購買戦略を考える際に、購買先の重み付けをつけるのにお悩みの方も多いかと思います。この記事では、その重み付けをする上で参考とできるフレームワークであるクラウジック・マトリックスについて解説していきます。
クラウジック・マトリックスとは
クラウジック・マトリックスとは、1983年にハーバード・ビジネス・レビューで提唱されたもので、購買戦略を構築するためのフレームワークです。このフレームワークを使うことで、既存のサプライヤーとスムーズに仕事を進めることが促進され、製品供給上の弱みを可能な限り取り除き、購買力の最大化をすることを目的に活用します。
マトリックスでは、購買品を業績インパクトとの供給リスクを軸にした4象限、戦略的購買品、レバレッジ購買品、ボトルネック購買品、非注力購買品で考えていきます。
戦略的購買品
この象限に位置付けられる購買品は、自社の業績に大きな影響を与えます。これは、会社がこの購買品に多大な費用を使っていて、かつ会社の差別化および利益に直接結びついていることを意味しています。たとえば、貴金属などの高価なものがこの象限に位置付けられます。これらの購買品に適用する購買戦略には、アライアンスや戦略的パートナーシップのような包括的なサプライヤー管理があります。
レバレッジ購買品
戦略的購買品と同様、組織に大きな業績インパクトを与えますが、供給リスクは少なく、市場での調達が容易なものです。これらの購買に適用する購買戦略には、入札と競争入札があります。
ボトルネック購買品
ボトルネック購買品は、会社に対する業績インパクトが少なく供給リスクが高いものです。たとえば、新しい技術を提供できる新しいサプライヤーです。この象限に位置付けられる購買品適用する購買戦略は通常2つあります。一つ目として、供給の継続性を確保するように努めることです。二つ目に、自社製品の設計に工夫を加えることで、代替製品およびサプライヤーを発掘しておき、ボトルネック購買品への依存度を減らすことです。
非注力購買品
この象限に位置付けられる購買品は、会社への業績影響が少ない事務用品などようなものになります。これらの製品は財務インパクトが少なく、供給量は豊富にあるのですが、製品を扱うコストが製品自体のコストを上回る場合もあります。したがって、非注力購買品に使用する購買戦略は、管理コストと物流の複雑さの軽減になります。
その他の観点
クラウジック・マトリックスでは、サプライヤーと自社との関係性は考慮していません。関係性とは、サプライヤーとの過去の取引とサイズによって決まってきます。
たとえば、1年前から始まった年間取引金額1000万円のサプライヤーと、30年前から継続している年間取引金額2億円のサプライヤーでは、その重要度が全く異なります。実務場面では、単純なマトリックスによる評価だけでなく、こうしたマトリックス以外の要素についても考慮が必要ですが、このクラウジック・マトリックスはサプライヤー管理の議論をとっかかりとしては十分に活用できるものです。
まとめ
サプライヤーをこのようにマトリックスで整理することで、関係を強化する領域と、注力しない領域を明確にすることができます。このマトリックスを参考にして、みなさんの会社の実情に合わせて、よりフィットするマトリックスを構成してみてはいかがでしょうか。
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