自己啓発本を読むと、意識が高まって仕事ができる人になった気になる。でも、実際は何も変わっていないかも。。。
このように感じている人も少なくないのではないでしょうか。
「自己啓発本」と検索して出てくる「人気ランキング◯選」の本を読むと、それなりによいことが書いてあるので、読んだ後には爽快な読後感を得られるのは確かです。
しかし、多数の自己啓発本を読んだ後に何か行動が変わったか?目に見える成果が出るようになったか?と問われると、疑問に感じてしまいます。
つまり、自己啓発本を多読しても意味がなかったと思えるのです。
そこで、この記事では、自己啓発本について以下の3点を解説していきます。
- 自己啓発本の多読に意味がない理由
- 役に立つ自己啓発本が持つ3つのポイント
- 自己啓発本をさらに役立たせる方法
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自己啓発本の多読に意味がない4つの理由
自己啓発本の多読は、なぜ意味がないのでしょうか。
4つの理由があります。
自己啓発本を多読しても意味がない理由
- 多読しても行動が続かないから
- 同じ著者が同じことを切り口だけ変えて書いているから
- 著者の体験談が万人に当てはまらないから
- 偏った考えになる可能性があるから
それぞれ詳細を見ていきましょう。
多読をしても行動が続かないから
勉強法の本やダイエットの本は、毎年新刊が出されています。
では、毎年新しい勉強法やダイエット法が編み出されているのでしょうか?
おそらく、そうではないでしょう。
勉強法やダイエット法の本には、過去の誰かが言ったことや、やったことを再整理して編集されているものも少なくありません。
では、なぜ毎年のように新しい本が出てくるのか?
それは、方法がわかっても続かない人が多いからです。
たとえば、よい勉強法が書かれている本を読んでみたら、それを1-2年続けてみればよいはず。
しかし、結局は続かない⇒成果が出ない⇒他の方法を追い求める、という状態に陥ってしまうのです。
同じように、自己啓発本を多読しても、ノウハウのつまみ食いになるばかりで一つひとつのノウハウを血肉にできないのです。
自己啓発本を多読するくらいなら、自分に合いそうな本をどれか1冊に絞って実践する方が学びは深まります。
同じ著者が同じことを切り口だけ変えて書いているから
自己啓発本には、同じような内容が書かれているものも少なくありません。
特に、同じ著者が書いている本だと、中身の半分くらい、下手をすると8割くらい同じようなことが書かれていることもあります。
切り口や表現は異なるものの、突き詰めてみると「前に読んだあの本と同じこと言っているよな」となってしまうのです。
複数の著書を読みましたが、どれも本質的には似たようなことが書かれています。
最近は、タイトルと目次を見れば、「この人のことだから、多分このようなことを書いていそうだな」と推測できてしまいます。
異なる表現や切り口を読むことで、新たな発見があるかもしれませんが、やはり1-2冊読んで実践してみる方が、多読するよりは意義が大きいでしょう。
著者の体験談が万人に当てはまらないから
自己啓発本に書かれていることは、基本的に著者の体験談に基づいています。
著者が、これまで生きてきた中で、この思考法が最も大事だと思ったものが書かれています。
しかし、その思考法は誰にでも当てはまるものでしょうか?
