大企業のメリット・デメリットはさまざまありますが、仕事に慣れてくると、成長性・発展性がなくて「つまらない」と感じる人は少なくありません。
一方で、大企業の中でも成長の実感を持てるようにする方法もあります。
この記事では、大企業勤務15年の経験から、大企業での仕事を面白くするための解決案を書いていきます。
大企業がつまらないと思う理由
大企業がつまらないと思ってしまう理由は、大きく括ってしまうと「仕事を通じて、成長している実感が持てない」ことに尽きると思います。
多くの人が、できることなら仕事を面白くしたいと思っているでしょうが、大企業だと構造的につまらなくなってしまう要因があります。
大きな要因としては、以下の3つです。
- やる意味のわからない仕事が降ってくる
- さまざまなしがらみや慣習から、できることに限りがある
- 自分が裁量を持って仕事できるようになるまで時間がかかりすぎる
言い換えると、大企業にいても成長実感を持てるような仕事をすればよいことになります。
大企業でのキャリアの軸の考え方
まずキャリアの中で、どのような軸を伸ばすのかを考えておく必要があります。
その軸を考える上で役に立つのが、国際経験豊富なキャメル・ヤマモト氏が書いた以下の本です。
本書では、キャリアの軸として、職能 × 事業 × 地域の専門性を掛け算で考えよと、言っています。
- 職能:経営企画、マーケティング、人事、財務といった、いわゆる職種という言葉に置き換えられるものです。
- 事業:自動車、建設機械、小売業といった業界と置き換えてもよいですし、もう少し細分化して、自動車の中でも大型トラック事業とか、小売業のなかでもコンビニ事業という感じでもよいでしょう。
- 地域:日本、アメリカ、中国といった国単位もあれば、東京、大阪、福岡、北海道などといった国の中で地域を細分化する考え方もあります。
掛け算の例をあげると、
マーケティング × 化粧品業界 × 日本
というような感じです。
この掛け算の中で、次の1~3年の間で、どのような掛け算を実現するのか?ということを考えていくわけですが、ヤマモト氏は3つ同時に変化させなくても、1つだけ変化させればよいと言っています。
大企業の中でも、この掛け算を常に意識して、3年サイクルくらいで新たな掛け算を組み合わせていくと、キャリアアップが図れるわけです。
たとえば、先の掛け算を例にすると、次のようになります。
- 最初の3年:マーケティング × 化粧品業界 × 日本
- 次の3年:(マーケティング、事業戦略) × 化粧品業界 × 日本
- 次の3年:(マーケティング、事業戦略) × 化粧品業界 × (日本、ベトナム)
- 次の3年:(マーケティング、事業戦略) × (化粧品業界、飲料水業界) × (日本、ベトナム)
3年サイクルではなく、2年サイクルで考えることもできます。
この掛け算がユニークになればなるほど、市場価値が高まっていきます。
実は大企業にいるキャリア上のメリットは、職能や地域の幅を広げやすいことです。
なぜなら、大企業にはさまざまな職種の人がいますし、事業をしている地域も幅広いので、掛け算をユニークする機会が豊富だからです。
転職でも幅を広げていくことは可能ですが、新たな領域への転職の場合、年収を下げなげればならないケースが多いのです。
それに比べて同じ会社内なら、年収を下げることなく、新たな領域へのチャレンジが可能になります。
大企業でも成長できる仕事
これまで書いてきたように、「職能 × 事業 × 地域」の掛け算をどう組み合わせるかが重要なわけですが、仕事の中には成長しやすい分野と、成長しにくい分野があります。どんな仕事がその人を早く成長させるか?
3つ例をあげてみます。
仕事1:海外勤務
海外勤務をすると、先の掛け算の中では、確実に地域軸で新たな経験を積めます。
日系大手の場合、海外事業の方は少数精鋭でやっているケースが多いので、職能軸や事業軸でも新たな経験を積む機会もあるでしょう。
子会社の社長や、それに近い立場で経営感覚を養うこともできます。
さらに、先の軸に表れてこない、異文化対応能力というビジネスパーソンにとって大変貴重な能力を身に着けられるのです。
実際私は、海外赴任をしたときに、地域軸での能力を伸ばせただけではなく、何でも屋さまざまな能力を伸ばすことができましたし、上司・部下が外国人という環境で異文化対応能力を伸ばすこともできました。
仕事2:小さな事業への参画
大企業だと、大きな事業には、非常に多くの関与者がいて、注目を集めるかわりに、ご意見番みたいな人も多く、社内調整に時間がかかる傾向があります。
若い人がそういうところに入ってしまうと、一見華やかにも見えますが、上の言うことを実行する歯車のようになってしまうのです。
一方で、大企業の中の小さい事業だと、みんながあまり気にしません。
そうなると、ある程度自由に仕事の采配をふるう機会が増えるわけです。加えて、海外勤務と同様に、さまざまな仕事をする必要があり、結果として事業のことを俯瞰的に見られる能力が身につくわけです。
しかも、大企業の場合は小さい事業とはいっても、数十億円規模の売上があるなど、その辺のベンチャー企業よりは売上規模の大きい事業の場合もあるので、その中である程度自由かる俯瞰的な目で動けるというのは、先の掛け算を伸ばす上で貴重な経験になってくるのです。
仕事3:誰もやりたがらない仕事
誰もやりたくないことには、割り当てられる人数が少ないものです。
やれる人が一定数いたとしても、腰が引ける人が多いので、自分の仕事の範囲を積極的に増やせます。
人数が少ないということは、先の掛け算をよりユニークにできることにつながるわけです。
