給料に関しては、以下のようなことがよく言われます
- 「給料が高い仕事は大変に違いない」
- 「給料は高くても、すぐにクビになるのではないか」
- 「寝る間もないほど働かないと、高給取りにはなれない」
残念ながら、すべて間違っています。
もちろん、寝る間も惜しんで働いて高い給料をもらっている人もいますが、高い給料だから必ずそうなるわけでもありません。
もの凄く忙しくても年収300万円の人もいれば、そこまで忙しくなくても年収1000万円の人もいるのが現実です。
では給料の高い低いというのは、どうやって決まるのか?
よく言われるのは、「給料は業界で決まる」という話です。
では、どのような業界だと給料が高いのか?
この記事では、1つの数式を使って、給料の高い業界(仕事)とそうでない業界(仕事)の差を解説していきます。
業界別の給与水準を根本から理解することは、自分のキャリアと向き合うきっかけにもなります。
業界によって異なる給料水準
給料の高い業界と低い業界について、ネット上ではこんな声が見つかります。
【就職・転職の語学事例】
年収310万
旅行業界
TOEIC900年収1300万
コンサル業界
TOEIC880同じ年齢、同じ大学、同じゼミの女性。
2人のキャリアの違いは、前者は仕事の選択軸を英語が使えるかで選び、後者は市場価値が高い仕事で英語をできる事が有利になるか
英語を目的にしたか手段にしたか
— 中田潤一@キャリアとチャンコ🍲 (@izulnakata) November 24, 2018
会社来てネットサーフィンして夕方から飲み会してるだけのオッサンが年収1,500マソもらえる商社みたいな仕事がある一方、そのオッサンのガキをお盆休みもなく必死で世話してくれる保育士さんが年収300万という光景を目にすると、革命は近いなと感じてしまう。
— ホコメシ (@908_908) August 15, 2018
他には、会社ごとの口コミ情報をまとめた最大手「転職会議」だと、各社の年代別年収がまとめられています。
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関連記事:【年代別年収がわかる】転職会議の登録方法・評判は?
給料の高い・安いはもっと単純な話
さて本題に戻って、なぜ業界によって給料が決まってしまうのでしょうか。
これは給料、つまり会社にとっての人件費がどのように決まるのかということを考えるとわかってきます。
ざっくり言うと給料というのは、生み出した付加価値を何人で分配するか?によって決まってきます。
つまり、業界ごとの給与水準は、以下の式で表現できるのです。
業界の給与水準
= 業界の仕事が生み出す付加価値 / 業界で働いている人数
この式は、言い換えると生産性(アウトプット/インプット)という言葉になります。
では、この生産性の分子となっている付加価値は何によって生まれているか。
それは、次の式で表されます。
業界の仕事が生み出す付加価値
= 業界が解決できる困り事の大きさ(質) × 困り事を解決してあげた人数(量)
したがって、上の2つの式と合わせると、給料は以下のようになります。
業界の給料 =
(業界が解決できる困り事の大きさ(質) × 困り事を解決してあげた人数(量)) / 業界で働いている人数
給料が高いか、安いかを決めているのは、単純にこの数式なのです。
給料の高い業界(仕事)と低い業界(仕事)の違い
上記の式から給料の高い業界と低い業界の違いが見えてきます。
給料の高い業界(仕事)
先ほどの式からわかるとおり、給料の高い業界や仕事というのは、以下の全部またはいずれかになります。
- より大きな困り事(悩み)を解決できる(1件あたりの付加価値が大きい)
- より多くの人の困り事(悩み)を解決できる(付加価値を多くの人に届けられる)
- 少ない人数で困り事(悩み)を解決できる(従事している人の数が少ない)
いくつか例を考えてみます。
医療業界
医療業界は、健康という人間の最大の関心事といってもよい悩みを広い範囲に渡って解決することができます。
深い悩みに対しては、消費する側もより多くのお金を払います(医療の場合は国からの補助もありますが)。
