以下の記事でも解説したように増配や自社株買いは理論上株価を上げることにはなりません。
では、会社が株価を上げるにはどうのようなことをすればいいのでしょうか?
この記事では、会社が株価を上げる投資について解説していきます。
投資前の状態
(配当政策と株価のケースの初期状態と同じです)
ある会社が増配をするケースを考えます。増配前の貸借対照表は次のとおりです。ここでは、配当金の変動が株価に与える影響を見るため、極めて単純なモデルを考えます。貸借対照表の各項目は全て時価であると仮定します。
■投資前の貸借対照表 (万円) 【発行株式数 3万株】
現金 300 | 借入 0 |
資産 1500 | 株式 1800 |
総資産 1800 | 総資本 1800 |
この会社の企業価値は、現金とキャッシュフローを生む資産の合計1800万円です。借入金は0なので、
この会社の株主価値は、企業価値と同じく1800万円になり、これを発行株式数で割ると株価が算出できます。
株価 = 1800万円 / 3万株 = 600円
投資後の状態
ここで、この会社が現金150万円を使って、現在価値が450万円になるようなプロジェクトに投資をしたとします。そうすると、貸借対照表は次のようになります。
■投資後の貸借対照表 (万円) 【発行株式数 3万株】
現金 150 | 借入 0 |
資産 1500 | 株式 2100 |
プロジェクト 450 | - |
総資産 2100 | 総資本 2100 |
この表からわかるように、この会社は現金を有効に使って、企業価値を高めることに成功しています。この時点での株価を計算すると次のようになります。
株価 = 2100万円 / 3万株 = 700円
会社はプロジェクトに投資することによるインパクトは、株価にすると+100円分だったということになります。
企業価値を高める投資
ウォーレン・バフェットは、株式の配当金を増やすよりも、企業価値を高める投資をして欲しいという考えを持っています。配当政策と株価とこのページで解説したように、理論上でもバフェットの考えが株主のためになるということがわかります。(ただし、株主が企業の投資以上の利回りで資金を運用できれば、配当金の方が有利になります)
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