日本が誇る世界的な経営コンサルタントと言えば、大前研一です。
もうすぐ80歳になろうか年齢であるにもかかわらず、執筆活動やご自身が運営するビジネスブレークスルーチャンネルでの論説を精力的にやられています。
今回は、そんな大前研一の古典的名著とも言える著書を中心に紹介していきます。
▼この記事で紹介している本▼
[新装版] 企業参謀 戦略的思考とは何か | ストラテジック・マインド ─ 変革期の企業戦略論 |
マッキンゼー現代の経営戦略 | マッキンゼー変革期の体質転換戦略 |
考える技術 | ハイ・コンセプト |
稼ぐ力をつける「リカレント教育」 | 50代からの「稼ぐ力」 |
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大前研一のプロフィール
以下、プロフィールの抜粋です。
1943年、福岡県に生まれる。早稲田大学理工学部卒業後、東京工業大学大学院原子核工学科で修士号を、マサチューセッツ工科大学大学院原子力工学科で博士号を取得。(株)日立製作所原子力開発部技師を経て、1972年、マッキンゼー・アンド・カンパニー・インク入社。 以来ディレクター、日本支社長、アジア太平洋地区会長を務める。
世界の大企業やアジア・太平洋における国家レベルのアドバイザーとして活躍のかたわら、グローバルな視点と大胆な発想で、活発な提言を行っている。趣味はスキューバダイビング、スキー、オフロードバイク、クラリネットと多彩。
今でこそ世界的に有名なコンサルティング会社のマッキンゼー・アンド・カンパニーですが、大前研一は会社の認知度がほとんどなかった頃に日立製作所から転職して日本・アジアでの展開の礎を築きました。
趣味も非常に多彩で、著書「やりたいことは全部やれ!」の中でも書かれていましたが、1年の中で趣味に充てる予定を先におさえて仕事と同じくらい精力的に楽しんでいるようです。
そんな大前研一なので、これまでに出版した著書も数え切れないくらいあって、公式ホームページによると2019年に7冊、2020年に10冊と、最近もものすごい勢いで著書を書かれています。
大前研一の著書:戦略論を勉強できるおすすめ4冊
大前研一の著書には、今でも世界的に有名な3C分析を世に出した本など、その戦略論の書いた本には、古典的名著とも言えるもたくさんあります。
その中でも、以下の4冊をおすすめします。
[新装版] 企業参謀 戦略的思考とは何か
1975年に初版が刊行された大前研一のデビュー作である企業参謀です。
マッキンゼーのコンサルタントとして日々活動する中で、自身が考えたことや気づいたことをまとめたノートを1冊の本として世に出したものです。
私は大前研一の本をいくつも読んでいますが、正直言うとこのデビュー作の完成度に勝るものはないのではないかと思うくらいよくできた本です。
こちらの新装版は原著をベースに1999年に記されたものですが、出された当時の論説や図表そのままの中身です。
問題点の抽出を目的としたロジックツリー(本書ではイシューツリー、プロフィットツリーと呼ばれています)、事業戦略を考える上でのPPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)、製品開発の指針となるPMS(製品市場戦略)といった現代でも使われるフレームワークを解説。
戦略的思考に基づく企業戦略として、KFS(Key Factor for Success:重要成功要因)に基づく戦略、相対的優位性に基づく戦略、新機軸の展開に基づく戦略を提唱
さすがに1975年に書かれたものなので、出されている事例の古さは否めませんが、内容は現代でも使える本質的な話ばかりです。
大前研一の本を手に取ろうと思うなら、まずはこの1冊と言えるほど代表する1冊です。
ストラテジック・マインド ─ 変革期の企業戦略論
マーケティングや経営戦略を勉強したことのある人なら誰もが知っているフレームワークの1つが3C分析ではないでしょうか。
このストラテジックマインドは、その3C分析を初めて世の中に公開した本です。
大前研一は、本書で3Cのことを戦略的三角関係と表現、それぞれのCに基づいた以下3つの戦略を提言しています。
市場を軸にする戦略:顧客を適切にセグメンテーションして、特定セグメントのニーズを満たす戦略
