給料が安いし、なかなか上がらない
このように思ってしまうことはありませんか?
しかし、こう思っているあなたに対して、1つ聞きたいことがあります。
「あなたの給料はいくらが適切だと思いますか?」
実は、給料を上げたいと漠然と思っている人は多いですが、具体的に私は◯◯円をもらう価値がありますと回答できるビジネスパーソンは極めて少ないのが現状です。
しかし、今後ビジネスパーソンとして経験・年齢を重ねていくにつれて、この質問に対してあなたなりの回答が求められるようになっていきます。
では自分の給料に対する合理的な回答というのは、どのようなものなのでしょうか?
この記事では、市場相場から考える方法と、利益に対する貢献度合いで考える方法の2つを解説します。
自分の給料の妥当性を説明するロジックを身につけられると、自分のキャリアと向き合うきっかけにもなっていきます。
方法1:あなたの市場相場から考える
ひとつめは、市場相場から考える方法です。
市場相場を参照する方法はさらに2つパターンに分けられます。
職種から考える
職種から給料を考える方法はあります。
あなたがどのような職種を務められるかがわかれば、転職サイトの求人を確認することで、おおよその相場感を知ることができます。
詳細は以下の記事にも記載しています。
また、同じ職種でも業界によって給料が異なるということもあります。
詳細は以下の記事をご覧ください。
スキルから考える
スキルから考える方法もあります。
たとえば、弁護士や税理士などの士業はスキル(資格)に対して値付けがなされていると考えることができます。
士業以外でも、自分の持っているスキルが市場でいくらで買われるかという相場感はあるでしょう。
たとえば、クラウドワークスのようなところに登録すれば、自分のスキルと同じようなスキルを持つ人がどの程度の単価で仕事を受けているのかを確認することができます。
方法2:あなたの生み出せる価値から考える
もうひとつは、あなたの生み出せる価値から考えます。
あなたの生み出せる価値がいくらなのか?を最も簡単に考える方法が、損益計算書から考えてみることです。
具体的には、次のプロセスで自分の給料を考えます。
- 自分がいくらの売上に貢献できるか
- そのための原価や経費を差し引いた人件費がいくらに相当するか
- その人件費に相当する分が自分の給料だ
先日、日経スタイルの関連記事とともに以下のツイートしましたが、成果、結果に応じた報酬という考え方です。
この考え方、物凄く大事だと思います。
失敗する人:先に「年収、肩書をほしい」と要求
成功する人:「成果・結果に応じた報酬配分」を要求事業が成立する売上、原価、人件費等から営業利益がどれくらいになるか。その中で自分の人件費はどれくらいが正当なものか考える。https://t.co/vHlRqmdDjQ
— セーシン (@n_spirit2004) February 16, 2019
では、具体的にどのように計算すればよいのか?
2つの例をあげてみます。
売上の増分から考える
たとえば、あなたが営業だとして、加入することにより、現在の売上を30億円から32億円に伸ばせるとしましょう。
話を簡単にするために、売上高に対する原価率と人件費率を同じだとして、販管費は固定費だとします。下表が損益計算書です。
単位:百万円 | 入社前 | 入社後 |
売上 | 3,000 | 3,200 |
原価 (売上比65%) | 1,950 | 2,080 |
販管費 (固定費) | 450 | 450 |
人件費 (売上比15%) | 450 | 480 |
利益 | 150 | 190 |
そうすると、売上増分は人件費と利益に配分されることになります。
売上: 200百万円増
人件費: 30百万円増
利益: 40百万円増
このように考えると、売上を3億円を増やすことに対する人件費は30百万円になります。
では、このときあなたの取り分は30百万円になるかと言うと、答えはNOです。
売上を伸ばすために、バックオフィスのサポートも必要になるかもしれません。その部分を30百万円のうち30%程度としましょう。
さらに給与の15%は会社負担の保険等になりますので、その分を差し引き必要があります。
そうすると、残りは以下のようになります。
実質的な取り分
バックオフィスサポート分の控除: 30 ー 6 = 24百万円
会社負担分の控除: 24 × (1 ー 0.15) = 20.4百万円
したがって、この損益計算書の前提だと、売上を2億円伸ばせるスーパープレイヤーなら、20.4百万円の給与を要求できることになります。
原価の低減から考える
もう一つのケースを考えてみます。
あなたが購買担当として、会社の原価低減という形で貢献できると考えます。その結果、損益計算書を以下のようにできるとします。
単位:百万円 | 入社前 | 入社後 |
売上 | 3,000 | 3,000 |
原価 | 1,950 | 1,920 |
原価を1.5%低減して、30百万円の原価低減効果をもたらす前提です。
バックオフィスのサポートを20%分とすると、実質的に会社にもたらす価値は以下のようになります。
バックオフィスサポート分の控除: 30 ー 6 = 24百万円
あとは残りの金額を会社への利益と人件費にどう分配するかですが、ここでは一旦50:50としましょう。加えて、会社負担分の保険等15%を差し引くと、適正給与は以下のように求められます。
24 × 0.5 × (1 ー 0.15) = 10.2百万円
したがって、30百万円の原価低減ができる人材に対して支払える給与は10.2百万円ということになります。
年齢を重ねるほど生み出せる価値から考えるのが大事
ここまで大きく2つの方法を解説してきましたが、どちらのアプローチがよりよいかというと、2番目の生み出せる価値をベースに考えることです。
その理由は、以下の3つです。
- 報酬とは本来生み出すべき価値の対価であるべきだから
- 自分が出せる成果の価値を考えることで、頑張りではなく、成果を第一に考えられるようになるから
- 自分の価値を明確に示せれば、市場相場が低い場合に、自分を買い叩かれることが無くなるから
若いうちは提供価値をベースに給与を考えるのは難しいかもしれませんが、年齢を重ねて40代を超えたら価値ベースで自分の給与を語れる人材を目指しましょう。
日頃から自分の生み出せる価値を考え続けることによって、適切な報酬水準がわかるようになりますし、それを高めるための適切な努力もできるようになるでしょう。
まとめ
以上、自分の給料の適切さを考えるための方法でした。
- 自分の給料が安いと嘆く前に、自分の給料はいくらが適切なのかに対する自分なりの答えを持つようにする。
- 適切な給料を考えるアプローチは2つあって、1つは市場の相場から考える方法、もう1つは生み出せる価値から考える方法がある。
- 年齢を重ねていくほどに、生み出せる価値の大きさが問われるようになる。
このように自分の給料を職種ベース、スキルベース、損益計算書ベースで考えられるようになると、会社との報酬交渉の拠り所にできますし、何より自分に対して値付けをできるようになります。
自分の給料はいくらが適切なのかわからないという方は、転職エージェントに登録してエージェントに直接聞いてみるのもよいでしょう。
時間を多少とられてしまうデメリットはあるものの、給料を上げられる可能性を確かめられることを考えれば、ものすごく小さな投資ですし、何より金銭的な負担が一切ありません。
最近では、オンライン面談も増えているので、スキマ時間を活用しやすくなっています。
今すぐ転職する意思はなくても、エージェントは親身に相談に乗ってくれますよ。
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