人材マネジメント

階層のないフラットな組織 メリットと課題

以前の記事で、今後のあるべき組織形態・仕事の進め方について書きましたが、その際に階層のないフラットな組織についても言及しました。

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ここでは、フラットな組織のメリットと課題について書いていきます。

 

フラットな組織とは

フラットな組織とは、従来の縦に多くの階層がある組織ではなく、マネジメント層と従業員が直接コミュニケーションをとり、レポートをする組織です。

従来組織には、社長、(事業部長)、部長、課長、係長、ヒラという感じで、社長からヒラまで5階層ないしは6階層あるのが一般的でした。フラットな組織とは、これらの階層がない、または少ない組織のことです。

スパン・オブ・コントロールの考え方をすると、1人のマネージャーで8~10人程度の人間はマネジメント可能なので、数千人規模の会社であれば多くとも4~5階層で事足りるとなりますが、それよりもフラットにするという考え方もあります。

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フラットな組織では、従業員ひとりひとりが権限を委譲されて、ある程度業務の意思決定をその場で下せるようになっています。では、フラットな組織にはどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは4つのメリットを取り上げるとともに、課題についても言及していきます。

メリット1.オペレーションコストを低くおさえられる

フラットな組織では、中間層の従業員を雇う必要がなくなります。その分のお金を他のことにまわすこともできます。

たとえば、マーケティングや宣伝広告のようなものに投資することができます。また中間層がいなくて、経営陣と従業員がダイレクトにつながっているので、従業員も生産性高く働くことができます。

メリット2.コミュニケーションがスムーズになる

従来型の階層の深い組織のデメリットは、中間層にいる人数のため、上下のコミュニケーションが遅くなり、かつ正確さを損なってしまうことがあります。

フラットな組織では、そうした階層を通じたコミュニケーションが必要なくなります。これはコミュニケーションのスピードを上げることだけでなく、コミュニケーションの間違いを減らすことにもつながります。

メリット3.マイクロマネジメントを減らせる

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従来型の階層の深い組織では、日々の詳細タスクについて細かく管理する傾向が見られます。こうした管理を続けると、従業員はマネージャーへの相談や承認をもらうことなしに動けなくなり、結果として創造性を欠くようになってしまいます。

メリット4.従業員のモチベーション・満足度を高める

フラットな組織に所属する従業員は、物事がうまく進んでいる限りは、自分の考えたアイデアや方法を実行することができます。

この権限委譲は単に生産性を高めるだけでなく、従業員のモチベーションにもよい影響があります。もし従業員が信頼されていると感じると、彼らは能力を最大限発揮してベストを尽くすようになり、仕事への満足感も高められるようになります。

フラットな組織に対する懐疑的な意見

フラットな組織には、上記のようにさまざまなメリットがありますが、否定的な意見もいくつかあります。

たとえば、中間管理職がいないことにより責任が曖昧になる可能性もあります。

あるいは、物理的なヒエラルキーができないかわりに、インフォーマルな個人間のヒエラルキーによって組織活動が支配されるようになるという意見もあります。本来フラットな関係の集合体であるはず学校のクラスでも、ときにこのようなヒエラルキーが形成されるからです。

また、フラットな組織での権限委譲は、経験不足の人材による間違った意思決定につながるという指摘もあります。

まとめ

フラットな組織は、従業員のモチベーションを高める効果がありますが、一方でモチベーションの高い人間の集まりでないと実現しにくいという現実もあります。

実際、誰にもゴールが明確で、セルフスターターのように自らエンジンに点火して動ける人間の集まりであれば、階層の深い組織よりもフラットな組織の方がフィットするでしょう。これは卵か先かニワトリが先かという話になりますが、組織形態をフラットにするかどうかは、状況や目指す方向に応じて考えるべきだということです。

今後の世界の潮流(組織よりも個人が台頭する時代)を考えると、会社全体でなくても会社の部門ごとかもしれませんが、私は遅かれ早かれフラットな組織形態に移行していくと考えています。

これは冒頭にあげたリンク先にあるプロジェクトベースの働き方とも関連してくるでしょう。

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