問題解決手法とは、あるべき姿と現状のギャップから「問題を設定」し、問題を分解して「問題箇所を特定」し、その問題を起こしている「原因を追求」し、その原因を取り除くための「解決策を立案」するという一連のプロセスのことです。
問題解決のための4つのステップ(フレームワーク)
- 問題を設定する
- 問題箇所を特定する
- 原因を追求する
- 解決策を立案する
この記事では、ロジカルシンキングに基づいた問題解決手法・フレームワークについて解説していきます。
以下のような人におすすめの記事になっています。
- 難しい問題を解決する方法を知りたい
- 多くの問題を引き起こしている「真の原因」を突き止められるようになりたい
- 安易な解決策に飛びつかず、本質的な解決策を導きたい
問題解決プロセス1.問題の設定
問題解決プロセスの中で、最初にやるべきことで、かつ最も重要なことが問題を設定することです。
なぜなら、問題の設定を間違えると、この後のプロセスがすべて無駄になる可能性があるからです。
問題とは、当初の目的や目標に沿った「あるべき姿」と「現状」の間にギャップのことです。
たとえば、利益目標100億円というあるべき姿に対し、実際の利益が95億円だったとすれば、目標と現実にギャップがあるので問題だと考えることができるでしょう。
問題設定のコツ
問題を設定するときのコツは、以下の3つです。
- 「現在起きているよくないこと」を考える
- 「よくないこと」が改善されて、「よいこと」が起きている状態を考える
- その「よいこと」が、本当に起こすべきことなのかを考える
たとえば、「バスの待ち時間が長い」という顧客の不満を考えてみましょう。
ここでの問題(よくないこと)は、「「バスの待ち時間が長い」という顧客の不満がある」ことです。
では、この問題がよいことに変わった後の状態を考えるとどうでしょう。
「「バスの待ち時間が短い」と喜んでいる」状態でしょうか?
たしかに、バスの待ち時間が短くなれば不満はなくなるかもしれません。
しかし、ここで本当に起こすべきことは「顧客の不満をなくす」ことではないでしょうか。
もう1つ事例として、「エンジニアの数が少ない」という問題を考えてみます。
この状態を問題(よくないこと)と考えると、よいことは「エンジニアの数を多くする」でしょうか?
このように考えると、エンジニアの多い少ないの話はあくまで手段であって、本来は別のところに問題があると気づけるでしょう。
たとえば、「顧客の要望どおり納品できていない」ことが問題なのかもしれません。
あるいは、「少ないエンジニアで競争力のある商品を作れない状態」の方が問題なのかもしれません。
問題設定のときは、このように3つのコツを意識することで、より本質的な問題設定ができるようになるのです。
<問題設定の際のポイント>
- 問題解決プロセスで大事なことは問題を正しく設定すること。問題設定を間違えると、後のプロセスがすべて無駄になる可能性がある
- 問題とは、あるべき姿と現状とのギャップのこと。
- 問題を正しく考えるには、「現在起きているよくないこと」、「よくないことが改善された状態」を考えて、その状態が本当に実現したいことなのかを問うことが大事。
問題解決プロセス2.問題箇所の特定
問題の設定ができたら、次に問題箇所を特定する必要があります。
たとえば、ここで利益が目標未達であることが問題と考えたときに、いきなり「売上が落ちているのが原因」とか「製造コストが上がっているのが原因」というような思考では、なかなか問題解決には至りません。
ここでは、まず利益をMECEに分解していくことから考えてみます。
分解にはロジックツリーを用います。
以下の図のように分解することで、利益目標が未達であるという問題をより特定の問題に落とし込むことができます。
たとえば、調査した結果、人件費が当初の予定より大きいということであれば、問題箇所は人件費ということになります。
人件費であることがわかると、人件費を間接部門、直接部門などの部署別で見たり、正社員、パートなどの職種別で見たりすると、さらに問題の真因に近づくことができます。
<問題特定の際のポイント>
- 問題設置をしたら、いきなり理由を考えずに、問題が発生している箇所を特定する。
- 問題を特定するときには、ひとつの切り口に頼らず、複数の切り口を使ってみて、最も感度のよい切り口を探す。
- 感度のよい切り口を見つけたら、さらにその切り口を深堀りする。
問題解決プロセス3.原因の追求
ある程度問題箇所を絞り込めたら、次になぜその問題が起こっているのかを考えます。
先ほどの状況で、人件費の中でも「正社員の人件費」が大きくなっていることが、問題のようだとわかったとします。
ここでは、なぜ正社員の人件費が上がったのかを考えます。
