出張報告書は、以下3つのポイントをおさえた書き方にするのがおすすめです。
- 出張目的に対する達成度が明確になっている
- 出張者なりにわかったことを書く
- 次のアクションを明確にする
この3つのポイントをおさえれば、ワード、エクセル、パワーポイント、いずれの形式でもわかりやすく報告書をまとめられます。
「出張報告書を出しても、上司に満足してもらえなかった」
「そもそも、どんなことを盛り込むと、よい出張報告書になるのかわからない」
この記事では、このような悩みを持っている人に向けて、デキる人の出張報告書に共通して盛り込まれている3つのポイント・書き方をあげていきます
これまでに何十人もの部下の出張報告書を見てきた私の経験が、ベースになっています。
記事の最後には、出張報告書のフォーマット例も載せておきます。
ポイント1:出張目的に対する達成度が明確になっている
出張には必ず出張目的があります。
デキる人の出張報告書には、最初にその出張目的が明確になっていて、それを達成できたかどうかが書かれています。
たとえば、以下のような出張目的があるとしましょう。
- 顧客と打ち合わせして、次期製品の要望をヒアリングする
- 展示会を視察して、最新の技術動向を確認する
- サプライヤーの工場を確認して、品質管理レベルが向上できているか監査する
これらの目的に対して、達成度を明確にする必要があるのです。たとえば、以下のような感じです。
- 次期商品Xの修正要望をもらった、具体的には・・・・
- 最新の技術トレンドはAからBに移りつつある。その理由は、・・・・
- 2次下請けの管理レベルは向上したが、工程内部でのポカヨケ対策が不完全だった。実際の現場は、・・・・
このように出張目的に対して、何が達成できたのかを明確にすることで、報告書の読み手はその後の報告をどういう心構えで読めばよいかが決まります。
当然、出張したからといって必ず100%の達成度になるとは限らないでしょう。
もし、達成できなかったことがあるとするなら、報告書の後半でその理由と今後のアクションについて書くべきでしょう。
ポイント2:出張者なりにわかったことを書く
目的とそれに達成度を明確にしたら、次に書くのは出張者自身が新たにわかったことを書きます。
ここには、出張者がわかったことを羅列してもよいのですが、それだと項目が多くなり過ぎるかもしれません。
もう少し視点をあげて組織として新たにわかったこと、発見したことを書いてみてもよいでしょう。
先ほどの例で、顧客との次期商品の打ち合わせを例に出すと以下のような感じです。
- XY商事(お客様)は現在の商品Cに対しては仕様、粗利の面で十分に満足していた。
- しかし、他の商品D、Eに対してはエンドユーザーからの評判が芳しくないという印象を持っていた。
- ここまでのことは想定どおりだったが、XY商事としては、商品D、Eをテコ入れするよりも、むしろ売れ筋で粗利のとれる商品Cをもっと積極的に打ち出すための商品変更を狙っていることがわかった。
- XY商事の担当課長Tさんは、商品Cに対してかなり強い思い入れを持っていた。
というようなこのような感じです。
ここでは、事実として相手が言ったことをまとめるのが基本です。
しかし、極端に主観的でなければ、出張者であるあなたが感じたことを織り交ぜてもよいでしょう。
その際は、事実なのか主観的に感じたことなのかはわかるように記載するようにしましょう。
上司は、書かれている事実と、担当者が主観で感じたことをわけて考えるようにしたいからです。
ポイント3:次のアクションを明確にする
達成度を明確にして、出張の中でわかったことを明確にできたら、最後に次のアクションです。
実は、フォーマットの差異はあってもポイント1と2を満足できている報告書は比較的多いですが、悪い報告書はそこで終わってしまっているのです。
見ている側からすると、「で、どうするの?」と聞きたくなってしまうのです。
そこで、最後に次のアクションを明確に書きます。
もう一度、先ほどの例に戻りましょう。
XY商事と打ち合わせした結果、わかったことまではまとめられましたが、ここからアクションが必要です。
これは、報告者であるあなたのアクションでもよいですし、組織としてとるべきアクションでもよいです。
