中国の海底撈(ハイディラオ)という人気の火鍋店に行ってきました。
夜普通に店に行くと、1時間待ちは当たり前、2時間くらい待つこともある超人気店です。
そんな海底撈に行ったレポートを簡単にまとめました。
海底撈とは
海底撈は1994年に中国四川省出身の夫妻が開業、現在では中国の他に、東京、ソウル、シンガポールでも営業するなど、店舗数は2018年9月時点で約360店舗。
2018年9月26日に香港市場にIPOを果たして、創業者夫妻の資産は約9000億円になったそうです。
その海底撈が提供する火鍋とは、簡単に言うと中国のしゃぶしゃぶです。
こちらは、私が実際に海底撈で食べた火鍋で、きのこベースのスープ(左側)と唐辛子の効いたスープ(右側)の2つの味を堪能しました。
具材には、肉、魚介、野菜などが使われます。
海底撈のサービス
火鍋は、使う具材で味がある程度決まってしまうので、差別化の難しい商品ではあります。しかし、そんな中で海底撈は味以外のサービスを徹底的に差別化して、中国では大人気になっています。
ここでは、そのサービスの一部を紹介していきます。
店外でのサービス
先ほども書いたように、超人気店なので、1時間、2時間待ちは当たり前です。そのために店外で待つ人の数も多いのですが、その順番を待っているお客さんに対してさまざまなサービスがあります。
まず、こちらのように店外で待つお客さんのために椅子とテーブルが用意されています。
椅子に座ると、従業員からこのようにスナックとお茶が準備されていきます。もちろん無料です。(厳密には、飲食代にチャージされているのでしょうが)
また、女性に対しては、このようなネイルのサービスもあります。こちらももちろん、無料で施術を受けることができます。
この店は中山公園という繁華街のところにある老舗の百貨店の中にあるのですが、海底撈の最寄りのトイレだけは、ピカピカに改修・整備されていました。
海底撈がお金を出して改修したそうです。
店内でのサービス
こちらが店内の様子です。特別なところはないですが、非常に清潔に保たれています。
席に着くと出されるのが、こちらのおしぼりとスイカです。印象的だったのが、このおしぼりで、中国では珍しい熱々のおしぼりです。こういう細かいところにも配慮が行き届いています。
店員は終始笑顔で対応してくれて、お茶のおかわり、スープのアク取り、不要な食器を下げるタイミング等々を完璧にこなしてくれます。
中国の一般の火鍋屋ではあまり体験できないサービスです。
(2019.11.12追記)先日行った別の店では、このようにスマホ用の無線充電器がありました。地味にこういうのもありがたいですね。
近くの席には、このような誕生日を祝う飾り付けがありました。事前に誕生日(もしくは誕生日近く)の人を祝ってもらえるように予約しているのでしょうが、火鍋屋でこのようなことをやるのは、あまり見たことがありません。
締めの麺を頼むと、麺を持った人がテーブルまで来て、麺打ちの実演を見せてくれます。
さらに海底撈は、北京にスマートレストランをオープン。
配膳ロボットや具材をピックアップするロボットアームなども用意した店舗になっていて、IT化された飲食店の実験もしています。
詳細はこちらの記事をご覧ください。
火鍋チェーンの「海底撈」がスマートレストランを開業、飲食業を改革
河野大臣のツイッターに動画が掲載されていたので、あわせて添付します。
火鍋のチェーン海底撈に導入されているロポット。その1、火鍋の具を注文に応じてセットする。 pic.twitter.com/y8Wvpy6LhY
— 河野太郎 (@konotarogomame) April 14, 2019
火鍋のチェーン海底撈のロボット、その2。注文を持ってくる。 pic.twitter.com/vsQ1S5hqCB
— 河野太郎 (@konotarogomame) April 14, 2019
海底撈の値段
これだけ至れり尽くせりの中、気になる食事のお値段ですが、今回2人で行ってアルコール無しで220元(約3,500円)程度でした。
中国の一般的な火鍋屋だと、同じような食材で、同じくらい分量を食べたときの相場が150元(約2,400円)程度。したがって、海底撈の値段は相場の1.5倍程度になります。
それでも、これだけの人気を誇っているので、いかに中国人の人たちが食材だけでなく、そのサービスに価値を見出して対価を支払っているかがわかります。
海底撈の成功からの示唆
今回、海底撈に行って感じたことが2つあります。
中国人がサービスに対価を支払うようになってきた
中国人は物やサービスを買うときに、物の原価や他店との比較を大変気にします。言い換えると、原価に見合うお金しか出さず、他店より高いお金を理由なく払うことを嫌う人が多いということです。
しかし、海底撈の繁盛ぶりを見ていると、普通の火鍋屋に比べて1.5倍の値段でも、これだけの人気になるということは、そのサービスの対価として妥当であると認めていることになります。
これは単に海底撈のサービスが良いということを示しているだけでなく、中国人がモノ以外のサービスにお金を支払うようになっているというトレンドを示しているのだと感じています。
これは、以前行った上海のスターバックス・リザーブ・ロースタリーでも感じたことです。
飲食業にはまだまだ伸びしろがある
先ほども書いたように、火鍋は食材で味が決まります。つまり、差別化できる要素はほとんどありません。
海底撈の味は、美味しかったですが、それが他店と比べて群を抜いてよかったかというと、そんなことはありませんでした。
しかし、それでも大人気になっていて、わざわざ高いお金を出して食べに行こうとするのは、食事以外の体験が重要な要素を占めているからでしょう。
日本でも多くの飲食店が味での勝負をしていますが、味以外の付帯サービスの工夫1つで、ここまで人気店にできるのは、多くの飲食業にとって大いに参考になる事例ではないかと思います。
さらに、海底撈は北京でオープンしたスマートレストランの可能性を探っていますが、そちらの今後も参考になるのではないでしょうか。
まとめ
私は中国には2008年頃から仕事で関わっていますが、近年の発展は目覚ましく、特に電子マネーの急速な普及を始めとしたIT分野の発展には目を見張るものがありました。
しかし、ここに来て飲食・サービス業もさらなる進化を見られるようになってきて、今後もますます目が離せなくなっています。
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