サービス産業には、バリューチェーンとは別にサービス業特有の経営戦略フレームワークがあります。
それがサービス・プロフィット・チェーンです。
この記事では、そのサービス・プロフィット・チェーンについて解説していきます。
サービス・プロフィット・チェーンとは
サービスプロフィットチェーンとは、ハーバード・ビジネススクールのヘスケットらによって提唱されたモデルで、サービス企業における売上や利益の成長の成果を達成する上で関係する主要な要因の関連性を示したフレームワークのことです。
「サービス」には、生産と消費が同時に行われるという、「物」にはない特徴があるため、顧客接点の最前線となる従業員の満足度向上がサービスに与える品質が大変大きくなります。
サービス・プロフィット・チェーンでは、顧客満足(CS)は従業員満足(ES)によってもたらされるプロセス、および一方の満足度が他方の満足度を高めるという循環の様子を示しています。
実際に、リッツ・カールトンやディズニー・リゾートのような、現場の従業員のサービスレベルに定評のある企業は、このサービス・プロフィット・チェーンがよく機能しています。
この記事を引用して頂いた方によると、介護業界でもサービス・プロフィット・チェーンは大事だそうです。
何度でも言うが、介護はSPCがメチャクチャ良く回る業種✨
利益を上げたければ労働環境を改善しよう❗【3分でわかる】サービス・プロフィット・チェーンとは サービスの付加価値源泉 – セーシンBLOG https://t.co/7tKnL1oY8p @n_spirit2004より
— 和希(介護職) (@kazuki201807) July 15, 2020
サービス・プロフィット・チェーンの因果関係
- 社内サービスの質が、従業員満足度に影響を与える
- 従業員満足度が、従業員のロイヤルティと生産性に影響を与える
- 従業員のロイヤルティと生産性が、サービスの価値に影響を与える
- サービスの価値が、顧客満足度に影響を与える
- 顧客満足度が、顧客ロイヤルティに影響を与える
- 顧客ロイヤルティが、企業業績に影響を与える
- 企業業績が、社内サービスの質に影響を与える
サービス・プロフィット・チェーンの流れ
外部サービスのプロフィット・チェーン
- サービス価値の向上が、顧客満足を増大させ、顧客ロイヤルティの獲得につながります。
- ロイヤルティの高い顧客が、サービスを反復購買したり、他の顧客へサービス購買の推奨という行為をしたりすることで、売上や利益の増加につながります。
内部サービスのプロフィット・チェーン
- 評価・採用・配置・育成という人事システムの適切な構築により内部サービス品質を向上させます。内部サービス品質の向上の原資は売上や利益の増加によってもたらされます。
- 内部サービスの向上が従業員満足の増大をもたらし、従業員満足の増大が従業員ロイヤルティの向上をもたらします。
- ロイヤルティの高い従業員は、定着率が高まり、モチベーションが向上して、高いサービス生産性を発揮するようになります。これがサービス価値の向上をもたらします。
サービス・プロフィット・チェーンの特徴
サービス・プロフィット・チェーンを構成する各要素は、全て活動から生まれるアウトプットになっています。従って、適切な方法を用いれば、全ての要素を計測することができます。
(例)従業員満足度、労働生産性、顧客満足度、リピート率、利益率など
従業員満足度向上の方法
上記のように、従業員満足度を高めることが、サービスの質を高め、顧客満足度を高めることにつながります。したがって、従業員満足度を高めることはサービス業においけて大変重要な要素となってくるわけです。
では、従業員満足度を高める打ち手にはどのようなものがあるのでしょうか。たとえば、人事システムで考えると、採用⇒配置⇒評価⇒報酬⇒育成といったプロセスがあります。
特に人事システムの中では、その入口となる「採用」は重要です。ここで会社の価値観やサービスポリシーにそぐわない人材を採用してしまうと、たちまちサービスの質を落とす要因になるからです。採用段階で会社として従業員に対してどのような行動を求めるのか?よくすり合わせをした上で入社をしてもらう必要があります。
従業員満足度向上に関連する記事
まとめ
サービス・プロフィット・チェーンによると、サービスの価値を高めるには、まずサービスを提供する従業員の満足度を上げることが重要ということでした。
サービス業に従事されている方は、顧客へのサービスレベルを上げる前に、まずます従業員自体が高い満足度で働いているかに留意してみてはいかがでしょうか。
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