新たにマネージャーやプロジェクト・リーダーになった方が悩みとして多いのが、どのようにチーム形成をしていくか?というものです。
「チームメンバーがよそよそしい」
「言うことを聞いてくれない」
「リーダーだけが浮いているように感じる」
これらはそのほとんどが、チーム形成段階におけるコミュニケーションの取り方がまずいことによって起こる問題です。
この記事では、リーダーシップの肝となるチームビルディングについて、タックマンモデルとコグスラダーという2つのフレームワークを紹介していきます。
チームビルディングとは
組織を設計して、それを機能させるためには大なり小なりチームを形成して、課題に取り組む必要があります。
それは、組織の目標やビジョンを具現化することは、1人の人間だけでは成しえないからです。
そうすると、必然的にチームを形成する必要があります。さらにチームを形成することで、個々人の力に相乗効果が生まれ、1+1が3以上の効果を発揮できるようになるのです。
チームビルディングとは、ある目的を達成するために、チームの共通認識と相互理解を深めて、有機的にチームとしての能力を高めていくことです。
企業活動では、チームとしての活動が不可欠となる以上、このチームビルディングも不可欠な存在になります。
チームビルディングに必要な4つの要素
チームビルディングには、次の4つの要素が必要と言われています。
- 戦略・ビジョンを浸透させる「目的の共有」
- 進捗や問題をメンバー間で情報交換する「コミュニケーション」
- 誰がいつまでに何をするのかを明確にし、責任者にコミットさせる「コミットメント」
- 企業活動をする上で常に念頭に置くべき「顧客視点」
この要素がどれか1つでも欠けると、チーム形成のメリットがほとんど無くなってしまいます。(全くないと言ってもいいでしょう)
タックマンモデル
タックマンモデルとは、チームが形成されたから機能するまでのステップを表したモデルのことです。タックマンモデルでは、形成さえたチームは、いきなり機能するのではなく、次の4つのステップを経て初めて機能すると解説しています。
1.フォーミング(Forming)
チームが互いのことをよく知らない状態。
2.ストーミング(Storming)
チームメンバーの役割や責任の所在について意見が出され、対立が発生する状態。
3.ノーミング(Norming)
チームメンバーがお互いの考え方を受容し、役割・責任の所在が明確になり、行動規範が生まれる状態。
4.パフォーミング(Performing)
チームに一体感が生まれ、チームが機能する状態。
コグス・ラダー
コグズ・ラダーとは、チーム形成のモデル化したもので、P&Gのマネージャーだった、ジョージ・キャリアー氏により1972年に提唱されました。
キャリアー氏は、最初の会議からハイパフォーマンスのチームにしていくまでに、どのようなステップを踏んでいくべきかをまとめています。
キャリアー氏の結論は、目標とするチームにするためのステップは、5つのステージに分けられるとしています。ポライト・フェーズ、存在意義確認・フェーズ、パワー・フェーズ、協力・フェーズ、一致団結・フェーズの5つです。
ステージ1:ポライト・フェーズ
チーム設立当初、チームメンバーは緊張しており、自分自身に関する情報を積極的に話すことはしません。この段階は、通常、紹介や知人によって支配されています。
ステージ2:存在意義確認・フェーズ
メンバー紹介が完了すると、チームはなぜ彼らが呼ばれたかについての明確な考え方を示すフェーズに移ります。このフェーズになると、チームの注意は個人やチームの目標に向かいます。個人個人が自分の興味とスキルを明らかにするにつれて、派閥が形成される可能性もあります。コミュニケーションは個人間の障壁がなくなることで、より自然になり、まだほとんど実際のワークに移れていなくても、グループの動きはより効率的になります。
ステージ3:パワー・フェーズ
この段階では、グループ内のメンバーが自然にヒエラルキーを構築し始めると、メンバーはその影響力を競うようになります。一般的には、最も自信を持っていて競争力の高い個人がトップに立ちます。この争いはチームにとって重要な発展段階になります。リーダーはこのステージを自然に通過できるように促す必要があります。
ステージ4:協力・フェーズ
チームのヒエラルキーがある程度確立されると、チームは全体の目的に向かって作業を開始できるようになります。個人が自分の仕事を完了するにつれ、チーム全体の活動も活発になってきます。すべてのメンバーはチームで成果を出せるように貢献している必要があり、チームで共有される価値観が発達し始めるころです。このチームは、こうした安定状態に混乱をもたらす可能性のあることに注意する必要があり、一般的にはこの時点で新しいメンバーを追加することは避けたほうがよいでしょう。
ステージ5:一致団結・フェーズ
この段階までくると、チームの成果が目に見えて出るようになり、個人個人は適切なタスクを委任され、メンバー間のコミュニケーションは強固になり、チームの作業は大変効率的になります。チームの生産性は最高の状態になり、この段階を可能な限り長く維持することがリーダーの役目になります。
このモデルは、先に紹介したタックマンモデル(Forming、Storming、Norming and Performing)と非常によく似ています。ステージ5に到達するためには、各ステージをできるだけ早く移動させることがリーダーの仕事になります。リーダーはチームのファシリテーターとして行動し、チーム内のコンフリクトを解決し、チームを最終ゴールに向けて導けるようにしなければなりません。
まとめ
チーム形成をする上では、まず自分のチームがどのような段階にいるかを的確に把握する必要があります。そのために、この2つのモデルは大変有用です。新しくチーム形成を任されたら、このモデルを参考にしてチームビルディングをしていってはいかがでしょうか。