この記事では、企業再生時に使われる4つの資金調達方法について解説していきます。
DES(デット・エクイティ・スワップ)
デット・エクイティ・スワップとは、企業が金融機関に対して背負っている債務を株式と交換することいいます。デット・エクイティ・スワップは、文字どおり、デット(負債)とエクイティ(資本)をスワップ(交換)することで、企業の再建支援のひとつ方法として用いられます。デット・エクイティ・スワップのことを日本語では、債務株式化といいます。
デット・エクイティ・スワップは、企業にとっては債務の元本返済の負担がなくなるというメリットがあり、金融機関にとっては企業が再建に成功すれば、株式からの配当やキャピタルゲインによって利益を出せるというメリットがあります。
ただし、デット・エクイティ・スワップは、企業の再建が失敗に終わると、双方にとってデメリットが発生してしまうため、慎重に検討される必要があります。
債務の交換による企業再建支援としては、この他に債務を株式ではなく、別の返済条件に切り替えるデット・デット・スワップというものもあります。
DDS(デット・デット・スワップ)
デット・デット・スワップとは、企業が金融機関に対して背負っている債務を返済条件を変えた別の債務と交換することいいます。
デット・デット・スワップは、文字どおり、デット(負債)とデット(負債)をスワップ(交換)することで、企業の再建支援のひとつ方法として用いられます。デット・エクイティ・スワップでは、一般的に通常債務を劣後債に切り替えるなどの形で行われます。
債務を株式と交換するデット・エクイティ・スワップでは、株式の売却が難しい中小企業にとっては、導入しにくいものです。しかし、デット・デット・ス
ワップでは、金融機関にとっては通常の債務を資本と見なせる劣後債にすることができ、中小企業にとっても借り入れ条件の返済だけで済むため導入が簡単になります。
ただし、デット・デット・スワップは、企業の再建が失敗に終わると、双方にとってデメリットが発生してしまうため、慎重に検討される必要があります。
DIPファイナンス
DIPファイナンスとは、倒産手続き開始後も経営権を有する債務者(Debtor In Posssession)が更生手続き開始から完了までの間に行う融資のことです。DIPファイナンスは大半が無担保で行われます。
DIPファイナンスが用いられるのは、次のようなときです。
- 本業に力があり、再生可能性の高い企業
- 管財人よりも旧経営陣が経営した方が再生可能性の高い場合
- 倒産手続きに入った企業の資金繰りが急速に悪化した場合(仕入先が現金払いを要求してくる場合など)
DIPファイナンスは、再建したい企業の運転資金を短期的に手当てするためのつなぎ融資という意味合いが大きくなります。また、仕入先にも確実に仕入れ代金を払うというアピールにもなります。
DIPファイナンスは、一定の条件が揃うと優先的に弁済を受けることができます。
■DIPファイナンスとEXITファイナンスの関係
デットアサンプション
デットアサンプションとは、企業の発行した債券の元利払いを金融機関に引き受けてもらうことをいいます。
企業は、デットアサンプションを行うことで、満期日より前に償還できない債券や、買入れ償却できない債券を金融機関に引き受けてもらうことができます。また、デットアサンプションが実質的に債券の繰り上げ償還にもなることを利用して、業績の良いときに債券を償還しておいて、将来の金利負担を減らすことができます。
金融機関は債券を肩代わりする見返りに、企業から預金などの形で現金を対価として受け取ります。そして、受け取った現金を貸し付けなどで運用し、運用益を元手に債券の持ち主に元利金を支払います。