィンウィンの解決策があるこの本の内容は、本の最後の言葉に集約されているな pic.twitter.com/HsRrRfnuPP
— セーシン (@n_spirit2004) March 25, 2020
この6つの項目について、本書の内容と私の解釈を交えながら解説していきます。(最後の2つは、説明の都合上、順番を入れ替えて解説します。)
人は善良である
ゴールドラット氏は、徹底的に性善説に立って物事を考えることで知られています。
それを端的に表した言葉が、この「人は善良である」という言葉です。
単に「人を信じましょう」という宗教的なことを言っているのではなく、安易に人のせいにせずに、原因をもっと科学的に考えようという意味で言っています。
どんな仮説を立てるにしても、いきなり人に非を求めるのではなく、本当に相手に責任を求めていいのかどうか、その検証がなされなければならない。
(中略)
充実した有意義な人生を送る可能性を高めたいと望むのであれば、ものごとを明晰に思考する方法を身につけなければならない。そしてそのためには、すぐに人を責める癖はなくさなけれならない。はっきりとした根拠もなく、人に非を求めてはいけないのだ。
ザ・チョイスより抜粋
私にとっても耳の痛いのことではありますが、人は何かうまくいかないことが起こると、「◯◯さんに問題があった」と言って、その人の責任にして問題を片付けてしまうことが多々あります。
本来、問題の真因にたどりつくためには、本当に◯◯さんが原因なのか?他の人なら、同じ問題は起きなかったのか?システム(仕事の進め方やルール)の中に欠陥はなかったのか?と言った問いに正確に答えていく必要があります。
そうした問いに答えることを放棄して、「◯◯さんに問題があった」という一言で済ませないように、ゴールドラット氏は「人は善良である」という前提に立って、物事を考えるべきだと言っているのです。
これは失敗を分析するときのマインドセットとしても有効です。
対立は全て取り除ける
仕事でもプライベートでも、人はさまざまな対立を抱えています。
- 現職にとどまるか?転職するか?
- 投資をするか?投資をしないか?
- 仕事を優先するか?プライベートを優先するか?
こうした対立において、人は往々にして次のような行動をとってしまいます。
- 安易な妥協をする(例:今は忙しいから仕事優先にするしかないな)
- 対立から逃げる(例:判断を先送りにしよう)
これに対する本書の答えがこちらです。
対立に直面した場合、特に適切な妥協点をすぐに見つけることができない時は、
(中略)
前提が違う、どこか根本的な前提が間違っていると考える。もし間違っている前提を見つけることができれば、対立の原因を取り除くことができる。原因を取り除くことで、対立はなくなる。」
実際に対立を両立へと転換するための考え方として、対立解消図・クラウドという手法を提唱しています。
クラウドの詳細は、以下の記事をご覧ください。
また、前提を疑って考えることの大事さは、こちらの記事に書いています。
どんなに複雑でも実はシンプル
問題を打開するのが難しくなればなるほど、人は「この問題は複雑だ」の一言で終わらせてしまい、だから「解決させるのは難しい」という結論に至ってしまいます。
しかし、「ザ・チョイス」では、複雑に見えるものでも、実際にはシンプルだと言っています。
ゴールドラット氏は、この点に関してはニュートンを引き合いに出して、以下のように言っています。
ニュートンは3つの法則を発明したんじゃない。発見したんだ。もともとあったシンプルさを明らかにしただけなんだ。
(中略)
「どうして」、「なぜ」を繰り返すことは、ものごとを複雑にするどころか、逆にすばらしくシンプルにしてくれると彼は言っているんだよ。
さらに、以下の2つの図を複雑な事象は実はシンプルであることを説明しています。
ザ・チョイスより抜粋
一見すると、複雑に見えるシステムBですが、実際はすべての丸印の起点が一番下にある丸印から始まっています。
つまり、一番下の丸印をコントロールすることができれば、システムB全体をコントロールできることになると言っているのです。
うまく組織全体の原因と結果の関係を構築できて、もし根本的な原因を1つに絞り込むことができれば、外見上は複雑に見えても、実は極めてシンプルな組織っていうことになるわね。
ザ・チョイスより抜粋
