VPNは日本を含む多くの国で合法とされていますが、以下の国では法律的に規制されています。
中国、ロシア、ベラルーシ、トルクメニスタン、北朝鮮、イラク、イラン、オマーン、エジプト、トルコ、アラブ首長国連邦
この記事では、VPNの違法性と、VPNの使用を規制している国について解説していきます。
日本・欧米などではVPN利用は合法
日本では、VPNの利用は合法的なものとして認められています。
VPNは、インターネット通信の秘匿性を高めるための技術であり、悪意を持った第三者が通信内容をハッキングすることを防ぐためにあります。
また、企業内のイントラネットに接続するときにも、VPNを通して接続する会社も多く、VPNの利用を取り締まるどころか、積極的に活用されているのが現状です。
日本以外でも、欧米を始めとした多くの国でもVPNは合法とされていて、むしろ日本よりも積極的に利用されています。
日本ではVPNの活用は進んでおらず、VPN利用率は1.56%にとどまっていますが、海外では利用率が20~30%の国も多くあります。
先進国の主な国ではアメリカが約16%、イギリスが約15%、オーストラリアが約10%、フランスとドイツが約9%となっています。
VPNの利用を制限している国
ほとんどの国で合法とされているVPNですが、一部の国ではさまざまな理由により利用を制限されています。
中には、完全に違法としている国もあります。
海外の記事を参考にして、利用制限のある国を一覧にしました。
- 中国:認可VPN以外は違法
- ロシア:違法
- ベラルーシ:違法
- トルクメニスタン:違法
- 北朝鮮:違法
- イラク:違法
- イラン:認可VPN以外は違法
- オマーン:違法
- エジプト:制限付きで合法
- トルコ:制限付きで合法
- アラブ首長国連邦:制限付きで合法
- シリア:合法だが利用を規制
- ウガンダ:合法だが利用を規制
参考サイト
https://cybernews.com/what-is-vpn/are-vpns-legal/
https://tech.co/vpn/are-vpns-legal
https://vpnoverview.com/vpn-information/is-vpn-legal/
ここからは「違法・厳しく制限している国」、「制限付きで合法としている国」、「合法だが事実上制限されている国」の3グループに分けて詳細を解説していきます。
違法としている国または厳しく制限している国
違法としている、または厳しく制限している国は、中国、ロシア、ベラルーシ、北朝鮮、イラクの5カ国です。
中国
国内の言論統制を行っている中国では、VPNの利用を厳しく制限していて、認可されていないVPNを使って違法とされると罰金刑に処せられます。
制限している理由として、以下のことが考えられます。
- VPNを使って、中国政府に不利になる情報を海外から入ってこないようにすること
- VPNを通じて、海外のSNSサービスなどに利用者が流れ、国の重要産業であるIT系企業の育成を阻害しないこと
しかし、個人で楽しむ範疇で使う分には黙認されているのが実態で、中国でVPNを使ったことを原因として摘発されたという事例はほぼありません。
関連記事:中国でのVPN利用は違法なのか?【VPNを規制している理由】
ロシア
ロシアは、国内の統制をとるため、ロシア国民が閲覧できる情報を厳格にコントロールしています。
そのため、ブラックリストに登録されているサイトやSNS等に対して、VPNを利用してアクセスすること違法とし、政府の監視網を抜けた主に国外からの情報が国内に流入してくることを阻止しています。
ベラルーシ
ベラルーシは、独裁政権に対する批判的な言動を規制していて、政府に対する組織的な抗議行動をおさえようとしています。
そのため、VPNの利用を違法として、政府の監視が届く範囲でのみインターネットを利用できるようにしています。
トルクメニスタン
トルクメニスタンは、外国メディアをブロックするために、インターネットを厳しく検閲・制限しています。
そのため、 VPN の使用も違法行為として禁止されています。
北朝鮮
北朝鮮には、そもそも一般国民がインターネットに接続する環境がなく、北朝鮮内のイントラネットだけに接続できるようになっています。
北朝鮮を訪問してVPNを使おうとすると、違法となり刑務所に入れられる可能性があります。
イラク
