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ビジネスパーソンは被害者意識ではなく当事者意識を持て「主体的に動くを読んで」書評・要約

この記事では、おすすめのビジネス書の中から一冊を紹介します。

仕事をしていると、よく「当事者意識が足りない」とか、「当事者意識を持て」といった言葉がよく耳にします。これらは責任感のない発言を繰り返すときに使われる言葉です。

先日読んだ「主体的に動く アカウンタビリティ・マネジメント」は、その「当事者意識」をどう持つかということが具体的に書かれた本でした。

この記事では、本書の概要と印象に残った箇所に加えて、本書を読んで私なりにビジネスパーソンが自分自身が当事者意識をもつ、あるいは他者に対して当事者意識を持たせるための方法について書いていきます。

本書の概要

恥ずかしながら私はこの本を最近まで知りませんでしたが、1994年にベストセラーになり、その後の改訂で実践例が加えられながら今日に至っているそうです。

そんな本書で一冊を通して一貫して述べられているのは、当事者意識と被害者意識のラインです。本書ではライン上とライン下という表現をしています。

下図は、本書を参考にして作った図です。

主体的に動く

※「主体的に動く」を参考に作成

ラインの上が当事者意識を持っている状態で、ラインの下が被害者意識を持っている状態だというわけです。そして、誰しもがライン下に転落して、被害者意識の悪循環に陥るのだそうです。

それを振り切って、リスクをとってアカウンタビリティのステップを登る努力をすることで、素晴らしいリーダーへの道が開けるのだそうです。(実は被害者意識の悪循環にいるほうが実際はリスクは大きいとも書かれています)

また、被害者意識を持つ人というのは、自分の人生の傍観者だそうです。

本書で印象に残った箇所

ツイッターでは、ざっくりこのように表現してみました。

被害者意識が企業を滅ぼす

被害者意識というのは、次のようなことが蔓延している状態です。

「うまくいかないのは、●●が悪いから」

「今の環境では、私がどれだけ頑張っても同じ」

「それは私の仕事じゃない(それをやるのは●●の仕事)」

こうなるとメンバーのモチベーションはどんどん落ち込んでいき、何かトラブルが起きても対応しない・できないという状態になり、次第に顧客が離れて業績が悪化していきます。

本書では実例としてGEがあげられていますが、あの超一流企業のGEですらも、こうした被害者意識が蔓延してしまうのだと説いています。

結果の鍵を握るのは自分だと誰もがわかっている

一方で、被害者意識から抜け出して当事者意識を持つのは結局自分次第だというのは、みんなわかっているのだそうです。

わかっているけど、目を背けてしまう。そうした人達が当事者意識を持つためには、コーチングも重要だと書かれています。

本書を読んで考えた当事者意識の持ち方・持たせ方

本書から学べる一番大事なことは、当事者意識を持つことの重要性です。

では、自分自信がその当事者意識を持つにはどうするとよいのか?相手に当事者意識を持たせるにはどうするとよいのか?

私なりの観点で考えてみました。

自分を当事者意識が持てる環境に追い込む

私は大手企業に勤務していたとき、まわりに比べると圧倒的な当事者意識で仕事をしていたと思います。一番大きかったのは、とにかく自分で手を挙げて仕事を取りにいくということでした。

自分で積極的に手を挙げるということで、自分を当事者意識の側(本書でいうライン上)に追い込むことができたのだと思います。

やがて時を経て、15年以上勤務して感じたのは、自分が圧倒的な当事者意識を持って仕事をできなくなってきているということでした。その状況を打破して当事者意識を持つために、40代になってベンチャー企業に移るという決断になったのだと思っています。

本書の趣旨だと既存の組織で当事者意識を持てるように頑張れと言われているようにも感じました。しかし、この会社を出るというのは私なりには当事者意識を持つためにはよい選択だったのではないかと、今のところは感じています。

部下は1on1ミーティングで当事者意識を持たせる

以前書いたの以下の記事で1on1ミーティングの重要性を解説しました。

1on1ミーティングの効果【実際にやって感じたこと】組織・人材マネジメントの悩みの中で、 「部下がなかなか育たない」 という悩みを持つ管理職は少なくありません。 私が、解...

本書を読んでから、1on1ミーティングというのは部下に当事者意識を持たせるように働きかけるミーティングだったのだと気づきました。

部下に仕事を与えてやらせるのではなく、部下が感じていることを傾聴・質問しながら部下の頭で考えさせて、最終的に部下が自分の意思で動く。まさにこのプロセスこそが当事者意識を持たせるプロセスなのだと感じています。

ですので、相手に当事者意識を持たせるには、この1on1ミーティングが非常によい仕掛けになることでしょう。

TOCを活用して当事者意識を持たせる

TOC制約理論では、プロセスの制約(ボトルネック)を特定して、そこに組織の力を集中させて課題を解決することが全体最適につながるとしています。

実は、みんなが制約を助けてボトルネックを解消するというプロセスは、組織の全員が解決策を主体的に考えることそのものではないかと思っています。

逆にプロセスの制約でないところを部門の課題だからといって一生懸命取り組んでも、全体最適にはなりません。これは被害者意識の発想である「自分の仕事ではない」を体現している事象かもしれません。

TOC制約理論の記事

TOC制約理論とは【ボトルネックの解決に集中する問題解決理論】
TOC制約理論とは【ボトルネックの解決に集中する問題解決理論】日々の仕事の中で、こんなことを感じている人も多いと思います。 実は、TOC(制約理論)を学ぶことで、こうした疑問を解消でき...

本書は冒頭がやや小難しい話から入るのですが、通して読んでみると非常に学びの多い一冊でした。特に1on1ミーティングやTOC制約理論と当事者意識を持つことが、私の中で結びついて、より体系的に物事を整理できたように気がしています。

また、昨今は一部のサラリーマンのことを「社畜」などと表現するの見ますが、これも被害者意識の表れのように思います。ちょうど、「主体的に動く」を読んだ後だったので以下のようなツイートをしました。

いずれにせよ、ビジネスパーソンの方には、自分と仕事の関係者に当事者意識を持たせる仕掛けを考えてみることをおすすめします。