激務、きつい、パワハラという印象がある日本電産ですが、昔に比べてかなりホワイトな企業にはなっているようです。
一方で、部長クラス以上の幹部に対しては高く厳しい要求が課されるなど、昔ながらの体質を彷彿とさせるところがあるようです。。
この記事では、日本電産の部長クラスの方に実際に行ったヒアリングを踏まえて、日本電産の実態について書いていきます。
日本電産の会社概要
会社名 | 日本電産株式会社 |
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設立年月日 | 1973(昭和48)年7月23日 |
所在地 | 京都府京都市南区久世殿城町338番地 |
事業の内容 | 精密小型モータ、車載及び家電・商業・産業用モータ、機器装置、電子・光学部品、その他の開発・製造・販売 |
資本金 | 877億84百万円(2021年3月末現在) |
株式 | 東証プライム(上場コード:6594) |
代表者 | 代表取締役社長執行役員(最高経営責任者) 関 潤 |
従業員 | 単独 2,568名(2021年3月末現在) 連結 112,551名(2021年3月末現在) |
売上高 | 単独 2,001億38百万円(2021年3月期) 連結 1兆6,180億64百万円(2021年3月期) |
日本電産公式ページより引用
日本電産は、産業用機器や家電、精密機器などに使われるモーターを主力事業としていて、創業からM&Aを繰り返して、拡大してきた会社です。
世界中で電気を動力源とした製品が普及すると、必然的にモーターが多数使われることになるので、日本電産の成長の歴史は、電気製品の普及の歴史と言っても過言ではありません。
今後は、電気自動車の発展や、IoT機器の発展によって、モーターの市場はさらに大きくなっていくと見られています。
日本電産製モーターの英語ブランドである「Nidec(ニデック)」、業界の中では信頼性の高いモーターだと位置づけられています。
実際に一緒に働いた外国人からも、何度か「台湾や中国のメーカーに比べて、Nidecの品質はよいよね」と言われたことがあります。
日本電産の風土
日本電産は、創業者の永守重信氏が創業から一代で、1兆6,000億円(2020年度)を超える売上まで成長させてきた会社です。
永守氏は、創業から「1日16時間労働する」とか、「元旦の午前中を除いて365日毎日働く」というとんでもない働き方を続けてきた人なので、まわりに対する要求もとても厳しいものがありました。
日本電産は、すでに上場していて創業者の永守氏の持株比率は8.29%(2021年3月現在)になっていますが、依然として日本電産グループの中での今でもその影響力を発揮しています。
2000年後半から2010年初頭の頃の日本電産は、「とにかくきつい」会社として有名でした。
実際に、金曜日の夕方に指示を出して、月曜日の朝には答えを持ってこさせるということが平気で行われていたようです。
ところが、そんな永守氏も近年は考え方を変えているようです。
すでに2016年の段階で、次のように語っています。
これまでと違い、長時間働くことは、必ずしも評価しない。結果を出した人を評価する方法に変えた。アメリカ人は定時に帰ってしまうし、ドイツ人はバカンスで2カ月休んでしまう。時間の感覚が違う。
日本電産の実態は?
最近の実態は、昔に比べてかなりホワイトにはなっているようです。
日本電産の部長クラスに話を聞いてみたところ、こんな答えが返ってきました。
昔はきつかったし、パワハラのような仕事のやり方が当たり前だったけど、最近は流石にそれでは人がついてこないので、昔に比べてホワイトになっている。
やはり、永守氏の言っていたとおり、昔のやり方は変わってきているようです。
会社全体が若い人達や、海外の人達の考え方に合わせようとしている部分はあると思う。
世間で言われるほど、ブラックな会社ではなくなっているのなら、安心して転職できるかもしれません。
でも。。。
でも??
それは課長クラスまでの話。
部長以上になると、週に80時間以上働くのは当たり前。
とにかく提示される目標が達成できると思えないくらい高いので、頑張ってやるしかない。
部長以上になると、週に80時間以上労働で、土日勤務するのは当たり前だそうです。
上からも
「ゆるく働きたい人は課長まで。部長以上はとことん働くのが当たり前。それが嫌なら課長に戻ればよい」
と言われている。
とのことです。
一方で、
競合を徹底的に調べ上げ、自社にスイッチすることを目指して徹底して営業をしている。
とも語っていて、目標達成に向けて本気でやる風土は、ビジネスパーソンとしての能力をストレッチする部分ではあるようです。
あくまで、私が取材した日本電産部長の話を元にすると、日本電産の風土は、以下のように結論づけられます。
会社全体としては、ホワイトになっているものの、部長クラスの働き方は昔ながらの苛烈な働き方だった。
ただし、高い目標を掲げて徹底してやり切る風土で、ビジネスパーソンとして大きくストレッチできる環境でもある。
日本電産の年収水準
日本電産の年代別の年収水準は、以下のとおりです。
20代 | 300~400万円 |
30代 | 400~600万円 |
40代 | 600~800万円 |
※口コミ情報等を参考にして作成
一般的な大手製造業の年収水準と大きく変わりません。
海外に多数の生産拠点を持っているので、技術系の人を中心に海外赴任のチャンスもあります。
課長クラスで1,000万円前後の年収になります。
ホワイトでいられる役職レベルでも、年収1,000万円までは到達できるのです。
日本電産に転職するには
日本電産は、超大企業なので、さまざまなルートから人材を募集していますが、その全てが公開案件ではありません。
転職エージェント大手に登録して、エージェントを通して求人を紹介してもらうのがよいでしょう。
おすすめできるのは、以下3社です。
まとめ
以上、日本電産の部長クラスに聞いた勤務実態でした。
- 日本電産は、創業者の永守氏が一代で築いた日本を代表する部品メーカー。永守氏の1日16時間労働、元旦の朝以外は仕事という働き方は、長い間日本電産の風土になっていた。
- 近年では、働き方改革の世論や、海外拠点とのバランスなども考慮されて、昔に比べて随分とホワイトな職場になってきた。
- しかし、そうしたホワイトな環境で居られるのは課長までで、部長以上は依然として猛烈な働き方を求められる。設定される目標が達成できないと思うくらい高いので、必然的に猛烈にやらざるを得ない状況になっている。