自社を軸にする戦略:自社のバリューチェーンにおける強みをベースにした戦略
競合を軸にする戦略:コスト、販売チャネルなど、競合との相対的な優位点をベースにした戦略
こちらの本は、Amazonオーディブル(30日間無料体験)で聞くこともできます。
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マッキンゼー現代の経営戦略
本書の初版は1979年に出されていて、ストラテジック・マインドや企業参謀と並ぶ古典とも言える本です。
戦略に関する本は多数ありますが、本書はそれらの原点とも言えるもので、現代の経営戦略にも当てはまる6つの基礎的フレームワークが紹介されています。
<本書で紹介されているフレームワーク>
PMS(Product Market Strategy)
PPM(Product Portfolio management)
PIP(Profit Improvement Program)
OVA(Overhead Value Analysis)
SFM(Sales Force Management)
TPM(Technical Portfolio Management)
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マッキンゼー変革期の体質転換戦略
本書では世の中の構造変化に対して、企業がどう変わっていくべきかという提言をまとめています。
初版は1985年なので、生産や設計の外部活用など今となってはごくごく当たり前のことも書かれている一方で、組織、人材面などソフトの部分は現在でも通じる部分も多くあります。
裏を変えせば、人の特性は今も昔も変わらず、25年前に本書で提言されたことを実行に移すには高い障壁があるということの表れなのでしょう。
企業の構造改革を推進する方や、現状の企業体質を何とか変えていきたいという方におすすめの一冊です。
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大前研一の著書:思考力を鍛えるおすすめ2冊
思考力を鍛えるのにおすすめの2冊です。
考える技術
大前研一は、考えることについて以下のように述べています。
人の2倍考える人間は10倍の収入を得られる。3倍考える人間は、100倍稼ぐことができる。そして10倍考える人間は、時価総額1兆円企業の創業者になれる可能性もある。
考えることはそれだけ重要なことで、特に考えることによって価値を生む力を身につける力は一生モノだと考えています。
他には、このように語っている動画もあります。
マッキンゼーのコンサルティングを始めたとき、フィーは世界共通で1ヶ月2,500万円、そのとき能率協会のベテランコンサルタントが1ヶ月50万円だった。私は32歳、能率協会のコンサルタントは65歳。どうやったらよいか集中して考えた。私にとっては生きるか死ぬかの勝負だった。
そんな大前研一の考える方法論、技術をまとめたのがこちらの一冊です。
論理思考の基本的なフレームワークの理解から、プレゼンにおける提案方法、2階級上のポジションで考える思考実験等、例を交えながら考えるための基本を説いています。
大前研一は、論理的に物事を考えれば、将来を見通すことも可能と言っていますが、実は2004年が初版のこの本に、今後さまざまな機能が携帯電話に統合されていくと未来まで予言しているので驚きです。
大前流の考える技術を知りたい方は、こちらをお読みください。
ハイ・コンセプト
この本は厳密には大前研一の本ではなく、ダニエル・ピンクが書いた「A Whole New Mind: Why Right-Brainers Will Rule the Future」(訳:全く新しい考え、右脳派が未来を作る理由)を大前研一が翻訳した本です。
ハイ・コンセプトは、日本向けにつけられた題名です。
2006年に初版が出されましたが、今読んでも色褪せない洞察が随所に見られます。
まず、右脳派が活躍する時代になる背景として、以下の3つを挙げています。
- 過剰な豊かさがもたらす新たな価値観:左脳派がもたらした繁栄が、合理的で右脳的な感覚に訴えるものに価値が見いだされるようになった。(例:便利で安価な電球がある時代でも、ロウソクの市場はまだ健在である。)
