経営戦略論の常識として、チャレンジャー企業がリーダー企業と戦う場合に、リーダーと同じ戦略で真っ向からぶつかっていくと、経営資源の少ないチャレンジャー企業は勝てる見込みが少ないことが知られています。
そのとき、チャレンジャーは競争の軸をずらして戦っていきますが、その際にリーダー企業にとって追随しにくい戦略を立てることで、チャレンジャー企業が継続的に競争優位に立つてるようになります。
ここでは、チャレンジャー企業がリーダー企業にとって追随しにくい戦略を考える際のフレームワークを紹介します。
リーダーが追随しにくい戦略
山田英夫氏著「逆転の競争戦略」によると、リーダーが追随しにくい戦略を以下の4つのタイプに分けています。
競争優位の源泉を攻める | |||
市場資産を攻める | 市場資産の負債化 | 企業資産の負債化 | 企業資産を攻める |
論理の自縛化 | 事業の共食化 | ||
新たな競争要因を追加する |
企業資産の負債化
企業資産の負債化とは、競合の競争優位の源泉を価値のないものにしてしまう戦略です。この方法の代表例として、マネジメントシステムの攻撃とチャネルの攻撃があります。
マネジメントシステムの攻撃とは、リーダーが持っているマネジメントシステムの弱点を突く方法です。たとえば大量生産を強みとしたシステムである企業に対して、少量多品種での戦いなどが挙げられます。
チャネルの攻撃とは、リーダーが持っている流通網の大きさゆえに追随しにくい戦略をとることです。たとえば、対面型の証券会社に対して、ネット証券というのは、チャネルの攻撃の代表例になります。
市場資産の負債化
市場資産の負債化とは、リーダー優位の競争ルールを変更して、顧客の資産を無効化してしまう戦略です。たとえば、他社のポイントカードを持って来れば割引するというのは、市場資産の負債化にあたります。他社がリピート客を増やすために時間をかけて発行してきたものを一瞬して無効化してしまうためです。
事業の共食化
事業の共食化とは、リーダー企業が追随することで強みである製品やサービスを共食いしてしまう(売上・利益を大きく落とてしまう)製品やサービスを提供する戦略です。
たとえば、機能がシンプルな話すだけの携帯(高価な多機能機種が売れなくなる)、小型歯ブラシ(歯磨きの使用量が落ちるためリーダーは追随しにくい)などがあげられます。
論理の自縛化
論理の自縛化とは、リーダー企業が追随することでこれまで発信してきた内容と矛盾する製品・サービスを提供する戦略です。
たとえば、缶コーヒーを男性向けのイメージで販売していたリーダーに対して、チャレンジャーが女性をターゲットとした缶コーヒーを出す場合があげられます。女性向けへの追随はこれまでのPR内容と矛盾するため、リーダーにとっては大変追随しにくい商品になってしまいます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。業界NO.1企業というのは、NO.1であるがゆえに捨てられないものをたくさん持っています。チャレンジャーは敢えてそこを狙っていくことで、独自の地位を獲得できる可能性があるのです。
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