人材マネジメント

組織におけるスパンオブコントロールとは 人が管理できる限界人数

前回の記事で、今後のトレンドを踏まえた理想的な組織形態を提案しましたが、ここではスパンオブコントロールという観点から組織管理について書いていきます。

前回の記事

【理想の未来組織】オープンでフラットなプロジェクト主体の組織組織構造に関する記事で、一般的な組織形態とその問題点、特に階層の深いヒエラルキー型の組織で問題を生じやすいということを書きました。 ...

スパンオブコントロールとは

管理者が直接管理している部下の人数を示します。職種によって異なるのと、何を持って管理可能とするかによっても異なりますが、一般的には8~10人程度、多くても15人が限界ではないでしょうか。

この人数内であれば、部下の業務内容を詳しく見ることができますし、日々のコミュニケーションや業務上の適切なアドバイスを送ることも可能でしょう。

必要に応じてプライベートなことも相談にのれます。しかし、これを超えると、細かいところまで目が届かなくなり、場合によっては権限委譲という仮面を被った放置になる可能性もあります。

一般的な大企業の課題

仮にスパンオブコントロールが8~10人だとしましょう。

それでも大企業には大きな課題があります。それはスパンオブコントロール以下の部下しか持たない中間管理職の存在です。

たとえば、本部長の下に3人の部長がいるとか、課長の下に2人の係長しかいないという状態です。なぜこのような状況がおこるのでしょうか。

ひとつは年功序列的に役職を与えていった結果、役職者が増えてしまったこと、もうひとつは役職者の過去の功労やメンツを気にして、一度つけた役職を外せなくなっていることです。

そのための、上記のようなオペレーション効率を無視した組織体系になってしまいます。

実際、一人の人間が8~10人の部下をもつということを組織の末端までやると、多くの会社は社長の下に4階層もあれば十分なはずです。

巨大企業でも5階層で十分です。しかし、実際には少なくとも社長⇒本部長⇒部長⇒課長⇒係長⇒主任⇒担当のように6つも7つも階層ができてしまうのです。

もうひとつの理想 – フラットな会社組織

前回、全ての仕事をプロジェクト型にということを書きましたが、組織をフラットにしていくことも、特に大きな会社には必要なことになっていくでしょう。

なぜなら従来型の階層の深い上下関係を持ったまま、プロジェクト型の仕事をするのは、さまざまな(主に中間管理職のメンツと既得権益からくる)コンフリクトが生じてしまうからです。

さらに組織をフラットにすることで、上下の情報伝達がより素早く・より正確になり、意思決定の精度とスピードが上がることも期待できます。

事業の成功要因による仕事のやり方の変化は、スパンオブコントロールに基づいた組織のフラット化の流れを徐々にもたらすことでしょう。

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