その中で従事している人の数が他業界と同じくらいであれば、当然給料は高くなります。
ただし、医療の中でも、製薬のように解決策を多くの人に届けられる業界は給料が高くなる一方で、看護士のように解決できる悩みは深いものの、解決策を届けられる人数が限られている仕事だと、給料が安くなりがちです。
投資銀行
M&Aを仕事にするような投資銀行の場合、企業買収という物凄く大きく、かつお金が動く悩みを解決できます。
しかし、従事している人の数はとても少ないので、もらえる給料が物凄く高くなるのです。
給料の低い業界(仕事)
給料の低い業界というのは、先ほどの逆になります。
- 解決できる困り事(悩み)が浅い(1件あたりの付加価値が小さい)
- 困り事(悩み)を解決してあげられる人数が少ない(少ない人にしか付加価値を届けられない)
- 困り事(悩み)を解決するのに多くの人数が必要(従事している人の数が多い)
こちらもいくつか例を見ていきます。
保育士
上で引用したツイッターでも言及されていましたが保育士は給料が安いことで有名です。
保育士の方は、保育という比較的大きな悩みを解決できますが、1人の人で解決してあげられるのは数人から多くて10人程度です。
これだと、どうしても給料を高くするには限界があります。
アパレル
アパレルの場合、1人の解決できる悩みが、健康分野などに比べると大きくなく、解決してあげられる人数も末端の従業員だとせいぜい目の前に来てくれたお客さんくらいなのです。
したがって、大変残念ではありますが、給料は他の業界に比べると低くなってしまうのです。
製造業は、多くの付加価値を届けているが、従事している人の数も多い
私がいた製造業はどうでしょうか。
実は製造業は多くの人の悩みを解決できる事業ではありますが、一方で従事している人の数も大変多いです。
業界の中には、オフィスワーカーだけでなく、工場で働く人、流通を担う人などが存在しており、多くの人で生み出した付加価値を分け合っている状態になっています。
そのため、一般論として製造業は給料がIT系や金融系に比べると、低くなりがちです。(IT系も従事者が多い職種は給料が安くなりがちですが)
一方でキーエンスのように単なる物売りではなく、ソリューションを売っている会社は、大きな付加価値をクライアントに提供できており、かつ少ない人数で営業をしているので、1人あたりの給料は高くなります。
あなたの給料を上げる方法
このようなメカニズムで給料が決まってくるのであれば、給料の高い業界や仕事を狙うのが、あなたの給料を最も手っ取り早く給料を上げられる方法になります。
一方で、給料を上げたいからと言ってハードに働くことは、給料を上げることには直接的につながらないことに注意しておく必要があるでしょう。
また、同じ業界内でも給料の高い・安いという差異はあります。
同じ業界の中でも、多くの付加価値を少人数で届けている会社や仕事のほうが、給料を多くもらえる可能性が高くなるからです。
なお、勘違いを起こさないように書いておくと、ここに書いたのは、あくまで給料がどのように決ってくるか?というメカニズムの話なので、給料が安いから社会的意義がないと言いたいわけではありません。
まとめ
以上が、給料の高い・安いを決める、数式の解説でした。
- 給料の高い・安いは、業界で決まる。
- 具体的に言うと業界の給料は、(業界が解決できる困り事の大きさ(質) × 困り事を解決してあげた人数(量)) / 業界で働いている人数で決まる。(分子を付加価値とも言う)
- 医療業界や投資銀行は、生み出せる付加価値に比べて、従事している人の数が少ないので給料が高い。(たとえば、投資銀行は特に従事者が少ないので、給料がものすごく高い)
- 保育士やアパレルは、付加価値を届けられる範囲に限界があり、給料が安い。
- 製造業は付加価値は大きいが、従事している人の数も多く、給料がそこそこに留まっている。
- 給料を上げるためには、この数式を参考にして、業界・会社・仕事を選ぶ必要がある。
なお、転職会議に登録すると、各会社の年代別の年収推移を見られるので、自分の会社の給与水準を他社と比較することもできますよ。
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