マーケティング戦略を立案する際に、顧客の理解を深めるための方法として、カスタマージャーニーマップを作ることが挙げられます。
この記事では、そのカスタマージャーニーマップについて解説していきます。
カスタマージャーニーマップを整理できると、以下のメリットがあります。
- 顧客が商品を購買する前後の行動や気持ちがわかるようになる
- 購買プロセスの中で、最も重要なプロセスを特定できる
- その結果、売上を伸ばすために適切なアクションができるようになる
カスタマージャーニーマップとは
カスタマージャーニーマップとは、顧客が商品を認知してから購買し、購買後の行動に至るまでの一連の流れを示したものです。
そのまま直訳すると、顧客の旅路(=カスタマージャーニー)を示した地図(=マップ)になります。
このブログでも取り上げているフレームワークであるAIDMA、AMTUL、AISASなどもカスタマージャーニーを構成する要素のひとつです。
カスタマージャーニーマップを作るメリット
カスタマージャーニーマップを作ることで、以下のことを明らかにできます。
- 顧客が製品やサービスを購買に至るまでのプロセス・行動
- プロセスの中で顧客が感じていることや悩み
- プロセスの中で最も大きな悩み、言い換えるとお金を払ってでも解決したい困り事
これらを明らかにできることで、プロダクト・マーケット・フィットを確認するための大事な一歩となって、商品が失敗する確率が減らすことにつながります。
カスタマージャーニーマップの作り方
カスタマージャーニーマップを作るときには、大きく6つのポイントがあります。
- ペルソナを特定する
- 購買前後のプロセスを洗い出す
- 各プロセスにおける顧客のタッチポイントを明確にする
- 各プロセスにおける顧客のニーズ、悩み、感情の動きを書き出す
- ユーザーにインタビューをして仮説を検証する
- 各プロセスにおける改善機会を特定する
以下に詳細を解説していきます。
ペルソナを特定する
ペルソナとは、ターゲットとする顧客セグメントにおける代表的なプロフィールを持った人物のことです。
ペルソナは、その語源がギリシア語の仮面と言われていて、基本的には仮想の人物ではありますが、できる限り実際の人物像に近いプロフィールであるべきです。
以下のようなポイントがプロフィールの例です。
- 30歳、既婚女性
- 年収:450万円
- 1ヶ月に自由に使えるお金:50,000円
- 趣味:旅行、ヨガ、読書
- 外食費●円、旅行代●円、その他趣味●円
より精緻なカスタマージャーニーマップを描くために、「◯◯さん」という固有名詞で特定できるくらいまでペルソナを掘り下げる場合もあります。
購買前後のプロセスを洗い出す
ターゲットとなる顧客が購買前から購買に至るまでのプロセス、さらに購買後の行動まで洗い出していきます。
購買プロセスは、商品・サービスによって異なりますが、先ほど挙げたAIDMA、AMTUL、AISASなど購買プロセスの一例として参考になるでしょう。
製造業だと、以下のようなプロセスが代表的なものになります。
各プロセスにおける顧客のタッチポイントを明確にする
購買プロセスが明らかになったら、各プロセスの中で顧客がもつタッチポイント(接点)を考えていきます。
タッチポイントとは、顧客の購買行動に影響を及ぼす人や物です。
先ほどの購買プロセスを使って、以下のようにタッチポイントの例を書いてみました。
各プロセスにおける顧客のニーズ、悩み、感情の動きを書き出す
購買プロセスとタッチポイントを明確にできたら、各プロセスにおける顧客のニーズ、悩み、感情の動きを示していきます。
下図がその例です。
このようにマップ上にまとめることで、顧客が購買プロセスの中で、どこにストレスを感じていて改善緊急度が高いかが明確になります。
ユーザーにインタビューをして仮説を検証する
上記のペルソナとカスタマージャーニーマップは、仮説に基づいて作られたものなので、本当にそうなのかを検証する必要があります。
そのために有効になるのが、ユーザーインタビューです。
インタビューでは、主に以下の3点を明らかにしていきます。
- 顧客が持つ課題(最も大きな課題を最大3つ)
- 現状の代替案(課題を解決するために、現状使っている手段)
- 上記の課題を持っている顧客セグメント(ペルソナの精緻化)
このインタビューの目的は、仮説ベースで作ったペルソナとカスタマージャーニーマップの検証および修正なので、それに特化した質問を繰り返していきます。
一般的なインタビューのステップは以下の6つのステップです。
導入 | お互いの緊張を解くための会話し、インタビューの背景を說明します。 |
属性情報の収集 | 性別、年齢、想定年収、趣味、休日にやっていること等、ペルソナを整理する際に必要となる属性情報を集めます。 |
上位3課題の特定 | 顧客が感じている上位3つの課題を聞き出します。 |
顧客から見える景色の理解 | 3つの課題に付随して顧客から見える景色を理解します。このフェーズでは、相槌を上手に使いながら、「なぜそう思ったのですか?」等、回答の意図や理由を掘り下げる質問を繰り返することが大事です。 |
クロージング | 顧客が話してくれたことを整理して、理解に間違いないかなどを確認して終了します。 |
インタビューを実施する人数に決まりはありませんが、一般的には10名から多いと30名くらい実施します。
ゴールの目安としては、インタビューの中で、想定するペルソナに近い人達が、共通して同じ課題を話すようになったときです。
このような状態になると、複数の人が共通して同じ課題を持っている、すなわち背後に大きなニーズが眠っていることがわかるからです。
各プロセスにおける改善機会
インタビュー結果を踏まえて、仮説で作ったカスタマージャーニーマップに修正を加えます。
そこに、インタビューを通じて見つかった改善機会を加えることで、カスタマージャーニーマップが完成します。
最終形は下図のようになります。(あくまで一例です)
カスタマージャーニーマップ2つの事例
カスタマージャーニーマップの事例を2つ紹介します。
全て英語版ですが、英語がわからない方でも、雰囲気を掴んで頂けるかと思います。
LANCOME
こちらは化粧品会社ランコムのカスタマージャーニーマップです。
ランコムの顧客が、ランコムというブランドの購買前後の経験する感情をグラフで表現しています。
https://www.behance.net/gallery/Lancom-brand-journey/5217737から引用
Rail Europe
こちらはヨーロッパ鉄道のカスタマージャーニーマップです。
旅のプランから予約、実際の旅行までのプロセスをカスタマージャーニーマップ上に可視化して、どこに改善機会があるのか一覧にしています。
https://cxl.com/blog/customer-journey-mapping-examples/から引用
まとめ
以上が、カスタマージャーニーマップの解説でした。
- カスタマージャーニーマップは、顧客が製品やサービスに持つ深い悩みや改善機会を見える化するためもので、プロダクト・マーケット・フィットの確認に役立つ。
- カスタマージャーニーマップを作るときのプロセスは大きく6つ、「ペルソナを特定する」、「購買前後のプロセスを洗い出す」、「各プロセスにおける顧客のタッチポイントを明確にする」、「各プロセスにおける顧客のニーズ、悩み、感情の動きを書き出す」、「ユーザーにインタビューをして仮説を検証する」、「各プロセスにおける改善機会を特定する」がある。
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