最近残業ばかりなんだよな。
まわりから、こんな声を耳にすることがあります。
もう少し慢性的になると、次のような声も聞きます。
定時過ぎて仕事するのが普通になっているので、定時が過ぎてることすら気づかない。
こうしたみなさんに私が言いたいことを最初に言うと、
残業しないで帰ることを真剣に考えたほうがよいです。
なぜ、そう思うのか。
働き方改革とか、プライベートな時間の充実という観点もありますが、残業が慢性化するとビジネスパーソンとしてのスキル・キャリアにも影響してくるからです。
この記事では、なぜ残業がよくないのか、なぜ残業せずに帰るべきなのか、残業を減らすために私がやったこととともに解説していきます。
残業を減らすことは仕事の質を上げる、つまり仕事ができる人に近づくための第一歩です。
残業の多かったサラリーマン時代
私は、15年間のサラリーマン時代、残業をすることが本当に多かったです。
入社数年目までは、今ほど労働基準局も厳しくなかったので、深夜まで残業することもよくありました。22時、23時は当たり前で、日によっては夜中の2時や3時まで働くこともありました。
さすがに、サラリーマン時代の晩年は、そこまで極端な残業はなかったですが、それでも20時台の退社が平均で22時くらいまで働くこともたびたびありました。
私自身は仕事も楽しくやっていましたし、やった分だけ成長につながるという実感を持っていたので、残業をして仕事をすること自体がものすごく嫌だったということはなかったです。
しかし、サラリーマンを辞めた今から振り返ると、もっと早く帰ることを真剣に考えるべきだったと少し後悔しているところもあります。
残業のデメリットに気づいたきっかけ
残業は大きなデメリットがあると気づいたきっかけは大きく2つあります。
外国人との仕事を通じて
1つめは、外国人との仕事を通じて感じたことがきっかけです。
私は、サラリーマン時代のキャリアの半分以上は外国人との仕事でした。その中で、3年間は海外駐在もしています。
外国人と仕事をして感じたのは、彼らは無駄な残業を一切しません。私が一緒に仕事をしたのは、中国人、ドイツ人、アメリカ人、フィリピン人を筆頭に15ヵ国以上の人達でしたが、彼らは総じて残業することは悪だと考えています。
もちろん、外国人であっても猛烈に働く人はいます。たとえば、成長企業の中国人の技術者の多くが遅くまで残業しているケースも知っています。
しかし、日本人の残業の仕方と彼らの残業の仕方は根本的に違っていました。
日本人は、みんなが残っているからとか、終わらなければ定時後にやればよいからという理由で、漫然と残業しています。まるで残業するのが当たり前かのように。
一方で外国人の彼らは、先ほど書いたように基本的に残業は悪だと思っていて、残業はどうしても必要なときだけやるという感覚の人が多かったです。できればしたくないので、仮に残業することになっても、とにかく集中して仕事を終わらせようとします。
それ以外だと、その仕事が好きで好きで仕方ないからやっているというケースですが、外国人のサラリーマンだとこういうタイプの人は極めて少ないです。
会社以外の世界を通じて
2つめは、会社以外の世界を知ったことがきっかけです。
私は、管理職になってからは、社外の付き合いも増えるようになっていました。その前にも、社外の交友関係をそれなりに持っていて、自分なりには外の世界から幅広く情報を集めていたつもりでしたが、今から思うとまだまだ狭い世界での人のつながりでした。
会社を辞めてから付き合うようになった人のタイプは、サラリーマン時代とは全く違う人種で、ベンチャー関連の人、今まで接したことのなかった全く異なる業界の人、こうした人達とのつながりができるようになって、自分がいかに狭い世界で仕事をしているかがわかるようになりました。
どうして自分は残業して会社の仕事ばかりしていたのか、残業ばかりせずに、こういう人達との出会いの機会を作っておかなかったのだろうかと、考えることも多くなりました。
残業をすることによる機会損失
私が、残業にはデメリットしかないと言っている理由は、残業をすることで得られる機会よりも、残業をすることで失う機会の方が大きいと思っているからです。
残業をすることで得られる機会としては、残業代を除くと以下の2つがあります。
- 仕事を通じたスキルアップ
- 仕事でより多くの成果を出せる可能性
実際、私は若いときに猛烈に残業したおかげか、この2つを得ることができ、比較的早く昇格もさせてもらいました。(この感覚が、後になって考えると危険なのですが)
一方で、残業をすることで失う機会もありました。
- 社外の人との交流機会
- 業界外の勉強の機会
私は、残業が多かったにもかかわらず、副業もやっていましたし、社外のつながりも積極的に作っていった方ではありましたが、残業せずにこうした機会を作っていたら、もっと幅が広がっていただろうと思います。
そして、サラリーマンを辞めた今になって、そうした広がりを得るための勉強や人とのつながりをもっと作っておくべきだったと感じています。
ましてや、サービス残業は絶対にあり得ません。法令違反というのもありますが、ビジネスパーソンとしての価値を大きく落とす行為だからです。
サービス残業というのは自分を安売りする行為。自分を商品に例えると品質が悪いのでこんな値段で良いですよと言っているようなもの。自分には少し高めの値段をつけて、それに見合う品質を提供するという姿勢で考えましょう。自分のためにもサービス残業はやめるべきです。 https://t.co/ji7oATPIpv
