DICEフレームワークとは、BCG(ボストン・コンサルティング・グループ)によって提唱されたプロジェクト評価のためのフレームワークです。DICEはそれぞれ、Duration、Integrity、Commitment、Effortの頭文字です。
この記事では、DICEフレームワークの使い方とそのメリット・デメリットを解説していきます。
DICEで使うプロジェクト評価指標
Duration(デュレーション)
プロジェクトの期間を表します。小さなプロジェクトの場合、プロジェクト全体の時間を適用し、大きなプロジェクトの場合、マイルストーン間の時間になります。
Integrity(インテグリティ)
Integrityは直訳すると、「誠実」とか「規範」といった意味になります。DICEフレームワークにおけるIntegrityは、チームがプロジェクトを納期どおりに仕上げる能力、プロジェクト要求を満たすスキルに対する評価になります。
Commitment(コミットメント)
変化を起こすという公約・義務のことです。シニアマネージャークラス(C1)とプロジェクトメンバー(C2)は分けて評価されます。
Effort(エフォート)
実際のプロジェクトメンバーが能力を超えて努力した部分です。
DICEではプロジェクトのスコアを以下のように計算します。
プロジェクトスコア=D+(2×I)+(2×C1)+C2+E
このとき各要素を1~4のスコアで評価をします。1が最もよく、4が最も悪い評価になります。したがって7が最もよいスコアとなり、28が最も悪いスコアになります。
DICEでのプロジェクト評価方法
上記で求めたスコアは、そのスコアのレンジによって、以下のように分類されます。
健全ゾーン(WIN ZONE)
7~14のゾーンです。このゾーンであれば、プロジェクトは成功裏に進められていることを示します。
懸念ゾーン(WORRY ZONE)
14~17のゾーンです。リスクのあるゾーンで、リスクを速やかに低減させる必要があります。
危険ゾーン(WOE ZONE)
17を超えるゾーンです。このままいくとプロジェクトは失敗に終わるので、すぐさまにプロジェクトの危険ゾーンから抜け出させるために何らかの決断をする必要があります。
DICEを使ってレビューをすることで、プロジェクト間の状況を客観的に比較することができます。また、メンバー変更などの何らかの手をうったときに、プロジェクトがどのように変化したかを確認することができます。
DICEのメリット
上記に記したように、DICEで評価をすることで、容易にプロジェクト間を比較することができます。さらにプロジェクトのリスクを関係者と共有することも可能です。特にリソース配分をできる意思決定者に対して、プロジェクトの状況を知らせるのに活用できます。そうした意思決定者にとっても、プロジェクトの詳細までは把握できていないことが多いので、このように評価をすることで、意思決定の助けになるのです。
DICEのデメリット
数字自体は客観的に比較できますが、各要素は主観に基づいて評価されます。したがって、同じプロジェクトを異なる人が評価した場合に、異なる評価になる可能性があります。また、DICEは上述の4要素だけでの評価なので、それ以外の定量評価しにくい要素、たとえばモチベーションやリーダーシップなどを考慮することができせん。
まとめ
上記のようにデメリットもあるDICEですが、プロジェクトの評価を定量的に示すことは、プロジェクト関係者や経営陣から見ても大変意義のあることです。なぜなら、特にリスクのあるプロジェクトに対しては、手遅れにならないように経営陣も含めた迅速なジャッジを求められることが多いからです。このDICEフレームワークは完璧なモデルではないですが、プロジェクトの状態を可視化する上でのひとつの解決策を示しています。
もし、このモデルが自社に適用しにくいと感じるなら、この要素を参考にして、独自の要素を加えて、運用しやすいフレームワークにすることも可能です。