実際に、ほとんどの物事には因果関係が存在しており、その因果関係の根本に対処することで、問題を一網打尽に解決できることを経験的に感じている人も多いと思います。
このように因果関係を一旦整理してしまえば、物事をとてもシンプルに見通せるわけです。
なお、起きている事象の因果関係を整理・分析するのに使えるのが、コーザリティ分析です。
コーザリティ分析の詳しい解説は、以下の記事をご覧ください。
どんな状況でも著しく改善できる
人はある程度の成果を出せると、満足して「まあ、こんなものでよいか」と思ってしまいがちです。
しかし、本書では、クライアントに大きな改善効果をもたらしたにもかかわらず、もっと改善できる方法があるはずと考えをめぐらすゴールドラット氏の姿が描かれています。
「決して、わかったつもり、知ったつもりになるな」
「すべてを(自ら発明したソリューションでさえ)常に一から考え直せる姿勢を持て」
ザ・チョイスより抜粋
プロスポーツ選手の中に、素晴らしい活躍をしても短期間のうちに成績が下落してしまい、早々に引退する選手と、長年に渡って素晴らしい結果を残せる選手がいます。
短期間の活躍で慢心してしまう人が前者のようになり、「どんな状況でも著しく改善できる」と考えて試行錯誤を重ねていく人は、長年に渡って成果を出すのではないでしょうか。(もちろん、怪我などのやむを得ない事情による引退もあるとは思います。)
常にウィンウィンの解決策がある
ビジネスでも、プライベートでも、対人関係の中でウィンウィンを達成できれば、物事はスムーズに進みますし、達成できないとどこか歪んだ関係になってしまいます。
- 上司と部下
- バイヤーとサプライヤー
- 営業部門と生産部門
こうした関係だと、一方が要求をして、他方がその要求を一方的に受け入れるという構図になりがちです。
これに対する本書の答えがこちらです。
人間は無意識でいると、常に自らの利益を優先させてしまう。ゆえに、ウィン-ウィンのソリューションを構築しようという時は、まず相手の利益を優先させなければいけない。 そうすることが、ウィン-ウィンのソリューションを見つけ出す可能性を高めることにつながるのかもしれない。
ザ・チョイスより抜粋
つまり、相手に提供できる価値が何なのかを最初に考えることが、ウィンウィンの第一歩だと言っているのです。
実際に先ほどあげたような関係の中では、相手の利益よりも自分の利益を先に考えがちです。
- 上司「ちゃんと仕事をして欲しい」、部下「ちゃんと指示をして欲しい」
- バイヤー「なぜ安くしてくれないのか?」、サプライヤー「なぜ高く買ってくれないのか?」
- 営業部門「納期を早くして欲しい」、生産部門「優先順位をつけて欲しい」
このような思考に陥ってしまうと、ウィンウィンの関係を築くのはほど遠くなってしまうというわけです。
私は、ウィンウィンを考えるためには、相手の利益を最初に考えると同時に、両者が共通して取り組むことで生み出される価値に注目させるのがよいと思っています。
- 上司と部下:どういう状態になれば、プロジェクトを円滑に進められるか?
- バイヤーとサプライヤー:どういう状態になれば、最終顧客に喜んでもらえるか?
- 営業部門と生産部門:どういう状態になれば、顧客に喜んでもらえるか?
最終顧客の価値を考えることの重要性は、以下の記事にも書いています。
どんな人でも充実した人生を達成できる
この言葉は、本書の随所で触れられているのですが、トピックとして取り上げられてはいません。
しかし、この言葉はゴールドラット氏の信念で、全ての著書のコンセプトとして一貫して考えられていることなのです。
実際に、以下の5つの考え方をベースに行動し、成果を出せるようになったら、必然的に充実した人生を送れるようになるのではないでしょうか。
- 人は善良である
- 対立は全て取り除ける
- どんなに複雑でも実はシンプル
- どんな状況でも著しく改善できる
- 常にウィンウィンの解決策がある
まとめ
以上が「ザ・チョイス」についての要約・感想でした。
「ザ・チョイス」は、記事のタイトルにも書いたとおり、仕事で成果を出すための本質が記されている本だと思っています。
ボリュームが多く、一つひとつ言葉を噛み締めないと、読み進めないくらい内容のある本ですが、仕事の成果に悩む方にはぜひ一読することをおすすめしたい本です。