たとえば、次のような感じです。
- 商品部と打ち合わせして、商品Cの改善提案のアイデア出しをする。(◯/◯まで)
- 商品部と打ち合わせ後に、XY商事には改善提案をできる日を提示してアポをとる。(◯/◯まで)
ここまで具体的な行動レベルでアクションを書くのがよいでしょう。
もし、自分ひとりでアクションをするには荷が重い課題であれば、上司に助けて欲しいことを合わせて書くのもよいでしょう。
出張報告書の事例・フォーマット
3つのポイントを盛り込んだ出張報告書のフォーマットをまとめてみました。
展示会に出張した想定にしています。
みなさんのご参考になれば幸いです。
出張報告書
出張日: 7/1-2
出張者: 丸本、高橋
出張場所: ABC展示会場
目的
ABC展示会に出張して、産業領域Pにおける最新の技術動向を確認する
目的に対する成果
2日間かけて当初の予定通り展示会場を全て見学し、産業領域Pにおける主要サプライヤーにはヒアリングができた。また、産業領域Sのサプライヤーにもヒアリングすることができ、産業領域Pに対する重要な示唆を得ることができた。
わかったこと
- 産業領域Pにおいては、依然として技術Xを中心とした製品展開がされている
- 一方で産業領域Sにおいては、技術Yの導入が先行している
- 産業領域Pで技術Yの導入が進んでいない理由には顧客がコストに対する価値を感じられていないからというのが最も大きい理由であった
- しかし、産業領域Sの担当者はやり方次第で産業領域Pにも技術Yの導入は可能と考えていた
- 技術Yの主要サプライヤーとしては、R社、W社の2つが有力である
- 今回の展示会でのヒアリングではR社、W社ともに、当社とのコラボレーションに興味を示していた
- ただし、ヒアリングの印象からは相当のロットを求められる感触であった
次にやること
- R社、W社とコンタクトをとって、産業領域Pにおける技術Yの導入についてより詳細のヒアリングを実施する(7/末まで)
- R社、W社のカタログをベースに、当社技術陣とも打ち合わせをして、ヒアリングすべき内容をまとめる(7/14まで)
- R社、W社の想定ロット別に、どのような協業領域があるかシナリオを策定する(7/14まで)
中身は架空の内容なので、3つのポイントをみなさんの出張の実態にあわせてアレンジして頂ければよいかと思います。
ところで、ここで書いた3つのポイントは、YWTというフレームワークに沿って考えています。
YWTとは、以下3つのポイントの略称となっています。
- Y(やったこと)
- W(わかったこと)
- T(次にやること)
出張以外の報告書もこのフレームワークに沿って書くと、「事実」、「発見・所感」、「次のアクション」を綺麗にまとめることができます。(一般的な報告書の書き方はこちら)
ただし、本文中にも書いたように、わかったことを細かいことまで含めて羅列すると読みにくくなるので、組織にとって重要度の高い発見に厳選しましょう。
報告書はいつ書くべきか
出張報告書は会社に戻った日の午前中には提出できるとスマートです。
もっというと、戻る前に仕上げてメールで関係者に送っておければ、さらにスマートです。
早く報告書を出せば出すほど、次のアクションに向けて関係者を巻き込むのが早くなるからです。
そのように考えると、報告書は出張中にある程度仕上げておくことをおすすめします。
海外出張なら途中の経過までをホテルである程度まとめておいて、帰りの飛行機の中で仕上げて出社と同時に出すようなイメージです。
働き方のスタイルとも関わるのでケースバイケースではあるものの、少なくとも出社した日のうちには出せるようにするのがよいでしょう。
まとめ
出張報告書のフレームワーク・書き方・フォーマットについて解説しました。
本文中にも書いたとおり、出張報告書のコンテンツとしては、目的への達成度、わかったこと、次のアクションが大事です。特に、次のアクションが書かれていないケースが度々あります。
次のアクションまできっちり書いて、関係者に必要な支援を仰げる状態にしておけると、上司からデキるビジネスパーソンとして見てもらえるでしょう。
プレゼン資料の作り方、稟議書の作り方について解説した記事もあわせてご覧ください。