外資系の会社では、社内の日本語のコミュニケーションの中でも、時折英語が混ざるのを度々見かけます。
たとえば、デッドライン(納期)とか、レコメンデーション(推奨)とか、プロポーザル(提案)などです。
これは、会計用語も例外ではありません。
この記事では、外資系でよく使われる英語の財務会計と管理会計に出てくる用語である、COGS、SGA、CAGR、EBITについて解説します。
COGS
COGSとは、損益計算書におけるCost of Goods Salesの略で、売上原価のことを示します。読み方はコグスです。
売上原価の詳細は以下のページに記載しました。
SGA
SGAとは、Selling and Generally Administrative expensesの略で、損益計算書における販管費のことを示します。
SG&Aと表示することもあります。(むしろSG&Aの方が多いです)。読み方はエスジーエー、またはエスジーアンドエーです。
販管費とは、販売費及び一般管理費の略称です。
財務会計上、製造のためのコストは製造原価(売上原価)に計上されます。一方で、作った物やサービスを現在または将来販売するためにかけるコストは販管費として計上されます。
たとえば、販管費には次のようなものがあります。
- 製品やサービスを販売するための営業にかかる人件費(製造にかかる人件費は売上原価に入ります)
- CMにかかる広告宣伝費
- 商品開発費(将来の販売のためにかける費用)
- 商品などの運搬費
- 社会保険などの福利厚生費
- 通信費、水道光熱費(これらも製造のためにかかる場合は売上原価に入ります)
CAGR
CAGRとは、Compound Annual Growth Rateの略で、複利計算によって求めた成長率のことです。
CAGRは、年平均成長率と訳されます。読み方は、シーエージーアールまたはケーガーです。
CAGRは、次のように求められます。
CAGR = (Y年度の数字/X年度の数字)^{1/(Y-X)} - 1
CAGRの計算例 エクセスの数式
たとえば、ある企業の売上推移が次のようになっているとします。
Year 1 | Year 2 | Year 3 | Year 4 | Year 5 | |
売上高 | 300 | 305 | 310 | 380 | 500 |
対前年売上高成長率 | – | 1.7% | 1.6% | 22.6% | 31.6% |
Year1に対するYear5の売上高成長率を単純平均すると14.4%になりますが、この単純平均は実際の平均複利成長率ではありません。そこでCAGRを計算するわけです。
CAGRを計算すると次のようになります。
CAGR = (500/300)^{1/(5-1)} - 1 = 13.6%
これは、Year1から毎年13.6%の成長を続けると、Year5には売上高が500になることを意味します。CAGRとはこのときの13.6%のことを指すわけです。
上記のように数式を作ればエクセルでも簡単に計算することができます。
実務でのCAGRの使用例
実務上は、3年~5年程度の売上や市場の成長率に使われます。
たとえば、市場の成長トレンドを示すときは以下のようになります。
- アメリカ市場: CAGR 2%
- 南米市場:CAGR 8%
- アジア市場:CAGR 5%
EBIT
EBITとは、Earning Before Interest and Taxの略で、税引前利益に対して金融収支(利息の支払いや受取り)を差し戻してたものです。
読み方はイービットです。
日本語に直訳すると税引き前金融収支前利益になります。
実務的には損益計算書における営業利益をほぼ同じものとして扱うこともあります。
(ちなみに営業利益のことをOperating Profitというので、OPなどと略されることもありました)
EBITの計算式は以下のようになります。
EBIT = 税引前利益 + 支払利息 - 受取利息
EBITから税金を引いたものをNOPAT(税引後利益)、EBITに減価償却費を足したものをEBITDA(イービットディーエー)といいます。
EBITDAは、EV/EBITDA倍率という形で理論株価を計算するときにも使われます。
まとめ
外資系で使う会計用語として、ここに挙げた4つは頻出です。
実際、私も外資系企業または外資系企業出身者と事業計画の打ち合わせをしていたときには、頻繁にここにあげた用語を使っていました。
ビジネスパーソンのみなさんも、ここにあげた用語は最低限の知識として身につけておくとビジネスにおける会話がスムーズに進むことでしょう。