- 次々に湧き出す競争相手:低コストの国への労働シフトが今まで以上に加速していく。
- 多くの仕事が代行される:ルーチンワークを中心に、仕事がソフトウェアに取って代わられる。
こうした状況の中で、価値のある仕事をするために必要となるのが、以下の3つの質問。
- 他の国なら、これをもっと安くできるだろうか
- コンピューターなら、これをもっとうまく、早くやれるだろうか
- 自分が提供しているものは、この豊かな時代の中でも需要があるだろうか
最後に本書では、1番目と2番目の質問にNoと答えられ、3番目の質問にYesと答えるために、必要な完成を以下の6つとしています。
- 機能だけでなくデザイン
- 議論より物語
- 個別よりも全体の調和
- 論理ではなく共感
- まじめだけでなく遊び心
- モノよりも生きがい
本書で書かれている時代の流れは、今後ますます進展していくでしょうから、2020年代にも大いに示唆のある一冊です。
それぞれの詳細は、本書をご覧ください。
大前研一の著書:稼ぐ力を養えるおすすめ2冊
稼ぐ力を養うのにおすすめ2冊です。
稼ぐ力をつける「リカレント教育」
従来必要とされた経営資源は「ヒト・モノ・カネ」と言われた、現代において必要なのは「ヒト・ヒト・ヒト」。
しかし、日本企業には専門性のないホワイトカラーが溢れているため、イノベーションを起こせと指示されても、満足に実行できない状況になっている。
こうした時代に、個人としては必要となるのは、いかにエクセレント・パーソン(傑出した人材)になれるかが鍵で、仕事と学びを何度も繰り返す「マルチステージ型」のライフモデルを考える必要があるとしています。
「時代に淘汰されない、稼ぐ力を身につけるのが、最高の貯金。」
後半では、年代ごとに必要となる学びの領域、学び方を次のように記しています。
- 前半の20年:常に目の前の仕事に全力を注ぐ、その仕事で従来と異なるやり方はないか考える、その道のスペシャリストを目指す。
- 後半の20年:仕事のリストラと脳の筋トレをする、前半の20年で得たスキルで稼ぐ準備を始める、起業や副業のための新しいスキルを身につける
- 定年後:2045年には老後がなくなる、学び直して新しいスキルを身につける
これからの時代を見据えて、伸ばしていくべき能力を考えるきっかけになる一冊です。
50代からの「稼ぐ力」
上で紹介した「稼ぐ力をつける「リカレント教育」」を50代向けに特化して、深堀りしたのがこちらです。
もうこれ以上の出世は厳しかもしれない、かと言って今の仕事以外に何をすればよいのかわらかない。
そんな中年キャリアの迷子になりかけている人たちにエールを送っている本です。
会社では勝ち組になれても、人生の負け組になっては意味がない。
そうならないように、50歳からでも新しいことをはじめて、定年後の人生を乗り切れる準備をしておこうと説いています。(もう◯歳だから、自分には無理とか思わない!)
もうすぐ80代になろうかというのに精力的に動いている大前研一から見れば、50代などまだまだひよこなのかもしれません。
40代、50代に限らず、これからの中年期のキャリアが心配という方におすすめです。
▼詳細の書評はこちらをご覧ください▼
大前研一の強みは最新ニュースの解説
大前研一は、過去に多くの名著を出していますが、大前研一の本当の強みは時事ネタの解説です。
大前研一ならではの視点で、旬のニュースにするどく切り込んでいる媒体を2つ紹介します。
政治経済に関する1ヶ月の論説をまとめた大前研一通信
大前研一通信では、大前研一が、さまざまな雑誌に寄稿した1ヶ月分の論説を1冊にまとめて配信しています。
私はかつて3年ほど大前研一通信を購読していましたが、グローバルな視点で時事ニュースに対する感度を高く持てるようになります。(後述する大前研一ライブを視聴するため、解約しました)
一冊単位での購読や割安で読める定期購読の他にも、過去のバックナンバーを「稼ぐ力セット」、「大前流戦略的発想法セット」、「マネー・資産運用セット」など、テーマに合わせてパッケージにしたものも販売しています。
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