ときどき「ルビコン川を渡る」という表現を見かけますが、みなさんはこの意味わかりますか?
私は何となく「後には引けなくなること」くらいのイメージを持っていました。
先日この「ルビコン川を渡る」という言葉を見かけた時に、改めてどういう意味の言葉だったのか?を正確に調べてみました。
「ルビコン川を渡る」の意味
ルビコン川を渡るというのは、故事ことわざ辞典によると次のような意味だそうです。
【意味】 ルビコン川を渡るとは、ある重大な決断・行動をすることのたとえ。
別のソースも見てました。生活情報サイト|x-Memoryによると、以下のように紹介されています。
ルビコン川を渡るは、後戻りのできないような重大な決断や行動をすることの喩えをいいます。
どうやら、私が冒頭で書いたことに近く「後には引けない」くらいの「重大な決断・行動」だということのようです。
では、なぜルビコン川を渡るというのが、このような意味になったのか?
後ほど解説しますが、古代ローマ時代のカエサルがこのルビコン川を渡るときの背景に起源があります。
ルビコン川の場所
ルビコン川の場所は、一説によるとイタリア北部にある「ルビコーネ川」ではないかと言われています。
地図で見ると、だいたい赤丸で囲ったところで、フィレンツェの東側に位置しています。
しかし、どの川が本当にカエサルが渡ったルビコン川なのかは諸説あるそうで、今となって本当の位置まではわからないそうです。
ルビコン川を渡ることが重大決断である理由
古代ローマ時代、ルビコン川は本土と属州の境界線となる川でした。
しかし、ローマ帝国は、武装した状態でルビコン川の境界線を超えてローマ帝国本土に立ち入ることを法律で禁じていました。
カエサルは属州の総督を務めていましたが、政敵であったポンペイウスの策略によって総督の座を解任されてローマ帝国本土に戻るように命令されます。
そのときにカエサルは、法律を犯して武装した状態でルビコン川を渡りました。川を渡るときにカエサルが発したとされる有名な言葉が、「賽は投げられた(The die is cast)」です。
カエサルにとって、武装した状態でルビコン川を渡ってしまうと、ローマ帝国を奪取するか、ポンペイウスに負けるかしかないという状態だったのです。
こうした時代背景をバックに、「ルビコン川を渡る」という表現が現代でも使われています。
この元の場所に戻ることはできないというカエサルの決意が、まわりを巻き込む大きな流れを起こしたのか、結果的にカエサルはポンペイウスを破って、ローマ帝国における権力を掌握することに成功しました。
ビジネスでの使われ方
ビジネスにおいてはルビコン川を渡るという表現は、ポジティブな場面でもネガティブな場面でも使われています。
ポジティブな使われ方
ポジティブな用法として、非常に難易度の高い仕事に背水の陣で臨むときに使われます。
ルビコン川を渡ると宣言することで、担当している仕事に強烈な責任感と当事者意識が生まれ、仕事の成功に向けて一心不乱に頑張れるようになるというニュアンスです。
この場合の用法としては、以下のようになります。
ルビコン川を渡る決意ができました
あたなと一緒にルビコン川を渡ることにしました
ルビコン川を渡った以上は、やるしかないですね
いずれも不退転の決意(※)で成功を目指すというポジティブな言い回しになります。
※堅固に意志を固めて、けっして志を曲げたり屈したりしないと誓う心意気。強い決意を表す言い回し。(Weblio辞書より)
会社の大事なプロジェクトでは、このルビコン川を渡る場面が何度も訪れるとしています。
実際コンサルタントの心構えを書いた本にも以下のように書いています。
まず不可欠なのは、コンサルタント自身がルビコン川を渡る覚悟を決めること。そして、次に求められるのは、クライアントの担当者や責任者に対して、ルビコン川を渡る決意を促すことだ。
ネガティブな使われ方
「ルビコン川を渡る」にはネガティブな用法もあります。
たとえば、以下のような使われ方です。
●●の実行は、ルビコン川だから決して渡ってはならない
ルビコン川を渡ってしまった彼は、このまま転落の一途だな
ポジティブな使われ方では、ルビコン川を渡った先にあるであろう栄光に注目しているのに対して、ネガティブな使われ方では、ルビコン川を渡ったらもう戻ってこれないということを強調しているのです。
まとめ
みなさんも仕事の中で、「ルビコン川を渡った」状態になったことが何度かあるかと思います。(意図して渡った人もいれば、意図せずに気づいたらもう渡っていたというパターンまでさまざまでしょうが)
しかし、ルビコン川を渡ることで、ビジネスパーソンとして成長を促し、それが次の大きな仕事や信頼につながることになることになるのでしょう。
カエサルのローマ帝国での偉業を考えると、ルビコン川を渡るという言葉は、ポジティブな用法として使っていきたいものですね。