企業における購買活動は、その企業のバリューチェーンにおける付加価値創出において大きな役割を果たしています。
マッキンゼーのパートナーであるリアコポーロ氏によると、購買活動はインテグレーターやコーディネーターなどと称され、企業内のバリューチェーンの関節機能だけでなくサプライヤーまで含めたプロセス全体の価値創出に寄与する存在だとされています。
では、卓越した購買活動に見られる特徴とは何があるのでしょうか。ここでは5つの特徴について見ていきます。
1.関係者との関係構築能力
優れた関係構築能力は購買にとって大変重要な要素です。これは外部のサプライヤーとの関係だけでなく、会社内部の関係部門との関係構築も含みます。
特に会社内部の同僚や組織のニーズを素早くとらえて、信頼関係を築きながら、複数の部門を超えてシームレスに動く能力が要求されてきます。
2.交渉能力
関係性の構築は大事なのですが、ビジネスにおいて一定の価値を生み出すには交渉力が欠かせません。これは単に自社の目標到達をするというためでなく、外部サプライヤー含めた関係者のニーズを洗い出して、WIN-WINの状態を作り出す能力のことを示しています。
全ての交渉には個性があるゆえに、型にはまった交渉術を使うのではなく、状況に応じて柔軟に対応する能力が求められるわけです。
プロジェクトには当然ながらゴールとなるデッドラインと、それを実現するマイルストーンを示したタイムラインが存在しています。購買担当者はプロジェクトに遅れが生じないように、サプライヤーや社内関係者を調整する能力が必要になります。
3.戦略的思考能力
これは本ブログで紹介しているビジネスの基礎スキルを持ち合わせておくというだけでなく、サプライヤーや業界のトレンドを見ながら、将来何が起きそうなのかを予測し備えるということまで含めた能力のことです。
また、従来の購買担当は日本のトレンドだけを捉えていればよかったかもしれないですが、世界にサプライヤーのネットワークが広げられる近年においては、世界的なトレンドを含めた情報を持ち合わせ、未来のトレンドを予測する能力が必要になってきます。
4.変化をポジティブにとらえる
コストダウンやよりよい技術の導入は何らか変化によってもたされます。変化を拒絶するということは、これらの機会を逸してしまうことにつながります。長年かけて構築してきた関係をベースに仕事をするというのは心地のよいことです。
また、技術的に安定したものを使い続けるというのもリスクの低く心地のよい話でしょう。しかし、変化する機会を貪欲にとらえることで、会社の業績に大きく貢献できるだけでなく、購買担当としての成長につながります。
ビジネスを取り巻く変化の中で、ひとつの会社で商品を全て完結させることは難しくなっています。こうした環境の中、外部パートナーをプロジェクトに巻き込んでコーディネートできる力の重要性が高まっていくことは間違いないでしょう。
その中で、今回紹介した5つの能力を持った優れた購買担当者の需要はますます増えていくことでしょう。