ここでも、いきなり「残業が多いから」という理由に飛ぶのではなく、なるべく人件費が上がっているという減少に主眼を置きながらロジックツリーを用いて、原因追求をします。
まずは、なるべく大きな概念でMECEに切り分けます。
ここであぶり出された原因の中には、いくつかのマイナス原因が複雑に絡みあっている場合があります。
そうした要因を分析するにはロジックツリーだけでは、不十分でコーザリティ分析を使う場合もあります。
この原因追求のプロセスでは、しつこく「なぜ?」を繰り返して真の要因を見つける必要があります。
<原因追求の際のポイント>
- 個人的なスキルに帰着させずに、制度などの構造的な部分に着目する
- 複数の原因が抽出された場合は、その因果関係を明らかにする
コーザリティ分析とは
コーザリティ分析とは、いくつかある問題の因果関係を明らかにして、真の原因を突き止めるための分析手法です。
たとえば、次のような問題があるとします。
・利益があがらない
・顧客が減っている
・従業員のモチベーションが上がらない
これらは、それぞれ何らかの因果関係を含んでいるようにも見えます。そこで、この構造を明らかにするためにコーザリティ分析を用います。
コーザーリティ分析では、真の問題を見つけるために3つの問題の間に存在する問題も意識しながら因果関係を整理していきます。
たとえば、コーザリティ分析の結果、下のように因果関係を整理できたとします。
このケースでは、3つの問題が絡みながら2つの悪循環が起きていますが、根本的な原因は「職場の雰囲気が悪いから」と考えることができます。
このようにコーザリティ分析を使うと、表面化しているいくつかの問題の根本的な原因を絞り込むができるメリットがあるので、ロジックツリーだけで問題がわからない場合は、コーザリティ分析を活用することをおすすめします。
問題解決プロセス4.解決策の立案
原因を究明できたら、次は解決策の立案が必要です。
上記の人件費の例で、原因が「パートのスキルが不足」していて、正社員が仕事を振れずに抱え込んだあげく、残業が増えて、人件費を上げていることが原因だったとします。
それに対する打ち手をいくつか考えていきます。
ここでも、やはりロジックツリーを用います。そして、ここでも最初は、なるべく大きな概念でMECEに切り分けていきます。
こうしてあがったいくつかの解決策を適切な判断軸で評価して、実行策を絞り込む必要があります。
たとえば、次のようなものが考えられます。
- 効果の大きさはどれだけになるか
- 時間がどれだけかかるか
- 費用がどれだけかかるか
- 実行することによるリスクはないか
<解決策設定の際のポイント>
- 複数のオプションに対する判断軸を明確にする
- 短期、中期、長期など時間軸で分けて考える
問題解決プロセスのまとめ
以上が問題解決のプロセスでした。
- 問題解決のプロセスは大きく4つある。
- 最初に問題を定義する。問題とは、あるべき姿と、現実とのギャップである。
- 次に問題箇所を特定する。さまざまな切り口で問題箇所を分解しながら、一番問題となっている部分を見つけ出す。
- 問題箇所が見つかったら、なぜその問題が起こっているか?を分析する。問題箇所の特定と同様に、表面的な理由にとどまらずに、理由を深堀りしていく。いくつかの理由が出てきた場合は、コーザリティ分析を使って根本にある理由を見つけ出す。
- 最後に解決策を考える。解決策も広く考えた上で、費用対効果を考えて、絞り込んでいく。
その他の問題解決法
ここで紹介したのはロジックツリーを活用した問題解決法ですが、これ以外の問題解決法で有名なものを紹介します。
対立を両立に変える問題解決法「TOCクラウド」
TOCクラウドとは、対立が起きたときに、対立を両立に変えるための思考法です。
クラウドという非常にシンプルな図を描くことで、一見対立しているように見える事象の中に、両立できる方法を見出すことができます。
「Aの手段とBの手段、どちらを選択するとよいのか?」と悩んでいる人にとっては、大変有用な問題解決法となります。
詳細は以下の記事をご覧ください。
もっと詳しく>>TOCクラウドとは
プロジェクト単位問題解決を図る「シックス・シグマ」
シックスシグマとは、日本のTQM(Total Quality Management)を参考にしたモトローラにより生み出された手法です。
DMAIC(ディーマイク)というプロセスに沿って、問題を分析し解決に導く考え方で、プロジェクト化して進めていきます。
経験・レベルに応じて資格制度があることも特徴です。
もっと詳しく>>シックスシグマとは
問題解決能力を高めるおすすめ講座
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