本日は、おすすめのビジネス書の中から一冊を紹介します。
山口周氏の書籍「ニュータイプの時代」です。
この本を読んだ最初の感想が、
「多くの人が仕事をつまらないと感じている理由が全て書いてある!」
でした。
この記事では、「ニュータイプの時代」の書評を交えながら、仕事がつまらなくなる構造的な理由を書いていこうと思います。
「ニュータイプの時代」の概要
本書の概要は、以下のツイートで発信したとおりです。
ニュータイプの時代 読了
・世の中にはクソ仕事が蔓延している
・予測、経験、最適化が無価値になる
・どうやって?より何を?なぜ?
・問題を解くより発見・提起することが重要になる
・組織間を越境して動く時代になる今後の働き方に示唆を与えてくれる一冊ですhttps://t.co/gJ3Ful8MQf
— セーシン (@n_spirit2004) July 22, 2019
このまとめに書いたことが、仕事がつまらなくなる理由と密接に関わっています。
仕事がつまらない理由
先ほどのポイントを順番にあげながら、仕事がつまらない理由を解説していきます。
世の中にはクソ仕事が蔓延しているから
クソ仕事とは、随分な言い方ですが、これはイギリスの社会人類学者デヴィッド・グレーバーの著書『Bullshit Jobs: A Theory(クソどうでもいい仕事-その理論)』の言葉を用いています。
本書には、モノが過剰になった現代では、困り事に対する解決策自体もコモディティ化しているので、その解決策を生み出す仕事自体が意味合いの薄いものなっていると書かれています。
そしてこの意味合いの薄い仕事=クソ仕事だというわけです。
先ほどの30代前半の男性の例にもあったように、働くサラリーマンの多くが、
「本当にこの仕事、意味あるのだっけ?」
というモヤモヤを抱えながら仕事をしているのが現状でしょう。
これだと仕事がつまらないと思ってしまうのも無理はありません。
予測、経験、最適化が無価値になっているから
本書では、非連続な未来が訪れる中で、未来を予測をする、過去の経験を生かす、仕事を最適化することの価値が無くなってしまうと書かれています。
実際に日々の会社での業務を見てみると、次のようなことが漫然と行われいてると思います。
- 中期計画の策定(予測財務諸表、シナリオ・プランニング)
- 先輩や上司が過去の経験を活かして、後輩にアドバイス
- 今の仕事を効率よく進めるためのプロセスやシステムの導入
私も前職が大企業だったので、こうした仕事は山のようにありましたし、私自身が率先する身でもありました。
変化が遅く、過去との連続性が担保されている時代であれば、これらは重要度の高い仕事だったのでしょう。
しかし、環境変化の激しいこれからは、この中の多くのことが意味のない仕事になっていくのです。
おそらく、今の20代、30代の人達は、こうしたことを直感的に理解しながら、はっきりと言語化できていないのでしょう。
だから、日々モヤモヤしながら仕事をしているのだと思います。
ここにも仕事がつまらなくなる理由があります。
どうやって?が、何?なぜ?よりも優先されるから
日本が高度成長期だった時代は、欧米という目標が明確にあり、その目標に向けてどうやって進んでいくかが明確な課題でした。
本書によると、高度成長期より前の大昔から、日本は海外を見ながら、どうやって追いつき、追い越すかが命題だったようです。
しかし、目標を見失った現在でも、多くの日本の組織は依然としてどうやって?を先行させているのが現状です。
本書で典型的な例としてあげられているのがイノベーションです。
本来イノベーションは、何をやるのか?なぜやるのか?があって、その手段として用いられるものであるにもかかわらず、日本の多くの会社ではイノベーションを起こすことが目的になっているのです。
これは、前職の経験から考えても、とても納得のいく考察です。
イノベーションではなくても、日々の業務の中でもこのようなことは起こっています。
- 目的や理由が不明瞭なまま業務指示される
- 目的や理由を聞いても、その回答がいまいち釈然としない
たとえば、コスト改善だと言ったときに、本来コスト改善は何か大きな目的のための手段であるはずなのですが、
とにかく毎年1%コストダウンだ
という手段だけが業務として指示されるのです。
疑問に思った人が、
なぜコストダウンをやるのですか?
と聞いても、
製造業はコストダウンを続けなければ生き残れないから
などと最もらしくも、実際は理由になっていない回答が返ってきしまうと、続けて質問することなく流されてしまうことも多いでしょう。
本書では、今は「問題解決よりも問題発見・提起が重要になっている」と書かれていますが、上の例は問題提起よりも問題解決が先行している事例と言えるでしょう。
本来は、みんながワクワクする問題を見つけられる組織であるべきなのに、その部分を置いてきぼりにして、どうやって?だけを問い詰める組織では、仕事がつまらなくなるのも当然でしょう。
組織間を越境して動く時代になっているから
企業の寿命が短命化している時代で、かつ人間が高寿命化している時代においては、ひとつの組織にずっといることはリスクですらあるのです。
過去の経験が生きない、予測不能な社会がやってくると、なおさらです。
そうした状況の中で、ひとつの組織の中で、毎日似たような仕事に漫然と従事しているとどうなるのか?
