マーケティング戦略において、市場調査は重要なアクションの1つです。
しかし、このように疑問を持つ人も多いのではないでしょうか。
「会社で市場調査をしろと言われたけど、何を調査すればよいのだろうか??」
この記事ではこんな悩みに答えてにいきたいと思います。
市場調査の目的
市場調査の目的は、大きく2つのフェーズから考えます。
1つは顧客ニーズを捉えるフェーズ、もう1つはニーズを満たす解決策の有効性を確認するフェーズです。
市場調査:顧客のニーズを捉えるフェーズ
このフェーズの目的は、以下の3つです。
- 顧客が持つ課題の明確化
- その課題を持つ人物像の明確化
- おおよその市場規模
この3つについて、詳細を順に解説していきます。
顧客が持つ課題を明確にする
顧客が持つ課題の明確化とは、顧客の困りごとを明確にすることです。
課題を明確化するのに最も有効なのが、顧客または顧客となりそうな人に対してインタビューをすることです。
たとえば、20代の女性向けファッションアプリを作るのであれば、ターゲットとする20代女性が現状の服選びから購入にかけての困りごとや、既存のアプリを使っている中での困りごとを聞いてみます。
こうした課題を聞いていく中で、以下のことを明らかにしていきます。
- なにが大きな課題なのか?
- お金を払ってでもその課題解決をしたいと思うか?
- その課題解決にいくらくらいならお金を払うか?
そして、ニーズを確認する際には、現状の困りごとを聞くのに加えて、既存の製品やサービスで変な使い方をしている人にも注目することも大事です。
特にわざわざや手間やコストをかけて変な使い方をしている人がいれば、その人達に安価な代替手段を提案してあげることで、その周辺の潜在ニーズまで掘り起こして、巨大な市場になっていく可能性もあります。
この変な使い方をしている人で大事になってくるのは以下の観点です。
- なぜそのニーズを満たしたいのか?
- 今はどうやって満たしているのか?
- 無意識のうちに諦めていることはないか?
このようなポイントをおさえながら、とにかく見込み客に向き合いながら課題を整理していきます。
その課題を持つ人物像の明確にする
インタビューをしていくうちに、その課題を持っている人の人物像が明確になっていきます。
たとえば、次のようなことです。
- 20代独身女性
- 都市部に住んでいるキャリア志向の女性
- 日頃は服をゆっくり選んでいる時間がない
- 本当はもっと手軽に服を選びたいけど、自分の嗜好と場面に合わせた服選びに時間がかかってしまっている
- 手軽に選ぼうとすると、他の人と服が被ってしまうケースもあり、それも嫌だ
こうやって、ターゲットとする顧客の人物像・プロフィールを具体化していきます。
こうしたプロフィールに当てはまる人が、インタビューを通じて3~5名程度共通して出てくれば、ある程度の市場規模を見込めそうだとわかってきます。
このような人物像のことをペルソナと言います。
さらにペルソナのカスタマージャーニーマップを作ることで、ターゲットとする顧客が、具体的にどの場面でどういう感情になっているのか、どの場面に製品やサービスでの改善機会があるのかをより明確にすることができます。
カスタマージャーニーマップとは、製品やサービスの購買体験と、その前後の体験(店選び、服選び等)まで含めて可視化したもののことです。
カスタマージャーニーマップの詳細は、以下の記事をご覧ください。
おおよその市場規模を計算する
特定の困りごとを持つ具体的な人物像がわかったら、その市場規模を明確にしていきます。
たとえば、アンケート調査を実施して、上記で見つかった特定の課題を持っている人が何%程度いるのかを推定する方法があります。
そうすると、市場規模は次のように計算できます。
20代女性の人口 × ターゲットとなる人の割合 × 購買単価
これは、あくまで一例で、この他にもさまざまな市場規模の算定方法があります。
詳細は以下の記事をご覧ください。
市場調査:解決策の有効性を確認するフェーズ
顧客のニーズ、ターゲットの人物像を確認できたら、その人達に対して課題の解決手段、すなわち製品やサービスのアイデアを用意します。
その解決手段ができたら、次のようなことを確認していきます。
- 解決手段は適切か?
