成果を出せる人、成果をなかなか出せない人。
今まで、仕事でさまざまな人を見てきましたが、仕事で成果を出す人が例外なく持っている共通点があります。
それが、「失敗に向き合い、次につなげている」ことです。
しかし、失敗に向き合う際には、コツが必要ですし、やってはいけないこともあります。
この記事では、その失敗からの学びを最大化する方法について解説していきます。
失敗からの学びの最大化は、効率的に仕事できることにもつながります。
人のせいにする「他責」はダメ
まず、悪い頭の使い方から先に書くと、失敗をしたときに安易にやってはいけないことが、「他人や環境のせいにする」ことです。
よく言われる話ですね。
他人や環境のせいにすると適度に自己防衛できるので、精神的にはとてもラクですが、それによって問題を根本から解決できたり、自分自身の成長につながったりすることは、まずありません。
安易に他責にすることへの警鐘が、私が愛読する「ザ・チョイス」にも明確にも書かれています。
どんな仮説を立てるにしても、いきなり人に非を求めるのではなく、本当に相手に責任を求めていいのかどうか、その検証がなされなければならない。
(中略)
充実した有意義な人生を送る可能性を高めたいと望むのであれば、ものごとを明晰に思考する方法を身につけなければならない。そしてそのためには、すぐに人を責める癖はなくさなけれならない。はっきりとした根拠もなく、人に非を求めてはいけないのだ。
ザ・チョイスより抜粋
誰かを悪者にすると、その集団での結束がより強固になる部分があるので、ついつい他責にしてしまいがちです。
言われてみれば当たり前のことですが、失敗を他責にしていないか?は意識を払っておく必要があるでしょう。
なお、「ザ・チョイス」の要約は、以下の記事にまとめています。
自分のせいと考える「自責」もダメ
他人や環境のせいにするのがダメだからといって、「自分の責任だ」と言って、自分を一方的に責めるのも実はあまり意味がありません。
よく精神論的にも使われる
自分の責任だと思って考えろ
という言葉です。
真面目な人にこういう考え方をする人が多く、うまくいかないのは「結局、自分に能力がなかったからなんだ」という思考に陥りがちです。
これは他責にするよりはマシな思考に見えますが、以下のようなデメリットがあります。
- 結局、何を改善すればよいかわからない
- 自分には能力がないという言い訳にもできてしまう
- 自責の念を持つと精神的に辛くなるので、むしろ失敗から目を背ける方向にも向かってしまう
他責でも自責でもない前提条件の分析
では、失敗に向き合うためには、どのような考えたをするとよいのでしょうか?
それは、前提条件が正しかったのか?を検証することです。
読書猿さんが記された「独学大全」にも以下のように記されています。
無知くん:失敗から学ぶにはどうしたらよいですか?
親父さん:何が想定外だったか、具体的にチェックし、その原因を考えることだ。
出典:独学大全
結果には必ず原因(前提条件)が隠れている
世の中に起きていることには、因果関係が存在します。
「AだからB、BだからC、結果AだからCになる」
このような場合、A、B、Cが因果関係を持っていることになります。
実は、この因果関係を考えるのに大事なのが前提条件です。
もし、何らかのアクションをとって失敗した場合、当初想定した前提条件にそもそもの間違いや考え漏れがなかったかを検証してみるのです。
たとえば、ある人が次のように考えてアクションを起こしたとします。
当初の想定
【前提条件】Tシャツが流行っている
【やったこと】Tシャツを販売する
【結果】Tシャツが売れる
しかし、実際の結果はこうなりました。
実際の結果
【結果】Tシャツは売れなかった
この因果関係を見ると、以下のように結論づけることが無意味かがわかると思います。
- Tシャツをデザインした人間が悪かった(他責)
- 店頭で売っていた人間の能力が低かった(他責)
- 自分にはTシャツを売る才能がない(自責)
当初想定していた論理構成を見ると穴だらけだと思わないでしょうか。
考えられる前提条件の間違い
- Tシャツが流行っているという一般論だけで、どんなTシャツでも売れるとは限らない
- 流行っている背景が深堀りできていない
- 売ったTシャツが、流行の背景に合ったものかがわからない
それなのに、他責や自責にしていては、永遠に問題解決にはつながりませんし、失敗から学ぶこともできません。
したがって、ここでやるべきことは、以下の1点です。
当初想定した前提条件の間違いを分析して、より正しいと思われるアクションをする
簡単な例を使って説明しているので、
そんな簡単なことだったら、すぐにわかるよ
と思うかもしれません。
しかし、実際のビジネスの場面では、多くの人が前提条件を当たり前のことと思っていたり、暗黙の前提条件だけで実行に移したりして、失敗しているケースが多数あります。
挙句の果てに、自己保身に走って他責を繰り返す人が出てきて、組織として前提条件の検証すらできない状況にもなるのです。
前提条件を考えた上での行動が、失敗からの学びにもつながる
先ほど引用した「独学大全」の一節には、続きがあります。
無知くん:失敗から学ぶにはどうしたらよいですか?
親父さん:何が想定外だったか、具体的にチェックし、その原因を考えることだ。そのためには起こりそうなことをきちんと想定することが大事だ。
出典:独学大全
つまり、失敗からの学びを最大化しようと思うなら、そもそも何を想定して行動したのか?が明確になっている必要があるのです。
先ほどのTシャツの例なら、なぜそのアクションで売れると思うのか?を事前に考えておくことが大事です。
それを考えておくことで、実際に起きたこととの差異と前提条件の違いをより明確に考えられるようになるのです。
もし、事前に明確に考えていなかった場合は、どうするとよいか?
その場合は、仕方がないので、心の中で何となく思っていた前提条件を言語化できるようにしてみましょう。
前提条件を疑い失敗に向き合うメリット
失敗したときに、前提条件を疑いながら失敗に向き合う癖をつけると、次のようなメリットがあります。
- 他人や自分など「人」のせいにせずに、前提条件をベースに失敗の原因を考えるので、失敗からの学びが増える
- 前提条件を常に考える癖ができるので、次に何かをやるときに失敗の確率を減らせる
他責にも自責にもせずに、淡々と前提条件の違いに向き合うことが、実は失敗から学ぶ最良の方法であり、自らを最も成長させてくれる方法でもあるのです。
まとめ
以上、失敗に向き合い、失敗から学ぶ方法でした。
- 失敗が起きたときに、失敗の原因を他責にしてはいけない。
- だからとって、自責にするのもよくない。
- 失敗に向き合うためには、どういう前提条件を考えていて、その前提条件が実際はどのように違ったのかを検証する。
- 前提条件を検証することで、失敗からの学びも増やせて、失敗する確率を減らすこともできる。
なお、ここで解説している失敗の分析方法は、演繹法と帰納法という思考方法を応用しています。
詳細は、以下の記事をご覧ください。
また、演繹法や帰納法を活用して、自分の頭で考える方法を以下の記事にも記しています。