実は、万人に当てはまる思考法というものは少なくて、人それぞれに合う合わないがあります。
たとえば、体が弱い人に、
「筋トレこそが人生を豊かにするものだ」
と言っても、筋トレによって体を壊してしまうようでは、その人に合っている方法とは言えません。
著者の成功体験に基づいた方法論をいくつも多読しても、最後は自分が成長できる方法を自分なりに見出していくしかないのです。
自己啓発本はサクサク読めるものが多いので、読んだ後に「いやあ、この人すげえな」と思って終わってしまいがちですが、「自分なりにどう当てはめるか?」と思考を深めることが大切なのです。
偏った考えになる可能性があるから
自己啓発本を多く読む場合、自分と全く真逆の意見の本を読むことは少なく、自分の意見に近いものを選択しがちです。
そうすると、考えが偏ってしまいます。
その点については、山口周の著書「知的戦闘力を高める独学の技法」で以下のように書かれています。
「共感できる」「賛成できる」インプットばかりを積み重ねているということは、同質性の高い意見や論考ばかりに触れているということです。こういった知識を積み重ねると知的ストックが極端にかたよって独善に陥る可能性があります。
(中略)
要するに、どんなに知的水準の高い人でも「似たような意見や志向」を持った人たちが集まると知的生産のクオリティは低下してしまうということです。これは個人の知的ストックにおいてもまったく同様だといえます。
知的戦闘力を高める独学の技法より引用
考えの多様性を失ってしまうという意味では、自己啓発本の多読は意味がないどころかかえって悪影響になってしまうのかもしれません。
参考にした本
役に立つ自己啓発本を見分ける3つのポイント
自己啓発本を闇雲に読んでも役に立たないとしても、すべての自己啓発本が無駄か?というと、そうでもありません。
役に立つ自己啓発本には、次にあげる3つのポイントのどれか、もしくは複数があてはまります。
役に立つ自己啓発本を見分けるポイント
- 再現性の高いことが書かれた本
- 長く読まれている古典
- 単に行動を促すのではなく、思考を深めさせてくれる本
それぞれ詳細を見ていきましょう。
再現性の高いことが書かれた本
先ほど、多くの自己啓発本は、著者の成功体験に基づいたものだと書きました。
しかし、もしその成功体験に基づいた内容が、他の人にも適用できているとしたらどうでしょうか?
一気に、内容に対する信頼性が高まることでしょう。
つまり、再現性が高いほど、役に立つ自己啓発本である可能性が高いということです。
再現性が高い内容とは、以下のような内容です。
- 著者以外の人(それもなるべく多様な人)で試してみて成果が出ていること
- 過去の複数の事例から導き出されていること
- 論理的に考えて、そうなるのが必然であること
たとえば、私が読んだ自己啓発本の中で、上記3つに当てはまっていると思うのが、ロバート・キヨサキが書いたこの本です。
見た目が怪しいですし、実際に怪しげなセミナーでも活用されている本であることも事実です。
しかし、お金を増やすための原理原則が書かれているという観点では、上記3つの要素をすべて満たしています。
本書の主張は、一貫して「お金持ちになるには、キャッシュを奪うもの(負債)ではなく、キャッシュを生み出すもの(資産)にお金を使いなさい」という言われてみれば当たり前のものです。
初版から20年以上経っていますが、この主張は現代でもそのまま通用します。
そのため、この本に書かれたことを引用している本は多く、たとえば「金持ちになるための濃ゆい理論」なども上記の「金持ち父さん・貧乏父さん」に書かれたことがベースになっています。
多数の本に引用されている=良書と考えるなら、間違いなく良書になるといえるでしょう。
他には、ビジネス書として世界で30年以上読まれている本としてエリヤフ・ゴールドラット氏が書いた「ザ・ゴール」があります。
一見複雑に思えるビジネスの原理原則が、シンプルかつ普遍的な形でまとめられています。
著者のゴールドラット氏が元々物理学者なので、再現性のある原理原則にこだわっているのも納得です。
アマゾンの創始者ジェフ・ベゾスも、経営幹部に読ませる必読書の1つにしてくらいの本です。
参考記事:ジェフ・ベゾス(アマゾンCEO)が経営幹部の必読書とする本3冊の要約
ザ・ゴールの原書は、分量が多く読むのに苦労するので、概要を手っ取り早く知りたいのであれば、コミック版がおすすめです。
長く読まれている古典
長く読まれている古典も、信頼性の高い自己啓発本でしょう。