- その解決手段を使ってみて不便に感じることはないか?
- さらに改善して欲しいという要望はないか?
いきなり本番の製品・サービスを出して確認するわけにはいかないので、必要事項を検証できるプロトタイプを用意して聞くことで、スピーディーかつ低コストで検証することが可能になります。
(こうした必要最小限の仕様で検証を進める考え方・手法をリーンスタートアップと言います)
また、同時に価格を決めるための価格感度(高いと感じるか、安いと感じるか等)もインタビューしてみてもよいでしょう。
価格感度については、以下のようなPSM分析を用いて確認することもできます。
値付けの方法は以下の記事に詳細をまとめています。
市場調査をするときの注意点
市場調査をするときは、いくつか注意点があります。
仮説を立ててから調査する
まず大事なのは、仮説を立ててから調査をすることです。
やみくもに、課題を聞いてみても、インタビュー内容が散漫になってしまうので、「顧客は●●という課題を持っていそう」、「ターゲットは●●というプロフィールの人ではないか」という仮説を最初に立てます。
とはいえ、何もないところから仮説を立てるのは難しいので、最初は友達に聞いてみたり、ネットで困っている声がないかを調べてみたりすることが、初期仮説のヒントになります。
初期仮説を元にインタビューを実施して、新たな仮説が出てきたら、次のインタビューを通じて、それを検証していくというの繰り返していきます。
仮説の立て方については、以下の記事もご覧ください。
課題⇒解決策の順番で検証する
新規事業をやるときによくありがちなのが、
「面白い技術があるから、これを顧客に聞いてみよう」
と言って、解決策となるものから先に検証を始めてしまうことです。
ビジネスは、あくまで困りごと解決が目的であって、技術やサービスなどの解決策はひとつの手段に過ぎません。
いきなり解決策を提示すると、「よさそうですね」と適当な答えが返ってきて、実際にその言葉を信じて市場に出してみると全く売れないということにもなってしまいます。
また、資金が豊富でない新興企業にとっては、きちんとした解決策を作るのには時間がかかるので、課題が大きいところを狙い撃ちしていく姿勢が大事になってきます。
そのためにも、解決策よりも先に、まず課題を聞くということを徹底すべきなのです。
検証した結果をまとめるツール
一連の検証結果をまとめるためのフレームワークを2つ紹介します。
1つは、文中でも紹介したカスタマージャーニーマップです。
カスタマージャーニーマップを使うことで、ユーザーエクスペリエンス(顧客の購買とその前後の体験)の中で、最も課題だと思っているところを可視化することができます。
もう1つは、リーンキャンバスです。
リーンキャンバスを使うことで、顧客に対して具体的にどういう解決策を提示するのか、それはどの程度の価格・コストで実現するのか?ということを整理して一望することができます。
新規事業・新規アイデアを具体的なビジネスに落とし込むときに活用できます。
専門家への直接インタビュー
市場調査の方法の1つとして、専門家へのインタビューがあります。
ビザスクを活用すると、5-10万円程度の予算で複数の専門家から専門性の高い知見を得ることができます。
ニッチな市場やB2Bの市場調査でも活用できます。
関連記事:ビザスクを使った市場調査
まとめ
以上、市場調査の方法・やり方についての解説でした。
- 市場調査には、顧客のニーズを捉えるフェーズと、解決策の有効性を確認するフェーズがある。
- 顧客ニーズを捉えるフェーズでは、顧客ニーズ(困りごとや特殊な行動)、顧客像(ペルソナ)、大まかな市場規模を明確にすることが目的となる。
- 解決策の有効性を確認するフェーズでは、できる限りクイックにプロトタイプを用意して、課題を検証し、顧客の声を聞きながら完成度を高めていくことが重要である。
- 市場調査をするときの注意点は、仮説を立ててから調査をすることと、課題⇒解決策の順番で検証することである。
- 市場調査の結果を整理するフレームワークとして、カスタマージャーニーマップと、リーンキャンバスがある。