「資料作成が苦手」「資料が作れない」などと悩んでいる人が最初にやるべきことは、「資料作成の目的を明確にする」「手書きでもよいので設計図を作る」「設計図の段階で関係者からフィードバックをもらう」の3つだけです。
資料作りが苦手な人ほど、最初から細かい部分を気にしてしまいがちですが、本当に重要なのは「相手にどうしてもらいたいか?」「そのために何を伝えるか?」を最初に決めることなのです。
私も過去100人以上の部下を見てきて、その中には資料作成が明らかに苦手という部下も少なくありませんでした。
そこでこの記事では、私の過去の経験から資料作成が苦手な人に共通する特徴と、苦手から脱却するために最低限やるべきことを解説していきます。
今回紹介するポイント以外で、さらにうまくなりたいなら「プロに教えてもらう」という方法もありますし、自分では作らずに「外注を頼る」という方法もあります。
資料作成が苦手に感じている人の特徴
資料作成が苦手な人の話を聞いている中でわかった特徴が、大きく3つあります。
- 情報の優先順位が整理できていない
- 資料をいきなり作成し始めている
- 完成するまで誰にも見せない
それぞれ詳細を見ていきましょう。
情報の優先順位が整理できていない
資料作成が苦手な人は、載せるべき情報の優先順位が整理できていない人がほとんどです。
そういう人の資料を見ていると、次のような疑問が次々に湧いてきます。
「このグラフは何の意味があるの?」
「数字がたくさん並んでいるけど、全部必要?」
「結局、結論は何?」
このような疑問が湧いてくる最大の原因は、載せるべき情報の優先順位が整理できていないからです。
優先順位が整理できていないと、資料を見る側が、出された資料をベースにして、優先的に考えるべきことと、そうでないことを整理していく必要があるので、次々に質問したくなってしまうのです。
気の短い上司だと質問攻めにしてしまい、苦手意識が助長されることになります。
資料をいきなり作成し始めている
資料作成が苦手な人の2つめの特徴が、資料をいきなり作り始めていることです。
いきなりパワーポイントを開いて、図を作ったり、表をエクセルから貼り付けたりし始めるのです。
そこで「うーん」とか考えながら、図を大きくしたり、小さくしたり、表をあっちこっちに置いて、レイアウトを確かめたりしながら資料を作っていきます。
これでは効率がとても悪いですし、見た目の完成度も著しく悪くなります。
どれだけ資料作成のベテランになっても、いきなりパワーポイントに向き合うのは難易度が高いので、苦手意識を持っている人ならなおさらうまくいかないのは当たり前です。
完成するまで誰にも見せない
3つめの特徴が、完成するまで誰にも見せないことです。
苦手意識のある人ほど、きちんと作ってから資料を見せようとするのか、納期ぎりぎりで完成させて上司のところに持っていきます。
情報の優先順位が整理されていなくて、いきなりパワーポイントで作った資料を完成させてから初めて上司に見せれば、先ほどのような質問の山になります。
上司も挙句の果てには、本論とは関係ないことにまで言及したくなるかもしれません。
結果、また苦手意識が増長されるという悪循環になってしまいます。
資料作成の苦手を克服するためにやるべき3つのこと
資料作成が苦手だと思う人は、先ほど挙げた苦手な人が持つ3つの特徴を潰すことを最優先に考えるべきでしょう。
特徴を潰すとは、ズバリを以下の3つに集中することです。
- 資料作成の目的を明確にする
- 手書きでもよいので設計図を作る
- 設計図の段階で関係者からフィードバックをもらう
詳細を順に解説していきます。
資料作成の目的を明確にする
一番最初にやるべきことは、資料作成の目的を明確にすることです。
目的を、最もシンプルに考える方法は、「自分がどうしたいか?」、「相手にどうなってもらいたいか?」を整理することです。
たとえば、以下のような形で整理します。
例
自分がどうしたいか?
⇒会議で、承認をもらって、次のステップに進めるようにする(その結果、残業も減らす)
相手にどうなってもらいたいか?
⇒懸念点をクリアにして、承認の意思決定をしてもらう
このときに大事なことは、相手にどうなってもらいたいか?を考えた上で、
- 相手が懸念を感じる点はないか?