長く親しまれている古典には、人間が持っている普遍的な性質を基にしたものが多いので、1人の成功体験を読むよりも示唆に富んでいる場合が多いです。
先ほど挙げた「知的戦闘力を高める独学の技法」の中で山口周は、本を選定する際にはゴミのようなインプットを避ける必要があって、その際の考え方を以下のように述べています。
まずは名著、古典と言われているもの、つまり「ハズレ」のなさそうな評価の確立したインプットをしっかり押さえることが重要だと思います。
知的戦闘力を高める独学の技法より引用
また、「エフォートレス思考 努力を最小化して成果を最大化する」には以下のように書かれています。
本の寿命は、その本の年齢に比例する。本が古ければ古いほど、その本が将来にわたって生き残る可能性が高いということだ(これをリンディ効果という)。だから本を選ぶときは長く読まれている本を優先するといい。つまり、古典を積極的に読んでみよう。
とはいえ、古典をイチから紐解くのは大変なので、たとえば哲学書の概要を知りたいのであれば、前述の山口周が書いている要約書がおすすめです。
単に行動を促すのではなく、思考を深めさせてくれる本
単に「◯◯しよう!」とか、「成功者になりたければ、■■をするのが必須!」と行動を促すものではなく、問題提起によって考えさせてくれる本も有用です。
つまり、すっきりした読後感だけを与える本ではなく、その本を読んで明日から自分は何をしていくべきか?と考えさせてくれる本です。
例をあげると、ちきりん氏の本は、思考を深めさせてくれる本の代表格でしょう。
著者本人も一過性のトレンドをとらえた本ではなく、できる限り長く普遍的に読まれる本を書いていると語っていて、たしかにどの本を読んでも5年~10年に渡って示唆を与えてくれる本になっています。
たとえば、「未来の働き方を考えよう 人生は二回、生きられる」は、何度読み返しても示唆を得られる一冊です。
まさに30代の今、働き方模索中だから、20代に読んだちきりんさんの「未来の働き方を考えよう」を読み返し中…
8年前の本とは思えないぐらい30代会社員に刺さる内容。#ちきりん #先見性 #すごい https://t.co/j0ic8ZRrzz
— たかくん@MR (@WakuWorkLife) July 11, 2021
他には、以下の2冊がおすすめです。
- 自分を市場に売り出す(=お金を稼ぐ)ための方法論を書いた、「マーケット感覚を身につけよう」
- 自分の時間の使い方に対する問題提起をしてくれる「自分の時間を取り戻そう」
これらの本は、この先まだ5年10年は十分に活躍できる内容が書かれたものだと思います
自己啓発本はアウトプットしてこそ意味がある
自己啓発本を読んだら、1つでも実践(アウトプット)することが大事です。
先ほど引用した「エフォートレス思考 努力を最小化して成果を最大化する」には、以下のように書いています。
本を読み終えたら、その本から学んだことを自分の言葉で1ページにまとめよう。ほんの10分程度でいい。自分の言葉で本のエッセンスを抜き出せば、知識の吸収が深まる。要約の作業によって、情報は理解になり、理解が独自の知識に変わる。
このアウトプットを大事にする意味というでも、多読ではなく、できる限り長く親しまれた再現性のある良書を選んで読むのがよいとわかるでしょう。
学びのアウトプット方法を記した本は、当サイトにもまとめているので、自分に合うものを1冊選んで実践してみることをおすすめします。
関連記事:アウトプットの方法を示した本5選
また、これらのアウトプット関連の本を参考にしながら、私なりのアウトプット方法をまとめたのが以下の記事です。
関連記事:読書の効果を高めるアウトプット4つの方法【10年以上実施している方法】
まとめ
以上、自己啓発本の多読には意味がないという話でした。
- 自己啓発本の多読には意味がない。その理由は4つで、多読しても行動が続かないから、同じことが切り口だけ変えて書かれているから、著者の体験談が万人に当てはまらないから、偏った考えになる可能性があるから。
- 役に立つ自己啓発本の代表例として、再現性の高いことが書かれた本、長く読まれている古典、単に行動を促すのではなく思考を深めさせてくれる本などがある。
- 自己啓発本を読んだ後に、学びをアウトプットしてみることで効果が高まる。
ちなみに実用書の場合、自己啓発本と違って多読する意味は大いにあると思っています。
何か1つのトピックに興味を持ったら、その分野の本を複数読んでみるとよいでしょう。