仕事を進めていく中で、往々にして起こるのが作業の重複や、作業のやり直しです。
こうした無駄をなくすためには、検討段階から無駄が起きる要因を排除しておく必要があります。
そのときに使える考え方がMECE(ミーシー)です。
この記事では、ロジカルシンキングの基礎的な概念であるMECEについて解説していきます。
MECEとは
MECEとはモレなくダブりがないという意味の英語(Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive)の頭文字をとったものです。
直訳すると「相互に排他的で共同して徹底的である」となります。
MECEは、ミーシーやミッシーなどと呼ばれます。
物事を分解するときに、MECEの状態にしておくと、モレもダブリもなくなるので、以降のプロセスで無駄が生じにくくなります。
MECEの例
たとえば、人間をMECEに分けることを考えてみます。
人間を男と女で分けるとMECEになります。
ところが、人間を男と女と子供で分けると、モレはありませんが、ダブリが生じてしまいMECEになりません。
一方で、人間を老人と子供で分けると、ダブリはありませんが、モレが生じてしまい、やはりMECEになりません。
MECEでないことによる弊害
MECEに切り分けられていないと起こる不都合はいろいろとあります。
先ほどの人間の例で考えると、人口動態調査をするときに、このようにMECEでない分類で調査をしてしまうと、重複による作業の無駄や、モレが生じることにより作業のやり直しが発生していまいます。
他にも、大阪府・奈良県をエリアとする営業所で、営業マンの担当区分を大阪府の顧客、奈良県の顧客、大規模顧客という分け方をすると大規模顧客担当と各府県担当との間で、お客の取り合いが起きてしまいます。
逆に、お互いがお見合いをしてしまって大規模顧客カバーできなくなる可能性もあります。
担当区分を3つに分けるのなら、大阪府の小規模顧客、奈良県の小規模顧客、大規模顧客などようにMECEに分けておくと、上記のような非効率的なことが発生しなくなるでしょう。
このように、効率的に仕事を進める上では、MECEを常に意識しておくことが大事になるのです。
MECEに分けるコツ
MECEの重要性はわかって頂けたと思いますが、「じゃあ、どうやると上手にMECEにできるの?」という疑問があるかと思います。
ここでは、MECEに分けるコツを見ていきます。
足し算の概念を使う
1つめが、足し算の概念を使う方法です。
たとえば、日本をエリア別に分けることを考えると、日本が都道府県の足し算で構成されていることに注目することができます。
日本 = 北海道 + 青森県 + 秋田県 + ・・・・ + 沖縄県
また、売上をMECEに分ける場合には、以下のように足し算を使うことが出来ます。
売上 = 製品Aの売上 + 製品Bの売上 + 製品Cの売上
掛け算の概念を使う
次いで、よく使われるのが掛け算の概念です。
先ほどの売上を分解するときに、掛け算を使うと、以下のように分解できます。
売上 = 製品Aの売上個数 × 製品Aの単価
こうして掛け算を使うことでもMECEに分けられるのです。
対照的な概念を使う
上記のような数式とは別に対照的な概念を使うことでMECEに分けることもできます。
- 定性情報と定量情報
- 仕事の質と仕事の量
- プロとアマチュア
- 原因と結果
プロセスで分解する
プロセスを使ってMECEに分解する方法もあります。
たとえば、PDCAというのは、1つの代表的なプロセスです。
PLAN計画 ⇒ DO実行 ⇒ CHECK点検 ⇒ ACTION是正
たとえば、会社の主要機能はバリューチェーンで分解することができます。
製造業だと、代表的なプロセスとして、以下のようなものがあります。
企画 ⇒ 設計 ⇒ 製造 ⇒ 販売 ⇒ 物流 ⇒ アフターサービス
問題解決に多用できるMECE
問題に対する原因や方策を考えるのに、何のアテもなくバラバラに事柄を羅列しても、なかなか解決策は見出せません。
また、適当な解決策の羅列ではダブリによって時間をロスしたり、モレによって最重点項目が抜ける場合があります。
そのため、問題解決においては、MECEの考え方を段階的に適用していき、常にモレなくダブりなく解決策を考えていくことが大事になってきます。
MECEを使って段階的に物事を分解する手法にロジックツリーがあります。
また、当サイトでは、MECEとロジックツリーを使った問題解決手法についても紹介しています。
まとめ
以上、MECEの解説でした。