- その懸念は、どのような情報があれば払拭できるか?
- どの情報が必要で、どの情報が不要(相手にとってはノイズ)なのか?
- その理由は?
などを徹底的に考えます。
真面目な人ほど、知っている情報を順序立てせずにすべて伝えようとしますが、多くの情報があると相手は混乱します。
目的を明確にすることで、目的を達成するために必要なことだけに集中できるので、資料に盛り込む情報を必要最小限にできるのです。
手書きでもよいので設計図を作る
次にやることは設計図作りです。
目的がわかったからといって、いきなりパワーポイントで資料作成を始めるのはダメです。
まず、資料の設計図を作ります。
設計図には、次のような情報が入ります。
- スライド全体を通しての結論
- 結論を言うために、スライドごとに言いたいこと
- 言いたいことに対して、載せる情報
この段階では、手書きでもよいですし、パワーポイントを使うにしても簡単なブロックだけで表現します。
たとえば、私がよく使うパワーポイントで作る設計図は、以下のような感じです。
この事例だと、スライド全体の結論を一番最初のスライドに言っていて、その後の3枚のスライドが結論を言うためのスライドになっています。
ここまでできたら、スライドごとの設計をしていきます。
たとえば、以下のように言いたいことに対して、スライドに入れる要素だけをブロックで書きます。
パワーポイントで作ってもよいですが、グラフのイメージを考えるのであれば、手書きの方が早いです。
設計図の段階で関係者からフィードバックをもらう
ここまできたら、関係者にフィードバックをもらいます。
特に上司からの指示で仕事を受けているなら、上司に見てもらうのがよいでしょう。
こんなラフな段階で、上司に見せるのは気が引けるなあ。。。
このように感じて、上司に遠慮する人もいるようですが、上司の立場からすると、むしろこの段階で見せてもらえると安心できるのです。
上司だって、納期ぎりぎりに出された資料にあれこれ文句を言うのは本当は嫌ですし、それによって部下の残業が増えることも本意ではありません。
そんな中で、早い段階でラフ案を見て、その場で意見が言えると、上司は安心して仕事を任せておけるようになります。
加えて、そうやって早く相談してくれる態度自体に信頼を寄せるようになります。
部下にとっても、手書きレベルの段階なら上司に何を言われても、いくらでも修正が効きます。
最初のうちは、訓練が必要ですが、慣れてくると、指示を受けてから30分くらいで、手書きのイメージを上司に見せられるようになります。
その頃には、資料に対する苦手意識も払拭されていることでしょう。
どうしても、上司が嫌というなら、資料作成が得意な同僚に見てもらってもよいです。
そういう同僚は、たいてい自分でも資料作成が得意だと思っているので、素直にアドバイスを欲しいと言えば、講師になったつもりで喜んで教えてくれます。
後回しにしてよいスキル
先ほど、資料作成の苦手をなくすためにやるべきことは3つと書きましたが、逆に言うと、それ以外は苦手を克服する段階ではやる必要はありません。
代表的なのが、以下の3つです。
資料に色や装飾をつけるスキル
資料にインパクトを出すためには、色、装飾、アニメーションは大事です。
しかし、資料に苦手意識を持っている段階でやることではありません。
極論言うと、白と黒だけで意味が理解できる資料を作ることを意識したほうが、資料作成スキルは伸びます。
たまにカラフルな資料を作る人がいますが、意味がないどころか、かえって重要なポイントがわかりにくくなってしまうケースが多いです。
それなら白黒だけの資料の方がマシです。
色や装飾の使い方は、基本的な部分での苦手意識がなくなってから上達させても遅くはありません。
資料のデザイン性を高めるスキル
デザインも資料にとって重要な要素ではあります。
しかし、先ほど解説した「やるべきこと」をやっていれば、見た目が質素であったり、単調に見えたとしても、言いたいことは伝わって意思決定には繋げられます。
かつての同僚に、資料をものすごく綺麗に作れるデザイナーがいましたが、中身を読んでも何を言いたいかさっぱりわからなかったので、上司にいつもダメ出しをされていました。
その人は、資料をデザイン的に綺麗に作ることには長けていたのですが、資料作成の目的をおさえてなかったので、せっかくのスキルが全く生きていなかったのです。
