この記事では、売上原価について解説していきます。
売上原価とは
売上原価とは製品やサービスを構成するのに必要な原価のことで、小売業の場合、外部からの材料の仕入原価を売上原価に用います。メーカーの場合、仕入原価に製造ラインでの人件費、減価償却費や光熱費などが加算された製造原価を売上原価を用います。
(製造業) 売上原価 = 期首製品 + 当期製品原価 - 期末製品
(非製造業) 売上原価 = 期首商品 + 当期仕入原価 - 期末商品
売上原価のことをCost of Goods Salesの頭文字をとってCOGS(コグスと読みます)と表すこともあります。
製品の価格は、この売上原価(コスト)を上回るように設定されるべきですが、そもそも売上原価の算出は容易ではありません。
なぜなら、コストを算出する際、たとえば生産設備の稼働率をいくつに設定するか、あるいは商品に直接関係ないコスト(設備の光熱費など)をどのように商品ごとに割り振るかで変わってくるからです。
原価計算の方法
直接原価計算
直接原価計算とは、費用を直接変動費と固定費にわける原価計算です。この方法だと限界利益などの指標が明確になるというメリットがありますが、計算が複雑になる上、日本ではこの手法で計算した原価を外部公表データとして認められていないというデメリットがあります。
全部原価計算
全部原価計算とは、売上原価に含まれる費用は変動費、固定費に関係なく、工場の費用か否かだけの判断で行われる原価計算です。容易に算出できるメリットがありますが、変動費、固定費の判断ができないなど管理上は使い勝手のよくない計算方法です。
会計基準の変更に注意
売上原価は会計基準、たとえば棚卸資産の評価方法や減価償却費の計算方法によって異なってきます。したがって、同じ会社が会計基準を変えた場合には注意が必要です。もちろん会計基準が変わっても、原価の計上をいつ行うかが変わるだけで、原価の総額が変化するわけではありません。
管理会計上の原価の取扱いを解説した記事