世の中の変化と、目の前の自分の仕事の変化を相対的に見比べたときに、自分の成長を感じにくくなり、やがて仕事がつまらないと思ってしまうのではないでしょうか。
仕事を楽しくする方法
仕事を楽しくするためには、ここまで書いてきたことの逆をやっていくしかありません。
簡単に言うと、日々の仕事の中から極力クソ仕事を排除するしかありません。
以下のツイートにも書いたように、楽しい仕事は長時間やっても苦になりませんが、クソ仕事は短時間でも精神的にキツイものがあります。
働き方改革で残業削減が叫ばれますが、本当に大事なことは、やらされのクソ仕事を減らすことなんだと思います
1日14時間勤務でも、みんなから感謝される実感があれば充実するだろうし、1日5時間でも意味がわからないクソ仕事をやらされていたら、精神的にはキツイ
働き方より仕事の中身改革ですね
— セーシン (@n_spirit2004) July 23, 2019
では、仕事を楽しくするには、どうするか?
本書を読んで感じるのは、以下の3つです。
- 予測、経験、最適化の世界から抜け出し、子供のようにさまざまなことにチャレンジしてみる。
- どうやって?よりも何を?なぜ(何のために)?を重視して仕事をする。
- 1つの組織に囚われない。
子供のようにさまざまなことにチャレンジする
このブログでも何度か紹介していますが、たとえばホリエモンの著書にあるような多動力を身につけるのも1つの手段でしょう。
人間はいろいろやってみないと、何が自分に合っていて何が自分に合わないのか?、何を面白いと思えるのか?はわかりません。
であれば、少しでも興味を持ったことにはチャレンジしてみるしかないでしょう。
何を?と、なぜ(何のために)?を重視して仕事をする
よく仕事のやりがいと言われますが、やりがいがある状態というのを仕事を通じて社会的に貢献している感じが得られる状態だと考えてみましょう。
たとえば、先ほどの例でコスト改善を上げましたが、コスト改善を目的にするのではなく、
「我々が作っている●●という素晴らしい商品をより多くのお客さんに試してもらいたい、そのためにはコストを下げて、価格も下げたい」
という目標であれば、少しはやりがいを感じないでしょうか。
このように、どうやってやるのか?ではなく、何を実現するのか?なぜ実現するのか?をより広い視野で捉えられるようにすると、仕事にやりがいが出て楽しくなってきます。
個人の仕事に当てはめると、
「そもそも自分はどうなりたいのか?」
を自分自身に問うてみてから、仕事に向き合うのがよいのかもしれません。
1つの組織に囚われない
特に新卒で日系大企業に入社した人に顕著なのが、その会社で社会人人生を全うしようという考え方です。
先ほども書いたとおり、社会の変化が急激で、会社がいつまで生き残るかわからない状態の中で、1つの会社で社会人人生を全うしようと思うと、会社の中の変化と、世の中の変化のギャップを感じるようになります。
そうすると、目先の仕事がつまらなくなってしまうので、自ら組織を飛び出してみて、より面白いと思えることを見つけにいってもよいでしょう。
私も40代で大手企業の管理職を辞めて、外に飛び出すことにしましたが、思い立ったときに行動しておくのが吉だと思っています。
仕事を楽しくするには外の世界を見るしかない
では、上記3つの項目を実現するには、どうするか?
今いる会社の世界が狭く、クソ仕事が蔓延しているのであれば、外の世界に目を向けてみるしかありません。
手っ取り早く、かつ強制的に自分の目を外の世界に向ける方法が3つあります。
副業をやってみる
1つの方法は副業です。本業はクソ仕事かもしれませんが、そのクソ仕事で安定した給料をもらいながら、自分がやりたいことを副業で育てるという手があります。
サラリーマンの知見を生かして、スキマ時間にできる副業はさまざまです。
副業を通じて、本業にはなかった何?なぜ?を見い出す人もいます。
転職活動をしてみる
もうひとつの方法は、転職活動をしてみることです。
特に仕事がつまらない状態を長く引っ張るのは、自身のキャリア・市場価値という面から見てもマイナスです。
転職なんて、考えられないよ。。。
そんなふうに思ってしまがちですが、ビジネスパーソンとしての伸び代は環境による部分が大きいです。
今の仕事がつまらないと思ったまま仕事を続けるのは、人生の時間を無駄にしてしまう可能性大です。
そう考えると、転職エージェントへの登録は、リスクが低いにもかかわらず、将来の環境を大きく変える可能性を秘めたチャレンジです。
すぐに転職する気がなくても、転職エージェントは親身にキャリア相談に乗ってくれますし、全て無料で相談に乗ってくれるので心配無用。
最近では、エージェントや企業との面談をオンラインで実施するケースが増えているので、スキマ時間を活用しやすくなっています。
関連記事:【情報収集だけでも可】転職サイト・エージェントに登録する3つのメリット
社会人大学院に行ってみる
副業、転職以外にも、以下のような社会人向け大学院で、他の社会人と接する機会を得てみるのもよいでしょう。グロービスだと体験コースもあります。
大学院はさすがにハードルが高いという方は、ビジネス動画から始める方法もあります。
ビジネスパーソンがビジネスが勉強するのにおすすめの動画サイトを以下にまとめています。
https://www.nsspirt-cashf2.com/recommended-online-course
まとめ
以上が、「ニュータイプの時代」の書評を交えた、仕事がつまらない理由と改善策でした。
- 仕事がつまらない理由は4つ、「そもそも世の中にはクソ仕事が蔓延しているから」、「予測、経験、最適化が無価値になっているから」、「どうやって?が何を?なぜ?よりも優先されているから」、「組織間を越境して動く時代になっているから」。
- 仕事を楽しくする方法は3つ、「子供のようにさまざまなことにチャレンジしてみる」、「何を?なぜ(何のために)?を重視して仕事をする」、「1つの組織に囚われない」。
- 仕事を楽しくするには、積極的に外の世界を見てみるべき。
本記事で題材にした「ニュータイプの時代」はこちらです。