つまり、資料作成の目的と設計図を考えて、手書きでわかるレベルで表現することのほうが、資料のデザインを考えることよりもはるかに大事だというわけです。
パワーポイントのテクニック
ショートカットキーなどを覚えて、パワーポイントが上手に使いこなせるようになれば、資料作成は早くなります。
しかし、そうしたテクニックも後回しでよいです。
先ほど挙げた「やるべきこと」の中に、パワーポイントの操作に関することは1つもなかったことに気づいたでしょうか。
デザインと同じで、どれだけパワーポイントのテクニックが素晴らしくても、設計の段階で伝わる資料になっていなければ、意味がないからです。
苦手意識を払拭できないときの対応方法
ここに書かれたことをやっても、苦手意識はなくならない。
そう思う方もいるかもしれません。
そのときの対応方法は2つです。
資料作成をプロに教えてもらう
世の中には、資料作成のプロ、つまり資料作成のコツを教えてお金をもらっている人達がいます。
そういう人達の講義を受けて、愚直に実践すれば、確実に資料のレベルは上がります。
私がおすすめするのは、以下2つのオンライン講座です。
いずれも、約3時間の講座で資料作成の基礎をしっかり教えてくれます。
知人にも勧めて見てもらいましたが、
「講座の内容を実践したら、上司からわかりやすくなったと言われた」
という感想をもらうほど、よくできた講座です。
グローバルでも通用するパワポ作成術
プレゼンテーション資料の構成を4つのパートに分けて解説。前提の整理から、見やすいスライド構成、パワーポイントのテクニックまで、実例を交えて丁寧に解説しています。
受講するとプレゼンテーションのテンプレートをダウンロドードできるようにもなっています。
この講座を見て実践するだけで、プレゼンテーション資料作成で一歩抜きん出ること間違いなしです。
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3分で一発OK!孫正義氏が認めたプレゼン術
孫正義氏も認めた前田鎌利氏が担当するプレゼンテーション講座です。
決裁者を一発で納得させるためのストーリー構成、シンプルかつインパクトのあるスライドの見せ方を解説。
特に相手の立場に立ってグラフを見やすくするための演習は、ついついごちゃごちゃしたスライドを作ってしまいがちな人には役立つ内容でしょう。
上の講座でプレゼン資料作成の基礎を学び、この講座で忙しい人を短時間で説得できるスキルを学ぶという棲み分けがおすすめです。
関連記事:【Udemy】おすすめ講師【前田さん・熊野さん】評判は?
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ユーザー登録方法は、以下の記事に記載しています。
関連記事:【Udemy】ビジネスの基礎を学べるおすすめ講座【ユーザー登録方法も解説】
資料作成を外注する
苦手の克服には時間がかかるよなあ。。。
このように思う人は、苦手の克服を諦めるというのも1つの方法です。
特に小規模企業の経営者の方は、部下が忙しいとか、そもそも部下も資料作成が苦手というケースもあるでしょう。
その場合は、外部に一括で引き受けてもらうのがよいです。
ココナラの資料作成代行のような外注サービスを使ってもよいでしょう。(以下、ココナラの出品事例です)
資料作成だけでなく、雑多な事務仕事も頼みたいという方には、ネットでも高評価の【フジ子さん】のようなオンラインアシスタント・サービスを提供している会社もあります。
関連記事:【比較】資料作成を代行できるサービス16選【料金相場も掲載】
まとめ
以上、資料作成の苦手な人の特徴と、苦手の克服方法でした。
- 資料作成が苦手な人の特徴として、情報の優先順位が整理できていない、資料をいきなり作成し始めている、完成するまで誰にも見せないの3つ挙げられる。
- 苦手を克服したいなら、3つの特徴を潰すことが大事。具体的には、資料作成の目的を明確にする、手書きでもよいので設計図を作る、設計図の段階で関係者からフィードバックをもらうことが大事になってくる。
- 資料に色や装飾をつけたり、デザインをよく見せたりすることは後回しでOK。色や装飾がなく、デザインが普通でも目的は十分に果たせる。
- それでも苦手意識を払拭できないなら、プロに教えてもらうか、自分で資料を作ることを諦めて外注することも方法の1つ。