従業員に対して業績連動報酬をつけることがありますが、そのひとつとして、ファントムストックというものがあります。
この記事では、そのファントムストックを紹介していきます。
ファントムストックとは
ファントムストックとは、従業員への給付制度のひとつであり、実際の株式を付与ことなく、株式保有をすることと同等のメリットを従業員に与えるものです。ファントムには「幽霊のような」という意味のほか、「架空の」とか「幻の」という意味があり、ファントムストックは文字通り架空の株式という意味になります。別名としてシャドウストックとも呼ばれます。
ファントムストックを付与された従業員は実際の株式ではなく、株式に相当するものが付与されます。そして一定期間経過したときの株価に応じて、ファントムストックの現金価値分(=権利確定時の株価 × 付与株式数)が分配されます。
運用するにあたっては株価が一義的に明確になっている方が好ましいので、一般的には上場企業で運用されるケースが多く見られます。
ファントムストックのメリット
報酬を株式に連動させる手段としては、株式そのものや、権利行使後に株式に転換するストックオプションなどがありますが、これらは実際に株式を付与する形になり、持ち株比率の希薄化に伴う株価の変動要因にもなってしまいます。
ファントムストックの場合、実際の株式を発行することなく、会社内で柔軟に運用することができます。加えて、従業員に会社株価に応じて報酬を支払うことで、従業員が会社業績向上への意欲を高められるメリットがあります。
ファントムストックの計算例
たとえば、ボーナス300万円分をファントムストックで付与する場合、付与時株価が1,500円だとすると、ファントムストックの付与株数は2,000株となります。
3,000,000円/付与時の株価1,500円 = 2,000株を付与
ここで権利確定時の株価が1,632円だとすると、実際のボーナスは以下のようになります。
権利行使時の実際株価 1,632円 × 2,000株 = 3,264,000円
※配当金に相当するもの加算されるかどうかはケースバイケースです。
ファントムストックの注意点
ファントムストックは日本では馴染みの薄い制度のため、導入時には従業員によく説明をし理解をしてもらう必要があります。特にボーナスの一部をファントムストックに置き換える場合、株価によってはアップサイドのポテンシャルもありますが、ボーナスが従来から下がるというダウンサイドのリスクも可能性があることをよく説明する必要があるでしょう。
人事システムの参考記事