イラクもさまざまなインターネット検閲をしていて、特定のアプリやサイトを閲覧できないようにしています。
VPNの利用すると、これらのアプリやサイトにアクセスできるようになってしまうため、その利用を違法として禁じています。
イラン
イランでは、政府の承認を得ているVPNのみが使用を許可されています。
オマーン
オマーン一般市民が政府によって承認されていないVPNを使うことは、違法とされています。
会社等の組織の場合は、ライセンスを持っている場合に限り使用を許可されています。
制限付きで合法としている国
エジプト、トルコ、アラブ首長国連邦は、VPNの利用自体は合法ですが、アクセスできないアプリやコンテンツがあるので、その国の事情をよく理解した上で利用することをおすすめします。
エジプト
エジプトでは、VPNの利用自体は合法ですが、不道徳な行為に対しては取り締まっています。
この不道徳な行為の中には、FaceTimeやSkypeなどのビデオ通話アプリを使うことが含まれているので、他の国と同じようにアプリを使ったり、サイトにアクセスしたりする際には注意を要します。
トルコ
トルコは、Facebook、Twitter、YouTube、Wikipediaなど、多数のサイト・アプリをブロックしている国です。
トルコではVPNを使用することは合法ですが、政府はVPNプロバイダーを積極的にブロックしようとしていることを忘れないようにしておく必要があります。
アラブ首長国連邦
アラブ首長国連邦(UAE)では、犯罪のために使用されない限りはVPNを合法としています。
もし、犯罪を犯した場合に、VPNを使用していたことがわかると追加のペナルティが発生します。
UAEでは、ギャンブル、ポルノなど、閲覧禁止のコンテンツがあるので、これらの情報閲覧も違法行為と見なされることに注意しましょう。
合法だが事実上制限されている国
VPNの利用自体に問題はありませんが、政府が事実上の制限を加えているのがシリアとウガンダです。
シリア
シリアでは、VPN利用自体は合法とされていますが、政府がVPNプロトコルを攻撃していて、一部のVPN接続がブロックされている状況です。
ウガンダ
ウガンダでは、2018年にソーシャルメディア税が導入されたました。
この税金を回避する目的で多くの国民がVPNの利用をはじめたため、政府がVPN接続をブロックしています。
VPNの利用は合法ですが、事実上大きな制限がある状況です。
VPNで地域ブロックを解除することは合法
VPNには、地域ブロックを解除して、その国でしか見れないストリーミング動画を視聴したり、その国の価格でサービスの契約をできたりするメリットがあります。
有名なところでは、Netflixでジブリやハリーポッターの映画を見る方法があります
また、YouTube PremiumやNetflixを安く契約する方法も、地域ブロックを解除する原理を使っています。
YouTube Premiumを格安で契約する方法【アルゼンチンVPN】
これらのことは、VPNの利用を合法としている国においては、すべて合法となります。
ですので、このような使い方によって警察に捕まることはありません。
一方で、サービス運営者がVPNによる偽装を規制の対象とすることは考えられますが、現時点ではそれも現実的ではないとの見方が一般的です。
なぜなら、アクセスしている人が本当はどこに住んでいるのか?どのような事情でVPNを使っているのか?まで、サービス側で把握することは不可能だからです。
このようなVPNの使い方に対する懸念を払拭できないなら、万が一に備えて専用のメールアドレスやアカウントなどを用意しておくことをおすすめします。
まとめ
以上、VPN利用についての合法性、違法性についての解説でした。
- VPNの利用は、日本や欧米を含めてほとんどの国で合法とされている。
- VPNの利用を違法としているのは、ロシア、ベラルーシ、北朝鮮、イラクで、中国も認可されたVPN利用以外は違法としている。
- VPNの利用は合法であるものの、VPNを使って違法な行為や不道徳な行為などを禁止しているのが、エジプト、トルコ、アラブ首長国連邦。
- VPNの利用は合法であるものの、事実上利用を制限しているのがシリア、ウガンダ。
- VPNを使った地域ブロック解除は、違法ではない。サービス側もどんな事情でVPNを使っているかわからない以上、規制のしようがない。