また、人数が少ないと自分でやるべき仕事の範囲が増えるので、自分自身を早く成長させることができます。
以下のツイートでも言及しています。
大企業でも、まわりよりも成長できる3つの環境
1海外勤務
異文化の中で一皮むける経験をつめる2花形ではなく、小さい事業への参画
注目度が低く、若手でも裁量をもてる3誰もやりたがらない仕事をやる
自分で全部やる環境が成長を加速させる大企業だって成長できる環境はたくさんある
— セーシン (@n_spirit2004) December 27, 2018
この記事で挙げた3点に対しては、こんなフィードバックもありました。
私もちょうど30代で3つ経験しました😊失敗だらけでしたが、得難い経験をして成長しました。会社は私の失敗ぐらい何ともないですね。
— ジョリビー耕太郎 (@Jolliebe_global) July 5, 2019
恐れ多くも20代で全てやってしまいました。笑 一時期は商社マン並みに海外出張もしてたし。
だから、周りが言うほど大企業だからって成長できないみたいな感覚が自分にはなかったんだろうなぁと。 https://t.co/HIs0sezkBW
— ひろ@駐夫inマレーシア🇲🇾 (@HChuotto) July 5, 2019
なぜ、この3つ海外事業、小さな事業、誰もやりたがらない仕事がよいのかを考えてみたのがこちらのツイートです。
売上が安定して入る事業で仕事をする一番のデメリットは、顧客獲得というビジネスで大事な経験をする機会が少ないこと。ここを経験しているのと、経験していないのとでは、ビジネスパーソンとしての戦闘力が全く異なるように思う。大企業でも、新規事業や海外開拓を経験している人が強いのはこの点。
— セーシン (@n_spirit2004) May 7, 2019
先ほど挙げた3つのチャレンジは、新たな顧客を獲得するという感覚と養える事業です。
また、新たな顧客を獲得すること=事業の成長でもあるので、新規の顧客獲得場面を通じて、自分自身も成長させることができます。
大企業で成長機会を掴むためにやるべきこと
ここからは、先ほどの3つの成長機会を掴むために、日々やっておくべきことを書いていきます。
ビジネスの基礎スキルを磨く
まずは、ビジネスパーソンとしての基礎体力とも言える、ビジネスの基礎スキルを磨くことが重要です。
ビジネスの基礎スキルは、先ほどの掛け算に当てはまると、第4の因子になります。
(職能 × 事業 × 地域)× ビジネススキル(語学力を含む)
たとえば、自宅にいながら手軽にビジネススキルを上げられる方法として、シリコンバレー発祥のオンライン学習プラットフォームUdemyの講座を受講する方法があります。
Udemyには、15万以上の講座の中から自分に最適な講座を見つけられる(海外の英語の動画も字幕付きで学べる)ので、自分なりに伸ばしたい領域に絞って講座を受けることができます。
関連記事:Udemyでビジネスの基礎を学べる【カテゴリー別おすすめ講座】
Udemyには、英語の勉強法に関する教材も豊富にあります。
また、Webマーケティングのように即時性の高いスキルを習得するのも1つの手です。
関連記事:Webマーケティングとは?仕事内容は?
他部署との交流
先ほども書いたように、大企業にいると年収を下げることなく、全く新しい業種にチャレンジできる機会があります。
そうした機会を掴み取る際に大事なのが、上司だけでなく、他部署のキーマンからも覚えてもらえるようにすることです。
他部署のキーマンは普段どんなことを考えているのか、どんな仕事をしているのか、自分なりに人脈を作って一次情報を仕入れておくことは大変役に立ちます。
社内ネットワークを作って情報を仕入れておき、他部署に顔を売っておくと、希望どおりに異動をする際の助けにもなるでしょう。
社外の交流
社内評価の欠点は、自分自身の市場価値が判定できないことです。
社内では評価は高いけど、いざ社外に出てみたら通用するスキルがなかった。
大企業には、こんなビジネスパーソンが多数います。
だからこそ、常に自分の市場価値を棚卸ししておくことが大事になります。
市場価値を棚卸しをするのに最も適した方法は、キャリアコンサルタント(転職エージェント)に相談することです。
実際に、転職エージェントと会話をすると、次のようなことがわかります。
- 社内基準ではなく市場基準での自分の強みと弱み
- 自分の隠れた市場価値を発掘できる可能性
- 今の会社で伸ばすべきスキルの方向性
転職エージェントと会話するなんて、面倒だな。。。
そんなふうに思ってしまがちですが、社外での評価を正しく認識することで、社内で自信を持って振る舞うために必要なことがわかるのです。
時間を多少とられてしまうデメリットはあるものの、選択肢を広げられる可能性を考えれば、ものすごく小さな投資ですし、何より金銭的な負担が一切ありません。
最近では、オンライン面談も増えているので、スキマ時間を活用しやすくなっています。
今すぐ転職する意思はなくても、エージェントは親身に相談に乗ってくれますよ。
ちなみに、私が大手からベンチャーに転職した際に使ったのが、「ビズリーチ!」のCMでおなじみのビズリーチです。
関連記事:【情報収集だけでも可】転職サイト・エージェントに登録する3つのメリット
まとめ
以上、大企業でも成長できる仕事についてでした。
- 職能×事業×地域の掛け算を作って自分の立ち位置と将来像を考える。
- 成長しやすい仕事にチャレンジする。海外赴任、小さな事業への参画、誰もやりたがらない仕事がおすすめ。
- そうした機会を獲得できるように、ビジネスの基礎スキルを身につけ、他部署と積極的に交流し、社外に出て自分の市場価値を把握することが大事。