— セーシン (@n_spirit2004) May 1, 2019
私もよくサービス残業をやりましたが、今から考えると失うものも大きかったと思っています。
残業を減らすことで増やすべき会社以外の時間
昔は、会社と人生というのは運命共同体のようなところがあって、会社のために働くことが、人生の幸せにもつながるという世界でした。
しかし、今はそうではありません。会社も人を抱えておく余裕が無くなってきて、以下のようなことが次々に起きてきています。
- 転職・中途採用が当たり前になる
- 大手でもリストラを余儀なくされる
- 副業解禁=会社だけでは面倒見きれない
- 一部の人を除けば給料も安易には上げられない
- 全員が課長⇒部長と昇格していく時代ではない
このあたりのことは、当ブログのキャリアに関する記事でも書いていますが、こうした中で、従業員の側も必然的に会社に依存しない働き方を模索していく必要があるのです。
それなのに、慢性的に残業をして、会社のためだけに時間を奉仕していると、会社依存が強くなるばかりです。
勘違いしないで欲しいのは、会社で昇格を目指すとか、必要なときに残業をしてでも成果を出すことを否定しているわけでなく、漫然と残業ありきで仕事をするという考え方を直すべきという話です。
これからの時代は、会社のことだけ詳しい人材よりは、さまざまなことに精通していている人材の方がますます市場価値が高くなります。
そういう意味でも、会社に奉仕する残業は最低限にして、その時間を他のところで使って市場価値を上げる方がよいのです。
このあたりは、以下の記事で紹介している中年期のキャリアを考える記事を読んでもよいでしょう。
どれも直接残業のことには言及されていませんが、会社に奉仕するばかりの仕事を見直すきっかけにさせてくれるものばかりです。
残業せずに定時で帰るための方法
残業を減らすには、さまざまな策を組み合わせて考える必要があります。
マインドセットを変える
まず大前提はマインドセットです。
どんなツールや方法論を使っても、マインドセットを変えなければ残業は無くなりません。まず残業するのはダメなことだと言い聞かせましょう。
まわりがそうでなくても、自分にだけでも言い聞かせることが大事です。
定時帰りキャラを作る
理由は何でもよいので、「私は定時で帰る人です」というキャラを作ってしまいましょう。
人は面白いもので、毎日残業している人がたまに早く帰ると、何で早く帰るの?と思いますが、毎日定時で帰る人がたまに残業をすると、今日は珍しく頑張っているね、と好意的に見るようになります。
そうなるようなキャラを作り上げることです。
実際に、前職でもそういう人は何人かいました。
面白いもので、マネジメントする側も、「この人は定時には居なくなっている」、ということが頭に刷り込まれると、それを前提にした仕事の振り方をするようになってしまうのです。
残業削減策を試す
マインドセットとキャラ作りは大事ですが、具体的に業務を効率化する策がないと、根本的に残業を減らすことはできません。
これから紹介する3つは、管理職でないと導入しずらい方策もありますが、それぞれ詳細記事があるので、あわせて参考にしてもらえればと思います。
1on1ミーティング
これは上司、部下で行う1対1のミーティングです。
これを定期的にやることで、上司の期待値と部下の行動のすり合わせができるので、業務の手戻りが無くなり、効率化することができます。
少し時間はかかりますが、半年くらいやると、かなり意思疎通がスムーズにできるようになります。
WIPボード
これは業務の見える化です。
大事なことは、その日その日の業務投入量を決める、すなわち今日やることと、今日やらないことを明確にして、今日やることにだけ集中するという方法です。
業務が見える化されているので、どこに問題が発生しているかもわかりやすくなります。これは個人の業務管理でも使える考え方です。
定例会議の廃止
経験上、定例会議には無駄がかなり存在しています。
定例会議の悪いところは、
定例会議で予定が埋まる
⇒業務で必要な打合せの時間調整が必要
⇒大事なことをすぐに意思決定できない
⇒結果業務が滞留する
という悪循環に陥ることです。
そうならないためにも、無駄な会議の廃止、会議出席者の選別は必要不可欠です。
無駄な会議をやるくらいなら、上司・部下の1対1のミーティングにもっと時間を割くべきだと思っています。
部下の立場としては、定例会議をメールなどで代替えすることを提案してもよいと思います。
残業をなくしてやるべきこと
残業をなくしたら、以下のようなことを今まで以上に時間をとってやってみることをおすすめします。
- 社外で(ビジネスにつながりそうな)出会いを作る
- 趣味やプライベートな時間をより充実させる
- 読書、資格取得、学校に通うなどして勉強する
- 副業をする
何を勉強すべきなのかよくわからないという方は、社会人として勉強しておくべきことをご参照ください。
副業に関しては、サラリーマンのおすすめ副業に詳しく書ています。
まとめ
以上が残業のデメリットと、残業削減アイデアの解説でした。
- 会社に奉仕する残業は極力減らす、特に残業をすることによる機会損失に目を向けるべき。
- 残業を減らした分、社外の世界を知ったり、会社以外で活動をしたりすることが、これからのキャリアを充実させる。
- 残業を減らすには、マインドセットとキャラ作りが大事。その上で、1on1ミーティング、WIPボード、定例会議廃止などの方策を施すべき。